2012年12月18日火曜日

太陽光発電が町を被う日

   片流れの屋根と言う物がある。通常の切り妻屋根と違い、片方の屋根のみ傾斜している物をいう。僕が今回設計している家は屋根が片流れであり、南側が高くそして北側が低かった。南側を高くしていたのは軒のでが一部1500㎜も出ていたので、24畳もあるリビングをに大量の太陽光を取り入れるためである。しかし、最後の最後でその屋根の傾斜が真逆に変更されてしまった。理由はいずれ太陽光発電を入れるからというものだ。僕は不満があるのだが、施主さん的にはその方がよいと言うんでしょうがない。工務店的にもその方がいいということだ。後ほど施工を依頼されるわけで、利益が上がるからだ。だが、僕はちょっと悲しかった。なぜなら僕は太陽光発電が大嫌いだからだ。

   太陽光発電は本当に元が取れる商品なのかはよくは知らないが、僕はとても好きにはなれない。とかく設計屋に太陽光発電は評判が悪い。なぜならその屋根の一部をどど~んと占領し、デザインに与える影響がとても大きいからだ。それに、最近はそうでもないのかもしれないが、必ず南面につけねばならず、そのみたくれが気になって気になってしょうがない。どうもサングラスをかけているようで納得がいかんのだ。しかし、もう少し技術が進めば、屋根の上に設置しても全く気づかないぐらいの太陽光発電はできんのだろうか。。う~ん。。まだまだ先だな。.

   石州瓦というもんがある。石州瓦とは日本三大瓦の一つで、その特徴は赤い薬剤が塗られている事だ。そして強度が高いため豪雪地帯などによく使われいたりする。もちろんだが、その生産地で有名な島根県の家々では、赤い屋根の住居がずらりと並んでいる。その街並みは美しく、それを見に来る観光客もいるそうだ。これは、一定の統一した色で町を被う事で、地域の景観美を統一し、それにより町の価値を高めているわけだ。ふと朝方NHKのニュースを見ていたら、その石州瓦で有名な島根県のとある町の首長さんがインタビューに答えていた。最近、この町でも太陽光発電が入ってきて、せっかくの赤い屋根が次々に太陽光発電に乗っ取られ、せっかくの美しい屋根らが見えなくなってきたと嘆いてらっしゃった。どうにか行政として、一部の地区は太陽光発電を禁止しようと考えてらっしゃるが、地域の人々から見れば、電気代が安いし~と言う理由で中々まとまらないという事だ。景観計画や条例がなかったから起きている悲劇だと僕は思う。せっかく先祖代々受け継いできた美しさを、たかだか電気代でかなぐり捨てる。僕はそのような考えは好きにはなれない。

   景観とは町の価値を高める上で非常に重要な考え方だと僕は思う。己の利益のみ追求し、町の資産を下げると、のちのちしっぺ返しをくらう。そんな事がこの国にはあふれている。

   全ての家々の住宅屋根を太陽光パネルに国はしたいんだろうか。。自然エネルギーを買い取る制度があるが、その代金は確か電気代金の値上げを促す。ドイツはそれで苦しんでいる。もう少しじっくり考える必要がある気がする。

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3 件のコメント:

  1. なるほどですね…
    最近宮崎でもよく見かける様になった造りの屋根、あれは、「片流れ」って言うのですね??
    単なる流行りのデザインかと思っていました~
    モノトーンカラーのシンプルな形の片流れ屋根の家をよく見ますよね?
    最近、福祉施設もそんな造りの一見お洒落な物が増えている気がします。

    北海道も、飛行機の離着陸の時に見下ろす家並みは、みんな整然とおんなじ屋根で、
    友人と感嘆したのを覚えています!
    やはり、雪下ろしのために考えられた造りで、みんな平坦だったような…

    そう言えば今朝、FMラジオで、『中古住宅購入の際にはまずインスペクションをすべきです!それからリフォームを!』みたいな事を行ってましたよ(^.^)

    ※話は変わりますが、景観さんのお車って、黒くて四角い感じのタイプの普通車じゃないですよね…?全然違っていたらごめんなさい(>_<)

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  2. 訂正です!

    北海道は、雪下ろしって、必要ないみたいですね!
    雪が小麦粉みたくサラサラしていて風で飛ばされやすいから、屋根には積もりにくい、かつ、
    『無落雪屋根』という平坦な造りの屋根が多いから、
    北海道は雪下ろしの必要が東北地方みたいには無いんですってね(^-^)

    さっきネットでお勉強しました(^-^;

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  3. 昔は、北海道の屋根と言えば勾配がきつく、雪を下に落とす構造となってたんだと思うんですが、最近は建物が雪の重みに耐えれるので、そういった構造になっているんでしょうね。
    そして書かれているように、北海道の雪はさらさらとしているので、東北ほど屋根の計画がやっかいではないのは確かですね。

    片流れは建物の幅がそれほど長くない時に使いますね。
    確かに流行ってのもありますが、敷地が細長い時などは設計する立場から言えば便利ですね。まあ大工さんは嫌いみたいですが。。

    おお、インスペクションのこと言ってましたか。
    やっと時代が追いついてきましたね。
    日本の仲介業は建物の事は素人ですので、取引で瑕疵があっても気づかないし、気づいても見ないふりをしていますので問題が多いんです。
    そろそろインスペクションの会社やそのホームページを作る準備をせねばね~なんて思ってますが、設計が忙しく今週はダイアナって喫茶店にこもります。。

    僕の車ですか?
    シルバーのTOYOTAです。
    名前はラクティスだったかな。。
    余っていた母親の車を僕が引き取った形です。
    周りには『いい女号』と呼ばれてま~す(本当は呼ばせている。。)
    どこかで見間違えられたんでしょうね。

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