2012年11月12日月曜日

息を吹き返せ、木造校舎 !

   昨日木造の校舎にかかる費用について書いた。メンテナンスが高くつくのはよくわかる。しかし、僕は木造の校舎には、なんともいえない風格と気品があり、それを取り壊してコンクリートの白い学校にするのはもったいないと思う。ではそのメンテナンス費用の問題をカバーできれば、それで木造校舎は復活するだろうか。やはり違うだろう。問題は別なところにもある気がする。僕には学校の統廃合も絡んでくるような気がしてならない。今残っている校舎を大事にしながら使い、また学校のありようも変えていけば木造の校舎だって生き残れる気がする。またその建築工法が一定程度確立されれば木造校舎の復権だってあり得る気がする。

   この平成の御代になったとはいえ、日本各地を見渡せば木造校舎は残っている。僕もはっきりしたことを知っているわけではないが、未だに木造校舎が残っている場所は寒村や小さな分校が多い気がする。当たり前のことだが、県や市町村は学生が多い区域の建物を優先的に改修や改装をする。よって生徒数が10人に満たない分校などで、未だに古い木造の校舎が使われていたりするようだ。しかしそんな学校も統廃合の結果、廃校になるのは時間の問題だろう。子供10人未満の学校に予算を振り分ける余裕はすでに地方にはない。だが、だからと言って大きな都市に子供らを通わせるのはちょっと残念な気がする。子供らが故郷で過ごす時間が減ることにより、彼らが大人になりその故郷には帰らない気がしてならない。過疎化している土地をさらに過疎化させる要因の一つはここにあるように思う。現存する木造校舎と過疎の問題は切っても切れない気がする。

   では実際使っている小さな学校の一部の教室を企業、または公共団体が使うことはできないだろうか?今はネットの時代だ。新しい企業だってどんどん生まれている。そんな企業が小学校などの中に存在する事は難しいのだろうか。もちろん新しい企業でなくてもよい。昔からある企業だってかまわない。木造の良いところは模様替えや改装が簡単にできるということだ。企業にとっても他の団体にとっても悪くはない話だと思う。周りを子供らが走っていたら仕事にならないだろうか。僕だったら別にかまわない。実際今の職場は社長の孫さんらが僕のところに遊びに来る。これが結構良い気晴らしにもなっている。もちろん業種によっては難しいかもしれないが、僕がやっている設計やインスペクションのお仕事なら問題ない。別に公共機関だってかまわない。駐在さんなどが小学校の校舎などに入るのは別に悪いことではない。もちろん役所の一部を移設してもかまわない。そんな外部の団体が入ることにより、家賃収入だってるだろう。この家賃収入を基にして建物のメンテナンス費に回せばよい。それに隣に学校があることにより、子供がいる世代などはちょうど良いのではないだろうか。もちろん大人がいるので変質者だって入りにくいだろう。僕には木造校舎の良い点を再評価そして利用すれば、地域社会にも子供や親にも、そして企業や団体にとっても良い気がしてならない。三方良しとはこの事だと思うが、どうだろう。

   僕が東京にいたころ、インスペクションの関係で 『ものづくり大学』 というところに行ってきた。このコンクリート製の廃校は現在、家具職人のアトリエやネット企業などに貸していたり、いろんなワークショップの場として提供されている。しかしこれは東京のお話。そんなに田舎で廃校を使ってうまくいくかといえば難しいかもしれない。しかし、だからこそ廃校して解体する前に 『ものづくり大学』 をやるれば良い。現在木造校舎跡を使って仕事をしている人々がいる。しかしどこか好きものだからこそできる気がする。しかし好きもの以外の人々でも普通に働ける環境さえ作れば、古びた木造校舎も息を吹き返す気がする。

   僕は宮崎県木城町にある石河内小学校がという廃校が好きだ。この廃校はコンクリート製だが、どこか木造を引きずった意匠となっている。この廃校からみる景色は本当に素晴らしい。この学校は今年の3月で廃校になったのだが、現在どのように使うか町役場で検討されていると聞く。しかしなかなか企業も入らないそうだ。そりゃ周りに学校がないところに企業が、えっせらせと入るかと言えば、そんなに世間は甘くはない。だからこそ早く手を打つべきだったと思う。特に木造の校舎は好きな人は好きだ。そんな木造校舎でお仕事したい人はこの日本にはわんさかいる気がする。早く文科省の方々もその変気づいてほしいと思う。国交省のこれからの研究にも期待したい。

   木造の学校も運営次第で復活すると僕はひそかに期待している。

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2 件のコメント:

  1. 石河内小学校…復活して欲しいですね、ほんとに。
    こないだ訪れたときは、閉校後居なくなっていた鯉が、また池のなかに放してあって、お水も綺麗になっていました!

    誰がやったのか、水面にはピンクの山茶花が睡蓮みたいに浮かべてあって、感激しました(^-^)

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  2. 確かに復活して欲しいですね。
    実はちょっとプロジェクトを勝手に進めている団体があるんです。
    福岡のNPOさんなんですが、石河内小学校をなんとか利用して仕事ができないかとね。
    でも、学校は閉鎖したら中々仕事も出来ずらい環境にあるのは事実ですね。

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