2012年4月15日日曜日

路地を生かす

  僕はあまりデパートには行かない。デパートが格段嫌いって訳ではないのだが、あまり欲しい物が売っていないし、ちと僕には高い。それにデパートの一階に化粧品売り場があるが、あの臭いをかいだだけで咳き込んでしまいそうになるので足が遠く。日本にデパートができたのは、1914年に三越が作った。『スエズ運河以東で最大の建築物』だったそうだ。エレベーターが珍しかった時代、それはそれは注目されたであろうと思う。しかしこれから地方の発展を考えてみると、大きなデパートが地方の都市に入ってくる事が本当に幸せなんだろうか。

  以前商工会関連の仕事をしていた時、商工会会長さんに教えて頂いた事がある。ドイツのある町では地方に大きなショッピングモールが入ってくる時に町を挙げての議論となった。しかし法律的に拒むのは難しい。そこで町の議会がとった行動が、町の面積の90パーセント以上の敷地をショッピングモールにするならば認めると言う物。つまり現在住んでいる住人を多くを説得し、お金を払った上でショッピングモールに来てもらう。もちろん実質不可能なのでモールを企画した会社はあきらめたそうだ。ほ~中々やるね、ドイツ人!

  アメリカの場合は地域ごとの主張が大きい。僕が住んでいた町はDavisという小さな大学の町。3万人ぐらいの町にはお店は30軒ぐらいしかなかった。勿論ショッピングモールは出店したかっただろうが、市議会で禁止されていたためモールはなかった。そのせいか小さな店でもやって行けるので、街並みも美しく、シャッター通りはDAVISにはなかった。しかし、隣町のSacramento(隣町って言っても30㎞離れてます)には飛行場のようなモールがあった。それはそれは大きいモールだが、街の小さな店はしょっちゅうつぶれていたりして、シャッター通り化しており、治安は非常にやばかったのを覚えている。僕はDAVISの大型ショッピングモール禁止という判断は英断だと思う。

  僕は以前京都に住んでいたのだが、京都という町は小さな路地がある。その路地に入ると良い感じを出している店が集まっていたりする。例えば先斗町(ぽんとちょう)。鴨川のすぐ脇にあるこの小さな通りは飲食店街として有名だが、その道は1間もないかもしれない。1間とは1820㎜と言う事。1間ないと言う事は、人が通れるやっとの通路だと言う事だ。しかしこれがまた品があって良い。この界隈のお店は値段が高い。しかしこれでやって行けている。これからの街の作り方とはこうある方が良いのだと最近思えてきている。小さな路地に小さなお店で十分結構だという気がする。考えて見ると僕育ったような小さな街には、店はあるが欲しい物が何もない。あるのは実用的な物ばかりだ。それでは街は賑わうことはないのではないだろうか。以前にも書いたが司馬遼太郎の言葉、『街を定義するとすれば、若いお嬢さんがおしゃれをして行きたくなる場所』って事から考えても、小さな路地を生かすってのは面白いと思うのだ。その方がお客さんも楽しめると思う。少なくとも現在よりはだが。勿論緻密な計算の元街は作らないといけないだろうが、大きなショッピングモールを作るってのは短絡的すぎないだろうか。

  路地を活かす街づくりをすれば、デパートを入れる必要はないし、ショッピングモールを作る必要もない。なぜなら街そのものがショッピングモールだからだと思う。そんな事を考えている。

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