2012年1月19日木曜日

菜の花と、本の蔵


ふとNHKを見ていたら、この冬真っ盛りの中、宮崎の路地に菜の花が咲いていた。ちょっと早い話ではあるのだが、微笑ましい。高校に通学している時分、この季節になったら一気に開花している菜の花がたまらなかった。菜の花が路上に咲いていると、仮にその道がどこか暗くても、明るくえて良い。見て良し、食べて良し(味噌汁最高です!)の植物です。

『菜の花忌』の事をご存じだろうか?これは国民的作家の司馬遼太郎氏の命日にあたる2月12日の事を言う。司馬氏は説明もいらないくらい日本人に愛された作家だ。僕も大好きでよく読んだものだ。『龍馬がゆく』『坂の上の雲』『国盗り物語』、その他多くの作品を世に残した。司馬氏が大好きだった花が菜の花。いつも書斎の横の土管に菜の花を植え、毎年咲くのを楽しみにされていたと聞く。以前僕は司馬遼太郎氏の邸宅に行った事がある。東大阪市の決して環境は良いと思わない場所にぽつりとあるこの大作家の家は、現在は司馬遼太郎記念館となり、多くの来場者で賑わっている。記念館は以前に紹介した安藤忠雄氏の作品で『蔵書で囲まれて、闇に包み込まれたような、かすかな光の空間のようなイメージ』で作られている。決して広くないスペースに縦の方向に蔵書がど~んと並べてある空間は圧巻であった。またこの建物もRCの割には主張が少なく、周りの町の景観にも配慮があってありがたい。司馬氏が派手な建物を望む訳が無いのだが、デザイン設計屋に任せると、ここぞとばかりリキんで凄く目立ちたがると思ったが、これはよく出来ていると思った。

東大阪という、僕から見れば下世話な町に住み続けた司馬遼太郎氏。氏は生前に他の場所に住んだらどうだとよく言われたそうだが、雑然とした場所で無いと文章が書けないと答えていた。たぶん書斎から見えてくる菜の花とその蔵書だけで十分で、落ち着いた空間を自分でこしらえても意味がないと考えていたのかな。。

よく考えてみたら、菜の花って自己主張が少ない。景観にみずから配慮している。人間はその点では菜の花には未だ勝っていない。 そんな事を考えた。

ブログランキング・にほんブログ村へ
良かったら、ご協力下さい。

0 件のコメント:

コメントを投稿

フォロワー

 
;