2013年4月8日月曜日

明治と平成の発音矯正

龍馬はん
   宮崎の人間が他の都道府県へ行った時に苦労することが方言だ。自慢じゃないが他県に出るまでは宮崎弁は九州で一番共通語に近いと思っていた。言葉自体がそれほど他県と違い、共通語とそれほどかけ離れてはいないからだ。宮崎の南にある鹿児島は言わずとしれた薩摩弁。仕事で営業などしていた時期があるのだが、鹿児島に入ったとたんよく分らん。。兄ちゃん俺の言葉わからんか~と営業しながらよく言われたもんだ。。また九州山脈をまたいだ熊本の言葉は○○とバイなどと言って言葉からして違う。正直宮崎を出るまでは、この田舎モンが。。と馬鹿にしていたのだが、人生初めて一人暮らしをした福岡で 『どんげかせんとイカン!(共通語で、どげんかせんとイカン!)と感じた。てげ俺は宮崎弁じゃないか ! と自分の言葉ながらびびってしまった。。宮崎の方言は言葉自体に違いがあるわけではなくイントネーションやアクセントがどうも訛っている。。抑揚が大きいイントネーション。そしてアクセントの観念がゼロのため、橋と箸の区別が付かない。。と言うよりアクセント自体があることを知らない。。京都などに住み、京都の方々と喋る場合、宮崎言葉などを出すと馬鹿にされるため、僕はがんばって訛りをなおしたもんだ。僕だけでなく宮崎の人々は他県に出ると訛りを直そうと努力されていると聞く。だが世の中訛りを直すつもりのない国柄の方々が結構いる。素敵だ。

   幕末に、薩長同盟や大政奉還に尽力した坂本龍馬は生涯、全国どこに行っても誰に会っても土佐弁で押し通したらしい。昔から土佐言葉は土佐人にとってお国自慢の一つに数えられてきた。土佐人は江戸弁や上方言葉よりも土佐弁のほうが日本語として正しいと思っていたフシがある。方言による劣等感を持たなかったばかりか軽い優越感すら持っていたようだ。例えば知り合いの土佐生まれの娘は水の事を midu と発音する。づを発音する事ができるのである。づとずを区別する。ぢとじを明瞭に発音するのだ。明治の初めに新しい仮名遣いになった一番の被害者は高知県の小学生だろう。彼らにとってはづとずは全く別物なのに、それを全てずとして書かねばならなかったからだ。維新後、文部省は今では不思議なことだと思うが、発音矯正教育というものをやった。面白い事に奥州会津の小学校でのそれは、東京の教師は呼ばれず僻地の土佐から呼ばれたようだ。兵隊をヘータイとよばずヘイタイと言い、整理をセーリと呼ばずセイリと呼ぶ土佐人は、当時から明快な日本語を話すと認識されていた一例と言えよう。

三笠。。かっけ~
   この発音矯正というものは、その必要性から取られた教育と言える。太平洋戦争で連合艦隊を率いて真珠湾攻撃を計画した山本五十六は明治時代に軍隊に入った。その最初の授業がこの発音矯正教育だったそうだ。軍隊というのは命令一下すべての人間が動かなければ役に立たない。帝国主義の時代、国民国家は軍隊を否応なく強くする必要がある。まだ鎮台と呼ばれていた頃の軍隊ならいざ知らず、国民の軍隊となれば統一した言葉を必要とした。そりゃそうだ。日本海海戦において東郷平八郎が 『皇国の荒廃コノ一戦ニアリ  各員一層奮励努力セヨ』 とZ旗を旗艦である三笠に掲げ隷下の艦隊に伝えたが、これが『皇国ん興廃こん一戦にあっちゃじっ  皆てげ気張れ』 では様にならない。『12ポンド砲  急ギ打テ』 なら良いが 『12ポンド砲  てげ急げ』では敵艦スワロフに当たる弾も当たらない気がする。

   そんな軍隊から広まった共通日本語も戦争に敗れて終わったのだが、昭和にテレビが一般家庭にも入り込みだした辺りから更に方言が窮屈になった。もちろんこの時は国家の強制ではない。だが最近の人々は以前ほどはテレビを見なくなったので以前よりも方言丸出しの方々が増えてきたようだ。田舎者の僕は少しだけだが嬉しい。だがまた矯正せなイカン時代となってきたような気がしている。というのも最近スマホやiPadで音声入力が増えてきたからだ。やはり訛っていては音声は入力できないようで、僕は非常に苦労している。

   やっぱり直さなイカンだろうね。。
   訛っている覚えなどは、ねぇっちゃけんど。。

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明日も真面目に書きますんで。.

2 件のコメント:

  1. 初めてコメントいたします。時々読ませていただいていましたがまさか毎日書かれているとは思っていませんでした。

    さて、方言の話は実に面白いですね。明治以降、東北のズーズー弁と呼ばれる言葉はかなり矯正されたと、井上ひさしさんの著作でかなり読みました。思想はともかくとして、氏の日本語に対する著作はかなり面白いです。

    わたくしも同じような記憶があり幼き頃は我々はテレビで喋っている言葉と同じ言葉をしゃべっていると信じていました。
    大阪弁とか東北弁とは違うと(笑)。そのような感じでしたので、上京して電車に乗った時に周りの会話を聞いて、
    「これはイカン!年寄りのばあちゃんがテレビの歌手と同じようにしゃべっている!男がしゃべる言葉はどうだ、まるで、オカマではないか!」と。

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  2. uran さん、コメントありがとうございます。

    そ~なんです。毎日ひぃひぃ言いながら書いているんです。
    ネタなんて1年以上前に尽き果て、自己主張することも既に書いてしまって、日々ネタに苦労する毎日です。。といいながら、ネタが浮かぶまでが大変で。。浮かんだらびゃ~って書いています。

    方言はなおランですね。。別に直すつもりもないですが、さすがにスマートフォンが聞き取ってくれないと結構へこむモンです。

    毎日どうでもよい事ばかり書いてますが、また読んで下さい。
    よろしくお願いします。

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