2013年3月30日土曜日

田の神さぁ~泥棒

   最近、外で作業などしていると、ずいぶん暖かくなったなぁ~と感じる。すっかりカエルがぴょんぴょん跳んでいるし、今日などは、ふと庭先でミミズが早くも干からびかけていたので、良い子の僕は助けてあげた。周りの大人達はそろそろ田植えの準備せなイカンと言っている。僕の地元には田んぼの神様などの石像があちこちに建っている。中には何を祭っているのか近所の婆さんでさえ知らないものも多い。だがとりあえず拝んではる。良い子の僕も、まあ縁起もんだろうととりあえず拝んでいる。僕は昔から苔むす石像が好きだ。道ばたに昔からその場所にずっとその石像があると思うだけで少し嬉しくなる。そんな石像好きな僕が昔から興味をそそる石像がある。名前は 『田の神さぁ~』 という。主に九州南部で見られる石像らしいのだが、宮崎県はえびの市にある田の神さぁ~は独特だ。見た目はどっかの半島の神様のような感じだが、もちろんパクって来たわけではない。仮にどっかの半島からえらい昔にパクって来たとしたら、今頃半島の方々がこっそり盗んで帰り、向こうの方々がマスコット人形を持参して 『友好をはかるニダ』 と来ていたはずだ。なぜ僕がこの石像に興味があるかと言えば 『オットイ田の神さぁ~』 という習慣があったからだ。

   『オットイ田の神さぁ~』のオットルとは、『取る』がなまって盗むのこという方言で、オットイ田の神とは盗まれた田の神の事、または田の神を盗むことを言う。豊作の続く地区の田のご神像を田んぼに置くと米が豊作になるというので、よその田の神像を盗んでたというものだ。また、田を新しく開いたばかりの地域は、もちろん神様などはいない。よってどっかの半島の方々のように石像を盗みに行くそうだ。実際には借りていたようで、地域にもよるが数年たつと返却してたようだ。返却する際は正装した行列が派手に楽器を鳴らしながら他の神様を送り出し、盗まれた村では、村境まで迎えに行って合同で大きな酒盛りを開いたと言われている。

   だが、そんな礼儀正しい人々ばかりではないだろう。盗んだ神様は俺がもんという人々も多かったようで、盗まれないように大きな石像の田の神さまが作られたり、家の納屋の奧に隠していたりもしたようだ。実際僕が幼い頃などは、宮崎県民なら誰でも知っているテレビ 『さんさんサタデー』 という番組(高橋巨典アナ大活躍 ! )で盗んで隠している田の神さまを放送していた。そんな番組を見ながら、良い子の僕は、大人になったら絶対盗んでやる ! と心に誓ってた。

   調べてみたら、田の神さまを石に刻んでつくり豊作を祈願する風習は、旧薩摩藩領内で18世紀初めに始まった独特の文化だそうだ。宮崎県えびの市は旧薩摩藩領内にあたるためそんな石像が多いようだ。また田の神さまはとても温厚な神様らしく、絶対にたたらない神様とも言われている。神無月 (たしか10月。。) になれば日本中の神様が出雲に集まってどっかの国の中央委員会のようなもんを開くのだが、そんな周りの神様が忙しい時も地元で留守居役をされているようで、毎日田んぼを見守ってくれていると言われている。

   農村のあぜ道に立っていて、ただ田んぼと農作業の日常を見守り続けてきた庶民的な神様は、現在は盗まれないようにか、コンクリートの台座の上に祭られている。その表情はユーモラスでく、僕のようやさしい顔をしている。

   だが思うんだ。.

   コンクリじゃ盗めんじゃなか。。チクショウ。。

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