2013年2月12日火曜日

ユニットバスより、デザイン風呂

   設計のお仕事をしていると、建材屋さんに行く機会が多い。建材の世界は新しい商品が次々に出るため、こまめな情報交換が重要だからだ。ちょっとした用事があり、宮崎県は西都市にある建材屋さんに寄った。建材担当のマダムといつものように商品の事をお話しをしていた。パンフレットを見ていると、そこにあるのはユニットバスだらけ。ちょっとだけ、なぜ備 (そなえ) 付けの浴槽などは流行らないの?と聞いてみた。というのも僕が京都で設計していた頃、よく備付けの浴槽を使ったお風呂を計画し施工したんだが、宮崎ではまず見ないからだ。マダムは答えた。 『備付けのお風呂は見た目がエッチ~からよ♡』 んなわけない !

   最近建てられる新築の場合、お風呂はユニットバスとなる場合が多い。理由は簡単安いからだ。一番安い物だと、15万ぐらいから販売されている。それにユニットバスは施工がとても簡単。ユニットを買ってきて、部屋の中に収め、給排水や電気をつなげばできあがる。また研究つくされた商品なので、水漏れの心配もほぼないし、設備機器としても申し分はない。

   それまでのお風呂は、タイル張りの場合、どうしても職人さんの手間がかかるため、大きなお金が必要であった。お風呂だけで場合によっては数人の職人が1月ぐらいかかって作っていたそうだ。それに地震などで亀裂が入った場合、水漏れの心配だってある。ユニットバスが一番最初に入ったのが、あのホテルオークラ。ホテルなので、上部の階の水漏れを防ぐためにユニットバスはちょうど良かった。また時期的にも東京オリンピックの開催という時期。施工期間の短縮しないと間に合わなかったようだ。

   設計する立場の人間から言えば、ユニットバスは楽だ。そりゃそうだ。決められた寸法のスペースを確保するだけで終わりだし、図面だってすでにメーカーが作っている。それにある程度のデザインは担保してあるため、お風呂のデザインを考える必要が全く無い。だが、どうも僕はひねくれているのか、あまりユニットバスのお風呂は好きではない。日本人はお風呂が大好きなのに、これほど室としてのお風呂にこだわらないのはどういうことだろう。

   いぜん、個人住宅のコンペに参加したことがある。場所は滋賀県のとある山の上。施主さんの希望で、コンクリート造のお家を設計した。その最上階である3階に、10畳ぐらいの大きな風呂を作った。埋め込み式の浴槽には3人ぐらい入れるし、横から泡だってでる。そしてその部屋にはワインなどを飲むためのスペースもあり、湯船に浸かれば大きな窓から琵琶湖がどっど~んと見える。もちろん外部から、すっぽんぽんは見えない角度で建物自体を設計してある。とても素敵な風景なので、あえて大きく、そして長時間入っても飽きないお風呂に設計した。もちろん、 『エッチィ~』 と我が設計事務所の若い女性職員には言われたりしたが、施主さんにはすこぶる好評で、他社を出し抜きコンペに勝利した。

   現在僕が進めようとしているスモールハウスには出来るだけユニットバスは入れたくはない。一番の理由はそのスペースが限られているのと、どうしてもデザインとしての面白みにかけるからだ。スモールハウスの醍醐味の一つとして、小さい坪数の家だからこそ、デザインにお金をかけれる事。それに小さい家はその内、出て行く事が予想されるため、魅力的なお風呂を作っておけば、売り抜けやすいし家賃収入も高く設定できるからだ。

   いろんなお風呂があっても良いとは思っている。温泉旅館のような陶製の浴槽であっても良いし、僕が設計したように、その他の機能を持たせても良い。もちろんそんなお風呂を作っている設計屋さんはこの日本にもたくさんいる。宮崎でユニットバスが多いのは、施主さんもそういったアイディアを元々持っていないし、ユニットバスが最上の物と思っているからだと僕は考えている。

   マダムよ。備え付けのお風呂は奇異に見えるのも、それは宮崎が田舎だからさ。

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2 件のコメント:

  1. スモールハウスの事もたまには思い出してあげてください。

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  2. nax2012さんコメントありがとうございます。

    仕事が忙しく、かまってやれていませんでした。
    まあ、いずれ書きます。

    返信削除

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