2013年5月18日土曜日

里山の忠犬

   僕は宮崎県のど田舎に住んでいる。宮崎の田舎なのでもちろん農業が町の主な産業である。最近は農業の大型化が流行らしく、大勢の従業員をかかえた農業法人があちらこちらで動いてらっしゃる。収穫時期にでもなると、一つの畑に10人以上の従業員でお働きになり、その脇にはきっと遠くまで行くダンプが横止めしてその収穫物を手際よく積み込んでいる。 TPP が日本にやってくる。 TPP は日本の農業を大きく変えるのは間違いないだろう。どれほどの農家が生き残れるかは分らない。だが TPP が来る以前に僕の町の農業は大問題を抱えてくる。お猿さんである。お猿さんが野菜などの収穫物を泥棒しよるのだ。

   以前は僕の実家はお米を作っていた。山間の小さな川の脇に僕の家の田んぼがあったのだが、現在は作ってはいない。理由は第一にお米をつくるには労力がいる。農業機械はもちろん必要だし、それに普段はサラリーもらって仕事している人間が、毎週末に農業は大変だから。そしてもう一つの理由がお猿さんである。お猿さんらが米を泥棒していくのだ。ある夏の夕暮れの事、それを知って頭に来た僕は、ロケット花火を持って田んぼに向かったら、お猿さんらが10匹ほどいた。み~んな、我が家が植えた稲を食べてやがる。お猿さんらの動物的感で、心根の優しい人が来たと思ったのか全く逃げはしない。頭に来た本当は優しい僕は、ロケット花火で退治してあげた。弓矢かなにかで1匹ぐらいは仕留めておき、見せしめに磔つけ獄門ぐらいはしたかったのだが、ヤサ男なので辞めてあげた。

   もちろん本業の農家さんらからみれば、お猿さんらは鬼畜米英なみに憎い。聞くところによると、ものの10分ぐらいでカボチャなどは30個ぐらいは盗まれるそうだ。そりゃ憎いだろう。もちろんいろんな対策をされている。近づけば、 『 ぱーん ! 』 と音が鳴る機械 (僕もビビる。。) やネットなどを取り付けているが、あまり効果は出ていないようだ。だが農業法人さんらはさすがにお利口さんである。できる限り、お猿さんがでる山間の畑は避けて土地を選び農業されている。どうしても山間の畑を使う場合は、電流が流れる金網フェンスを設置してお猿さんのご訪問を拒んでいる。だが僕には日本の原風景である里山が金網フェンスだらけになるのは忍びない。せっかくの田園風景に金網のフェンスがあり、そこに黄色い看板で 『電流注意 !! 』 と書いてあるのを見る度に、この町には住みたくなくなる。生活のためとは知っているのだが、何とかならんかと、ずっと考えていた。

   先日のこと、BSプレミアムさまの 『新日本風土記』 を見た。以前からこの番組を愛しているくせに、忙しく見れてはいない。だがふと目に入った犬が可愛らしく見入ってしまった。その番組で面白い犬を紹介していた。面白い犬と言っても普通の柴犬である。この柴犬は単なる柴犬ではなく、畑をお猿さんらから守る番犬だ。犬と猿は犬猿の仲とはよくいったもので、昔からお互いが大嫌いである。その習性を利用した農業で、柴犬を畑に放し飼いをしていた。もちろん周りには柵がある。だが金属フェンスではなく、もう少し原始的なネットである。そのネットにお猿さんが侵入しようとすると、犬が追っかけ回すというもの。もちろん被害は少しは出るであろうが、少なくとも金網の電流フェンスよりもお金はかからないし、里山の美しい風景は守れている。

   昔から日本人はこうやって犬を使ってきたのだと思った。それを普通に使えば里山も復活するのかもしれない。農業法人さんらのやっていることは、生き残るためとはいえ、僕好みの方法ではない。

   実に良いアイディアだと思うんだが。。

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