2013年5月31日金曜日

居心地の悪い間取りを愛す

引きこもるわな
   先週末に行われた展示会で知り合ったお客さんと面談をしてきた。もうあらかた他社で図面を練っていたのだが、どうも踏み切れない様子で僕の会社の方へ話が来た。だが問題は時間が無いという事。銀行の融資の関係で来月の半ばにはデザインから工事金額まで一切合切を決めねばならないとの事だ。コンセプトは 『和モダンな家』 どういったものが 『和モダン』 なのか曖昧な部分もあるが、進めなくてはならない。家主さんが雰囲気の良さそうな方だったので、がんばって良い家を作ってあげようと心に決めた。まあ、間取りなどは来週までに作らねばならないので、こっちサイドはもの凄く厳しいし、予算的にも厳しいのだが、すてきな設計屋さんなのでがんばらなくてはならない。。家主さんの希望は和風デザインの他にも、キッチンなどの動線にこだわり、また子供の生活にもこだわっている。今日の面談はコンセプトを頂くための面談だったのだが、ざっくりとしたアイデアは提出してきた。僕が提案したのは、居心地の悪い子供部屋だ。

   具体的に居心地の悪い子供部屋とは、小さな小さな子供部屋のことを言う。厳密に言えば部屋と呼べるものではなく、窓付きの天井の高い押入れ程度の部屋の事。その中にはベットと棚しかない。大体 2.5m × 1.5m ぐらいだろうか。要は寝ることができるというだけだ。ちょっとした本棚と、冬物の布団置き場がある程度だ。そして涼しく寝れるように窓も設ける。そんな子供部屋を提案した。

作らないが。。かっけ~
   それでは勉強机が入らないじゃないかと言われれば、その通りである。初めから入れるつもりはさらさらない。ではどうするかと言えば、それは別の場所に勉強するスペースを設ける。つまり勉強部屋を作るという事だ。考えて頂きたい。勉強するのに本は絶対必要だし、今の時代パソコンだって使わねばならない。それらを子供部屋という閉鎖的な空間にベットなどと一緒に置くので散らかるのである。特に本などは、それ自体が小さく、また本の色も様々なので散らかって見えやすい。なので勉強部屋は作るべきだと僕は思う。もちろんそれらは子供がしっかり快適に勉強できる空間であるべきだ。なのでしっかりと風が入り気持ちの良い空間であるべきだと思う。またそれらは親の目の届く場所に配置する必要もあるし、使いやすいカタチを追求するべきだとも思う。

   また子供のウォークインクローゼットだって設けた方が僕は良いと思う。もちろんそれは子供部屋を 2.5m × 1.5m ぐらいで作ると服を入れる場所がないという理由もあるが、子供は意外と収納スペースを必要とするからだ。幼い頃に遊んだおもちゃを残しておきたい場合だってあるし、それに中学などでは部活だってするだろう。それを小さなクローゼットに全て綺麗に入れるのには収納の達人でないかぎり難しいと思う。なのでウォークインクローゼットを 2m × 2m ぐらいはとっても別に悪くはない気がする。

   これらの考えは、子供を引きこもりにさせないという考えから来ている。僕らが幼い頃と違い、現代の子供は生まれた頃からインターネットがあり、学校教育ではパソコンを教えている。既にリビングでテレビを見て一家団欒の時代ではない。大きな子供部屋を作るとそこが強力なプライベート空間となってしまう。引きこもりはそこから生まれると思う。一部の PTA の方々も実際に小さい子供部屋を進めている。子供が成長すると、当たり前だが子供は巣立つもの。そのために大きな部屋を取るのは勿体ないと思う。小さな部屋を子供に使わせ、子供らが巣立つと物置にしてしまえば良い気がぼんやりとだがしている。

小屋裏部屋でもかまわない
   家主さんにその事を伝えたら、 『面白いアイディアだけど、作るのには勇気がいるな~』 と言われた。まあ、そうだろう。周りにそのような間取りを作っている人などはいない (宮崎では。。) からだ。だが、周りがそうしていないと言う理由で、良いアイディアを潰すのは間違いだと思う。

   だが家主さんの 『勇気がいるな~』 と言う言葉はホント嬉しかった。この家主さんは家の事を真剣に考えている良い家主さんだと思ったからだ。そんな方々のために、僕は考えて考えて家を作りたい。今から勝負だと思う。どこと勝負するかと言えば自分とだ。自分でも訳が分らなくなって、そこから物事は始まるのだと思う。そこから家は家らしくなっていく。

   大工さんにそのアイディアを言ったら、 『また変な事を考えてるな~』 と言われてしまった。『子供部屋は普通6帖にクローゼット ! 』 と念を押されてしまった。。まあ、それはしょうがない。大工さんらの考えは 『建設』 であり、僕ら設計屋のは 『建築』 だからだ。住んでいる世界が違うので、考えている方向性が違うのはしょうがないと思う。勉強してきた課程も違うし、建物に対して見ている方向も違うからだ。

   だが、良いアイディアだと思うんだな。。

   どうやら、大工好みの家にはなりそうではない。。

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