2012年11月30日金曜日

パリ改造とその景観 ついでに 59 ナボリ

   芸術の都パリとは良くいったものだ。昔から、パリには各種あらゆる芸術家が集まり、そしてその力を思う存分発揮してきた。ルノワールにゴッホ、そしてピカソにローレック。多くの芸術家がパリにアトリエを開いて芸術の街を発展させてきた。それはパリという街が、美に対する追求心と、芸術に対する許容力が大きいからだろう。パリの景観は美く、そしてその都市景観は素晴らしい。これはナポレオン三世の時代、日本では幕末だろうか、ジョルジュ・オスマンという政治家が 『パリ改造』 という、とても激しい都市計画を実行したからだ。

   その手法はスクラップ&ビルド。ナポレオン3世の構想に沿って、豚がおっ走っていた非衛生的なパリに、風と光を入れることを主目的として、幅員の広い大通りが設置されるとともに、道路網の整備が行われた。また街区の内側に中庭を設けて緑化を行い、開放的で衛生的な街を整備するというものだ。それを実現するためのスクラップ&ビルド。その道路網の計画地にある建物を強制的に取り壊した。強制的にである。しかしその強制破壊と都市整備によって経済は活性化。もちろん衛生的にもなった。糞尿をよけて歩かねばいけなかったパリはもちろんなくなり、現在の美しいパリとなる。パリ改造は近代都市計画に大きな影響を与え、近代都市のモデルとして今も燦々と建築の教科書には必ず記載されている。が、今はもちろんそんな強制的なスクラップビルドができる時代ではない。そんな事をしたらもちろん批判ぶ~ぶ~。しかし都市景観を考える上で批判を恐れてはパリのような美しい街は作れなかっただろう。しかし、美しい街を作ったナパオレンズは偉い。

   そのパリの景観を守るルールがある。フュゾー規制と呼ばれるものだ。パリ市45カ所に設定されたモニュメントの眺望を妨げないように、高さ規制と壁量規制が設定してあると聞く。これを利用し、行政は街の景観を保護し、良好な都市環境を維持している。もちろんその規制があるからこそ観光としてもキラリと光っている。一応景観法があるが、業者や国民はだれも守る気がない日本と違い、パリの方々はこの規定を良く守っている。もちろんこの規制があるから地味で面白く無いという人もいる。しかし、パリがパリらしく保つためにはこの規約が絶対不可欠だ。さすが法律で全ての建築は公共物と言い切っているフランスだ。日本の意識の低さとは大違いだ。

   ふとテレビを見ていると、『59 ナボリ』 と呼ばれる芸術家により不法占拠されたビルの番組をやっていた。とあるパリ市内のビルを、様々な芸術家が不法占拠し、自分達のアトリエを構えている場所だ。パリ市からは出て行けともちろん言われているが、裁判などして6ヶ月の猶予をもらったら、マスコミなどに注目されだし、パリ市民も許容したためパリ市も諦めたそうだ。写真はその外観だ。どうやらその外観はしょっちゅう変わるらしく、街歩く人々を楽しませている。芸術とは本来ボヘミアン的な物だとすれば、その世界の中でこそ創作している人々こそが本物の芸術家なのかも知れない。厳しい規制がある中でも芸術家はぐんぐんその才能を発揮し反抗して世の中に貢献していくものなのかもしれない。しかし、これはパリだからこそはえる絵だろう。日本のどこの都市でやっても、これほど注目はされないのかも知れない。日本は既に猥雑だからだ。キャンパスが白だからこそ色は映えるのだろうが、雑色の中の芸術は単なる点だ。

   そんな事を考えながら、ワインを飲んでいる。えっ、雪印のチーズに宮崎産のおワインだが、何か?

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