2012年8月29日水曜日

外壁と景観美。

   お客さんと建物の相談をしていて、最終にお客さんが悩むのは外壁だ。僕ら設計屋は間取りはあ~でもないこ~でもないと悩むのだが、外壁は結構すんなりと決めてしまう。なぜなら、多くの家を見て勉強してきたので、自分の中のアイディアは大方決まっている。しかし依頼者は建物のみに集中するあまり、周りの景観などを忘れがちになり、妙な外壁となってしまうことが多い。もちろん施主さんも本などで自分が気に入った家を選んでくる。しかし本の中の家は、その掲載している家の写真にフォーカスを合わすあまり、周りの街並みはほぼ写してはいない。よって施主さんが自分の家を作る場合、周りの家との外壁による色のバランスや緊張感などへ考慮はほぼ皆無だ。よって日本の家の雰囲気は他国と違い、妙な緊張感が漂っていると感じる。僕は思うのだが、家の外観の美しさとは、施主さんが決めるのではなく街並みが導く物だと思っている。

   海外に目を向けると、建築家という職業は非常に尊敬されている。日本の場合は単なる工務店の下請けの技術屋さんで、給料を叩かれる立場の人間だ。なぜ海外の建築設計家は尊敬されるか?それはその町の色やデザインを形作る権限をそこに住む住人や市役所から委譲されているからだと言える。例えば町の公共工事などの大きな建物を作る場合は会議が開かれ、そしてデザインが本当に町の歴史と風土に合っているのか真剣に検討する。もちろん個人の家を作る場合であっても、風土とデザインを考慮するのは当たり前となっている。よって妙な家を作れないし、色もぶっ飛んでいない。よってみんなが気楽に建物からのストレスがなく生きれる。

   思うんだが、何故日本は町のデザインをもっと美しくしようとは思わないのだろうか?家を作っていると思うのだが、お客さんはリビングの家具の色にこだわる。ほとんどの場合、家具の色は基本的には統一したがる。デザインの観点から見ると床の色と家具の色、もしくは壁の色と家具の色は統一した方が美しい。そして家具の床面積とそのリビングの床面積は4:6ぐらいが好ましいと言われている。なので僕もそうするよう勧めている。しかし家の外観となると日本人はそんなデザインの基礎的な考えは無視し出す。自分の家だけが美しければ良い生活が送れると勘違いをしていると僕は思う。

   そんなことを僕はトイレに座りながら思った。なぜなら我が家のカレンダーが、ギリシアのミコノス島だったのに起因する。

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