2013年5月14日火曜日

縁側のスイカはセピア色

   知らない田舎道を車で運転する機会が多い。普段から僕はナビを使用しながら目的地に向かって運転している。ナビといっても僕の車にはナビはついてはいない。もっぱら自分のスマートフォンの Google Map を頼りにしている。車をしっかりと止め、目的地を入力すると携帯がナビ代わりとなってくれている。便利な時代になったもんだとつくづく感心している。今日は介護保険住宅改修のケアマネージャーさんへのご挨拶のためドサ回りをしてきた。名刺を持ってのご挨拶だ。いつものようにスマートフォンに住所を登録し、そのナビの音声に沿って車を進めていく。 Google Map の素敵なところは最短の道を教えてくれるところだろう。女性の声で 『右です ♡ 』 という音声に従って車を進めていくと、 『目的地へ到着しました。お疲れ様でした。』 と音声が聞こえた。だがそこは田んぼの脇道。。それもドン突きのドン突き。。田んぼの向こうに居宅事業所がある。。田んぼのあぜ道までしっかりデータが入っている。さすが Google さんである。おかげで幅員3メートルの道を200メートルもバックさせられてもうた。。嘘つき。。

   だがそんな携帯の使い方をしていては、すぐに充電が切れるもの。今日も2時過ぎには電池があと10%と携帯がピッカピカしよる。しょうが無いのでまだ寄っていない、地元の包括支援センターさんへ寄ろうと先日も書いた宮崎県は高鍋町にある高鍋城公園 (城から声が掛ったら、断れないも読もう ! ) の駐車場へ寄った。そこでしっかりと車を止め、携帯で包括支援センターを検索するためである。周りを見渡せば仕事をさぼっているサラリーマンだらけだ。実にけしからん ! そんな事を考えながら、石垣を見ながら携帯いじっていると、どこからもなく声が聞こえる。 『おお~また来たか~、ま~そ~言わんとトイレでも寄っていけ~』  きっと秋月の殿様だ :D と思うと、妙にトイレに行きたくなった。殿様には逆らえないのである。

   トイレで用を足し、いざ包括支援へ ! とは思ったのだが、そのトイレの脇には何か良さげな建物がある。どうやら無料で公開されているらしいのでちょっとだけ寄った。その建物は僕のご先祖さんが仕えていた秋月家の建物で、実際に昭和の中頃まで使われていた建物らしい。そこは茶室として使われていたのか、とても小さい建物だ。10畳の本間の和室があり、その一辺が玄関で、他の3方には縁側が作ってある。その縁側がとても美しくまとめてあり高貴な風合いが良く出ている。さすがは大名家が作った建物であると感心してしまった。

   縁側とは言わずと知れた日本建築の独特の様式である。海外で似たようなものとしてはポーチやベランダと言えるかもしれないが、同じような使い方はされていないような気がする。縁側は大きく分けて2種類あると言われている。一つは建物の外に簡易的につける濡れ縁。これは読んで字のごとく、濡れても良い縁側で、最近の住宅で縁側と言ったら濡れ縁が多い。もう一つがくれ縁と呼ばれるもの。これは和室の外側を縁側として作り、雨が浸入を防ぐため雨戸などで閉めれるタイプを言う。

   よくよく考えると最近の住宅は縁側を設ける事が少なくなった。本来は縁側は建物の正面に設ける事が多いが、和室の用途が仏壇置き場程度しか考えていない現代では、和室が建物の表ではなく裏にある事が多い。なので縁側自体にこだわって作る機会はめっきり減ったと感じている。昔は縁側をいかに美しく作るかを設計する人間は考えたであろう。そこが仲の良い友人らが茶飲み話や将棋などをしに来るところだからだ。そんな所はそれは気持ちの良い空間にしなくてはならない。だが、そんな時代は今は昔の事となっている。

   だが縁側はやはりあった方が良いと思うらしく、施主さんも縁側を要求する事がよくある。僕はしないようにしているが、大抵は洋間であるリビングの外に大きな踏み石を置き、 『ハイ、縁側(もどき) !! 』 としている住宅をよく見る。だがこれでは知り合いらが来て、茶飲み話ができるかと言えば、違う気がする。たんなるぞうリっぱ置き場になっているところが多い。

   現代では縁側の機能が大きなウッドデッキなどに置き換えられる気がする。だが屋根がない日向のウッドデッキで食べるスイカと、日陰である縁側で食べるスイカは味が違うと思うし、団らんの風景も変わってくると思う。次に作る家は、そんな風景も考えながら設計しよう。

秋月の殿様の家でそんな事を考えた。

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実はスイカよりもガリガリ君が好きなんですが。。

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