2012年12月2日日曜日

鴨長明の方丈に憧れる


   今日は日曜日。仕事がたんまりと残っているので、ずずずいとExcelをさわっていた。そんな昼時、僕の婆さんが暇そうなので、NHKをつけてあげた。NHKでは京都の名所を紹介する番組をやっていた。京都に住んでいた僕は、ちょっとだけ京都には詳しい。だが、やはり京都は広くそして深い。その番組では色んな京都らしい場所を紹介していたのだが、ふと下鴨神社に目がとまった。僕は下鴨神社の近くでお仕事をしておきながら、一度しか行った事がない。好きなのだが、ふらりと訪れるなんて事をしなかった。今考えると実に勿体ない。なのだが、とても下鴨神社を愛している。その入口にある、橋のたもとを流れる小川がとてもお気に入りだ。今年は方丈記が随筆されて800年の記念の年なんだそうだ。よって下鴨神社ではスタジオジブリさんとの共作で、鴨長明の世界展などをやっている。う~ん、実に行ってみたい。

理想の長明
   鴨長明はその随筆家であり歌人であり、はたまた建築にも造形が深い僕の理想のような人だ。実は長明は下鴨神社の神官の家に生まれた。俊恵という人に弟子入りし歌人としても活躍したが、望んでいた神職としての出世の道を閉ざされ出家されている。現在の京都市伏見区に庵を開き、そして隠遁生活を送った。時代は平安末期から鎌倉初期の頃だ。そこで日本で最初の和漢混淆文による随筆 『方丈記』 を記した。これは原稿用紙で20枚ぐらいのとても短い随筆。当時の天変地異などが書かれていて、一級の歴史資料としても使われているそうだ。この冒頭に書かれている、 “ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず“  という書き出しはとても好きだ。無常観があふれていて国語が2だった僕はとても憧れる。長明が開いた庵は1丈四方の広さだったそうだ。なので 『方丈記』 と名付けられたようだ。

長明の方丈
   丈とは、現在でも大工さんが使う尺単位で言えば10尺の事。1尺が訳0.303mなので丈は3.03m。という事は現在で言えば5.5帖ぐらいだ。つまり畳5.5枚分。とても小さい。その中に囲炉裏を配置し、窓はもちろん鎌倉初期とは言え蔀戸 (しとみど) となっている。下鴨神社に再現された長明の方丈を見て僕などはうっとりしてしまう。しかし、とても現代の人々は住むには厳しいだろう。まあ、当の長明だって最低限の暮らしを追求したらそうなったんだろうから、長明さんだって大変だったろうが。

スモールハウス内部
   ふとこの前書いた 『3坪のスモールハウスも悪くない』 を思い出した。3坪と言ってもロフトなどついているから正確には3坪とは言えないが、鳥瞰として見る建築面積は長明の方丈とあまり変わらない。長明の場合、必要最低限の生活が出来るように、そして風流を楽しむため (もちろん暖を取るため) に囲炉裏付きの方丈としたのかも知れない。だが、僕が考えているスモールハウスは極上のお一人様のもの。それはキッチン付きにシャワールーム付き。そしてもちろんウォシュレットのトイレはTOTOだ。そして安いし、それに売りやすい。長明とは向いている方向は真逆だ。最近、この記事を書いてから、 『スモールハウスってアイディアどう思う?』 と合う人合う人に聞いている。皆、 『欲しい!』 と言ってくれている。だが、残念な事にそんなに小割で小さな土地が売っていない。。

   それにしても、日本人ほど隠遁生活に憧れる民族もいないんじゃないだろうか。世間さまから離れて、山里に隠れるように暮らす。これが日本人にとっての極上の暮らしなんだろうかと考えながらそのテレビを見ていた。まあそんな休みの一日だった。

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