2012年11月6日火曜日

町家の、ほうじ茶は染みいる。

   ふと外に出たら空気が冷えていた。その風の吹く様は、どことなく冬の気配を感じさせる。僕にとって秋の楽しみは料理に読書。僕が京都で夜間の建築専門学校に通っている頃、この時期になると小さな文化祭のような催しが開かれていた。その文化祭では茶道部の女の子らがお茶をだし、そして生け花部の人々が床の間に花を生ける。さすがに建築を勉強しているだけあってそのセンスたるや結構な腕前。凛とした花に囲まれて飲む抹茶はやはり良い。僕は京都に住むまでは抹茶というものを飲んだ事がなかった。なので礼儀などは分からず、戸惑ったりした思い出がある。分からないから、とりあえず3度回してずずずいと飲む。おいしいもおいしくないも良くは分からないのだが、とりあえず 『結構なお点前で』 と言った。その後、周りの人間が茶器を前のめりしてガン見をしていたので言ってあげた。 『もうちょっと上品に見れんとね?』 まったく田舎もんはこれだから恥ずかしい。。

   そのお祭りの最中に餅つきがある。貧乏建築設計屋さんだった僕はこれまた貧乏設計屋さんと一緒にそのお祭りにくりだした。要は食費を浮かすためだ。10代の子供らが一生懸命ひぃひぃ言いながら餅つきをしていたのだが、僕らは経験が違う。パンパンパンパンと手際よく餅をつく。そしてたんまり餅を頂いていた。京都に住むまで知らなかったが、焼いた餅をちょっと醤油をつけた卵の黄身に入れるととてもおいしい。また大根おろしに醤油だって結構いける。京都の人々に言わせればよくある味付け方だと言うが、宮崎の僕の実家では醤油に砂糖しか使っちゃいなかった。なのでちょっぴりミヤビた気がした。

   そしてその後に出たほうじ茶がとても良い。僕はほうじ茶はペットボトルのそれしか飲んだことがなかった。それにしても、これほど熱々のほうじ茶がおいしいとは知らなかった。京都の町家の和室で飲んだあのほうじ茶は一生忘れることがないと思う。それ程おいしいお茶だった。和服の姉さんが、モルタルで仕上げたコンクリート土間の脇にある水場でささっとお湯を沸かす。そして、小さな湯飲みに入れてくれるほうじ茶は、とても心に染みいる。そんな一杯だった。

   それ以来いろんなほうじ茶を試しているのだが、どうにもその時のようなほうじ茶を作る事が出来ないでいる。葉っぱが悪いのか、作り方が悪いのか。。それとも場所が悪いのかは良くは分からない。今年の秋はほうじ茶にこだわりたい。そんなことを考えている。

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11 件のコメント:

  1. 確かにお茶の染み入る季節ですね。
    私もよくお茶を飲みます。
    和三盆など砂糖菓子の後のお抹茶のスッキリ感がいいですよね。
    最近は懐紙も可愛い和紙のものが出ていて、
    普段使わないのに欲しくなります。

    野点は、フローランテ宮崎の2月のイベント『盆梅展』の一角で毎年振る舞われますよ。
    梅の香りのほんのり漂う中で頂くお抹茶やお煎茶も格別です(^-^)

    茶器の見方も、ちゃんとしたお作法がありますものね。器の裏の焼き印を、思いきり持ち上げて下から覗き込むのもお行儀が悪いと言いますよね。

    それなりの場所でせっかくお茶を頂くのなら、上品さも心掛けたいですね。

    湯の温度や蒸らしなども、ちゃんと知っていれば自宅でも本当に美味しくお茶が頂ける…
    お湯のみもお茶の種類によって使い分けたり、
    それだけで気分が上がります。

    ちなみに、新富のお茶専門店『夢茶房』の、ほうじ茶ソフトクリームも、香ばしさがバニラと相性がよく、美味です!

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  2. 夢茶房は以前から行ってみたかったんですよね。
    ですが行く勇気がなく。。まだ行けてません。。
    今度勇気を出して行こうかな。。
    高鍋の10号線脇の喫茶店(名前知らず。。)も素敵です。
    山椒茶屋を登ったすぐ横にあります。
    宮崎には珍しい感じの喫茶店というか茶屋?です。
    まあ、建築的にもがんばってますね。

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  3. あら! 夢茶房、是非、勇気を出して行ってみてください。
    店内はもちろん茶香炉で茶の葉がいぶしてあって、
    いい香りが漂っています。
    茶器もお高いですが、揃ってました。

    男性でも、ふらっと立ち寄ってますよ!

    高鍋の茶屋、かなり興味深いです。
    近々行ってみますね!

    季節の茶花が床の間に上品にほんのり行けてあるのも好きです。
    椿を、使わなくなった急須に一輪挿しで活けるのも素敵ですよね(^-^)

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  4. 高鍋の茶屋は、ちょっとだけ飲めるスペースがあるって程度ですが、この辺りのお店にしては建築デザインに気を使っていると思えますね。

    椿の一輪差しは素敵ですね。
    これを最初にやった千利休はやはり凄いと思います。

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  5. そうだったんですね!?
    椿の一輪挿しは、千利休でしたか~
    知らなかったです!

    毎年私も梅の花や椿を茶托つきのお湯のみ茶碗に活けたり、小さいグラスに落ちた椿の花弁を浮かべたりして楽しんでます。

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  6. 相変わらず凄いセンス!
    それでこそ日本人!
    大和撫子ここにアリって感じです!

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  7. と、とんでもないですわ\(>_<)/
    大袈裟ですよ大和撫子とか^_^;

    確かに古風な物や『和』を楽しむのは大好きですけどね!

    生きてると、やはり紆余曲折ある人はあるので(笑)、
    いつの間にかそういった些細な事で物凄く幸せな気分になれる様になりました。

    ちなみに、高鍋美術館で、25日まで、片岡鶴太郎の原画展をやっています。
    素晴らしかったので、もしお時間があるようでしたら、行ってみられて下さい!
    温かい気持ちになれます。
    入館料は800円でした。

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  8. 高鍋か。。
    悪くないな。。
    あそこの歴史資料館はちょっと好きですね。
    喫茶店は入ったことはないですが。。

    仕事仕事で頭の中がパンパンなので、たまにはゆ~くりしたいんです。。
    お祭りのある椎葉も悪くないけど、ちと遠い。。場合によっちゃ~帰れない。。っていうか行き方知らん。
    それとも石河内でぼ~っと。。
    う~ん、どないしよ。

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  9. 椎葉は川南からでも結構ハードそうですね~
    距離的にはそんなに遠くなさそうですが、
    山道が結構くねくねしてる様ですし、週末は雨ですものね^_^;
    行き方としては、石河内22号線(えほんの郷の下の県道)を更に北にずーっと走って、突き当たりを西に走り(388号線)、美郷町経由で途中から『ひむか神話街道』に乗ってまーっすぐ走れば椎葉村に着くはずです(^-^)
    標識もあるはずです。

    西米良とか美郷町とか椎葉村辺りは、『奥みやざき』って言われるんですね。
    なんか秘境な感じのネーミングで好きです。


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  10. ほ~、絵本の里辺りからもいけるんですね。
    絵本の里なんぞ通ったら、絵本の里止まりになってしまいそうです。
    今、超~迷ってます行くのを。
    奧宮崎か。。
    言ってみたい。。
    どないしよ。。

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  11. 雨の中を椎葉村までくねくね行くのは日帰りなら尚のこと疲れるでしょうね(>_<)
    あっちは冷えるでしょうし…
    さっき詳細地図を改めて見たら、道中は結構複雑な経路ですね^_^;

    お祭りは、今年が特別なのですか?

    まったりカフェで温かいコーヒーをズズズ…とやるのも、日頃のストレスをリセット出来てよさそうですね(^-^)

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