2013年8月4日日曜日

メーカーと工務店とわたし

   昨日の夕暮れ、母親に 『展示会の広告が来ていたから見ときなさいね』 と言われた。僕は設計屋なのだが、展示会の広告などはあまり見ない。それが母親からすれば不思議らしい。僕らがいいね ! と思う家は普通に転がっているような家ではなく、しっかり考えられて建築的に間違っていない家だからだ。安いから良いといった家には僕らは正直言えば興味が持てない。だが地元でその工務店は結構元気がある。なのでせっかくの週末であるので、たまには仕事をせんと見に行こうかと出かけて来た。

   なるほど売れるはずだというのが第一印象であった。細かいところにお客さんを惹きつけるものがある。例えばリビング上部にガラスブロックを数個入れていたり、コーナーには棚があったり、LowーEのガラスが標準装備であったり実に良くできている。だが設計屋としての目線で見ればやはり違うなという場所もあったので、まあ勝てるなと少しだがほっとした。家を作る場合、色々なアプローチがある。いわゆるハウスメーカーに頼むのか、地元の工務店に頼むのか、それとも僕のような設計屋と相談してつくるのか。予算や趣味趣向によって様々である。

   例えばハウスメーカーなどは通常は営業さんと話をする事となる。たいていの場合、営業さんが要望を聞き、その方が図面を書く。ハウスメーカーの場合、大抵は雛形が存在する。例えば家族4人で坪〇○畳で、南側入口で、洋風などと選択すればポンと家が出来上がるソフトなどを持っているところが多い。また自社で一度設計屋などに頼んだパターンなどをとりあえず持ってくる。そしてお客さんとお話しして変更するところは変更する。そんな感じで出来上がる。最初は坪28万円などとは書いているが、それはあくまで目安。犬走りを設けたらいくらですといったオプションで値段はつり上がるのがほとんどだ。営業さんらの給料を考えたら最終的には高くつくと思う。だがよいところと言えば、材料を大量に仕入れているのである程度こだわらなかったら安くつくという事。また新しい技術を取り入れる努力はさすがだと思う。

   工務店の場合は、安心感が売りだ。地元の工務店だから逃げれないのである。大抵はハウスメーカーなどのように雛形はない。その家主さんの希望を聞いて、間取りを社員や大工さんが描く。それを錬りつつ平面図を立ち上げる。木造住宅の場合は実は平面図さえ出来れば、家をつくろうと思えば出来る。難しいつくりにしなければ工務店がリーズナブルな気がする。なぜなら営業さんらに払う給料が必要無いからである。また地元の工務店の場合は、補助金がでやすいのも魅力だろう。大抵の市町村の場合、地元の工務店を使えば銭が出る。それをうまく使わな損であるのは確かだろう。

   設計屋の場合はあくまで図面を書くのが仕事だ。設計屋がつくる家の場合はこだわって作る。こだわらなければ設計屋として存在する意味が無いからだ。もちろん自由設計なのでお客の要望をまず聞いて、あとはその敷地から来る諸条件や、いわゆる建築理論を鑑み設計する。通常デザイン性はハウスメーカーや工務店などと比べて高い。それが売りであるからだ。問題は、工務店やハウスメーカーと比べ値段が高く見えるという事。ハウスメーカーや工務店は諸経費や材料費の中に設計料金は含まれているが、設計屋は別にもらう必要がある。つまり設計料金というものが見積りにもろ書いてある。国が定める設計料は大抵は1割ぐらいである。それを別枠で頂くとなるとどうしても高く見えてしまう。なので敬遠される。だがこんな時はコンペをすれば良い。競争をいれれば大抵は1割ほどは安くなる。また設計屋の強みは設計監理まで入るという事であろう。現場に行き、本当に設計図のとおり家が出来上がっているか見張るのがお仕事である。セカンドオピニオンではないのだが、やはりだれかが品質を確保する必要がある。安心をかくほするためには設計屋をいれた方が良い気がする。

   今日訪れた工務店で、宮崎での業界のお話をいろいろさせて頂きありがたかった。都会ではハウスメーカーは安いから人気があるのだが、宮崎ではハウスメーカーはブランドなので人気があると言われていた。そのとおりだろう。実際ハウスメーカーさんのは宮崎では高い。だがCM打っているので安心。。というわけだ。それでええんかい宮崎は。。と思った。

   通常は嫌がる同業者を快く入れていただいて本当にありがとうと言いたい。

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