2013年9月24日火曜日

ハウスメーカーの見積もりに嘘があった。。


   先週の木曜の夕方、以前僕がパソコンのお勉強で通った職業訓練校時代のクラスメートからお電話が入った。嫁さんが新築を作るらしいのだが、来た見積もりが適正金額かよくわからないので確認をしてほしいとの事だ。まあ一般人には家の見積もりほど理解不能なものはない。まず各部位の名称は分らないだろうし、それが適正な金額かもどうか理解できないだろう。だが見積もりを見ただけではしっかりした回答は出来ない。補助金の有無や敷地の場所により、必要なお仕事量が違うからである。よって役所に行き聞き取り調査、また敷地に行き現地を見て、金曜の夕方にお話をする事になった。

   まずは見積もりより先にハウスメーカーさんが書いた図面を見せてくれた。ぱっと見て思ったのが、う~ん、見た事がある。。僕は職業柄、新聞チラシなどに出る展示会の図面を集めている。さすがに結構な量を見ていると大抵は忘れるのだが、その間取りには見覚えがある。。う~ん。。どこだったか。。と一瞬考えたが、すぐに思い出した。その間取りはまさに僕の家から1㎞の場所に今年の春に出来たお家そのもの。こっそり外資系社員という嘘の肩書きで潜入したお家であった。よく見ると、窓やドアなどの位置は違うが全く同じと言って良い間取りであった。。『これどのくらい相談したの?』と嫁さんに聞く。『2ヶ月ぐらいかな。。』と彼女は言った。なので『もそっと気合いを入れて図面を書け言っとき!』と言ってあげた。

   だが気持ちも分らんではない。一般的に工務店は坪単価にこだわる。『うちは安いですよ!』とするためには設計に力を入れる事、つまり時間をかける訳にはイカンからだ。なのでネット上で拾った図面や、自分のとこで以前作った(もしくは、どっかの設計事務所でつくってもらったデザイン風の家)の図面を使う事が多い。だがさすがに2ヶ月もかけて9割方同じ設計もどうかとは思う。。だが嫁さんが言った。営業さんが、『普通、木造の設計は無料ですよ!』と言っていたと。まずそれは嘘である。。まあ、一般の人には分らないだろうが、工事をするよりも設計は時間がかかるもの。無料って事はありえない。。名目として設計料金を入れていないだけである。
 
   そんなお話をしながら、とりあえず見積もりを見せて頂いた。さすが地元でがんばっているハウスメーカーであるだけあって安い。。とは言いがたい。。まあよく見れば安い部材をを使っているのが目立つ。まあ坪単価は正直言えばあと3万ぐらいは下がるであろうと思われた。このお家は30坪程度の家なので、約90万ぐらいは僕の感覚では高いという事である。つまりそれがこのハウスメーカーの純利益という事だ(本当はもっとある気がする。。)またつらつら見ていると、電気工事代金が30坪で160万と来ていた。僕が最近設計したお家は約36坪で約110万(電気キーなどの、ちと高い仕様です)であったので、やはり高い。そして水道工事代がまた95万と来ていた。僕の36坪の家で65万くらい。。どえらい高いじゃないか。。だが一番の問題はその他にあった。

   建物を建てる場合、『こんな建物を建てるのですが、法律上どうでしょう?問題ないですか?』と役所にお伺いを立てねばならない。これを確認申請という。これは各市町村が定めるところの都市計画区域内にお家などを建てる場合には提出しなくてはいけない。仮に区域外の敷地であると確認申請は必要無く、たんなる工事届けだけ必要となる。

   実はあまり知られていないが、確認申請業務最低12万運動というものがある。これは設計事務所が工務店の下請けである場合、『設計をさせてあげたのだから、無料で確認申請をやってね♡』と言われる事が常習化している。確認申請を作るのにももちろん設計事務所は手間暇かかるのだが、仕事を頂いている関係上強く出れないのが設計屋としては辛いところ。なのでこんな運動が始まったようだ。僕の場合だと通常は15万程度。そして自分の設計出ない場合、つまり工務店の下請けとした場合は大抵は20万ほどでやっている。まあこれが相場だと思う。

   その見積もりには25万と書いてあった。まあどこかに確認申請業務を発注するのであるから、このハウスメーカーとしては5万ほどの儲けをだすつもりだろう。そこはぶ~ぶ~言うてはならない。経費もかかるからである。だが問題はそこではない。実はこの土地は都市計画区域外。つまり確認申請自体が必要無い場所であるという事である。なので本来は確認申請ではなく工事届けのみの料金であって、本当はお客から確認申請費用名目としては請求してはならないものであった。この建築工事届けとは、統計調査に使うのが目的?(間違えていたらごめんなさい)であり、建物の用途や面積、設計者や施工者、施主の職業や工事費などを記入し提出するだけだ。へたすりゃ無料でやってくれるところもある。という事であきらかに素人さんを騙していると僕は思った。

   あえて少なく見積もっても、その見積もりは約200万ぐらいは本当の金額との差があると僕は教えてあげた。『騙しているの?』と友人が怒っていた。だが『そうとは言えない』と言ってあげた。その200万の内には設計料金が含まれているし、営業さんや事務員の姉さんの給料も含まれている。なのでハウスメーカーとしての限界であるとも教えてあげた。まあ確認申請費用は明らかに騙しているが。。

   僕ら設計屋の料金は工事金額の1割程度である。その中には間取りを決める基本設計や、現場の人々に伝えるための実地設計、そして第三者として家主さんの側にたって現場で見張る設計監理が含まれる。そのお家の坪数からざっくり言えば、工事金額は1300万程度。つまり僕ら設計屋が設計で入って頂く料金は130万である。もちろん僕の事務所には綺麗な受付嬢もいない(ホントは欲しい。。)し、営業さんもいない。なのでその金額で何とかなる。そして、もちろんだが設計屋は設計図面を書くのがお仕事。ハウスメーカーや工務店さんなどに負ける図面を書くぐらいなら看板を下ろさなくてはならない。なのでホント一生懸命図面を書く。

   翌日の土曜にその友人夫婦にそのメーカーの展示会があるから一緒に来てくれと頼まれた。僕はホームインスペクションと言う建物の調査もする。本当はインスペクションの中には内覧会調査という専門的な助言をするのも含まれるのでお金を頂かなくてはならないが、友人なのでそこは無料とした。すると営業さんがわんさか。。4人もいらした。。

   そりゃ高いわな。。と思った。。

   まあサービスにお金をかけるという考えなら別にここでも良いとは思うが。。

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実は設計屋が一番リーズナブルなんだが。。

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