2014年2月4日火曜日

胡散臭いぞ、新国立競技場!!

  安倍さんが首相になってからと言うもの日本経済はアゲアゲで、まことに良いことだ。今年の4月から消費税が上がるわけだが、不景気な感じのニュースは今のところ流れてはいない。もちろん、現在は消費税が上がる前の駆け込み需要の段階なわけであり、実際に4月以降はどうなるのかはわからないが、2020年の東京オリンピックに向けて景気の上昇が続く気がせんでもない。

  僕は職業がら、東京オリンピックと言えば、イラク生まれでロンドン在住の建築家ザハ・ハディッド女史の新国立競技場がすぐに浮かぶ。新国立競技場の事は以前にも書いたが、新国立競技場のコンペには僕の案は通らなかった。。っていうか呼ばれもせんかった。。というか、そんな募集があったのも知らんかった。。わけであるが、現在、その新国立競技場について多くの建築家や都市計画の専門家が、おかしいのではないか?と声を上げている。僕もその一人で、宮崎のド田舎の居酒屋でクダをまいている。

  その新国立競技場に批判的な代表者として、建築家・槇文彦さんらが上がるだろう。先生の主張を大雑把に言えば、その新国立競技場の巨大すぎるボリュームの周りの街並みに与える影響が問題だという事だ。確かに神宮外苑は東京の風致地区に指定された場所であり、明治帝崩御以降に民間の有志により神宮内苑・外苑、そして表参道・裏参道を一体的に整備してきた経緯がある。そんな人々が大事にしてきた場所にザハ・ハディッド女史の新国立競技場がど~んと建つわけであり、総床面積29万㎡の五輪史上最大のメインスタジアムを建てる事には僕も疑問を覚える。

  史上最大のと書いたが、この建物がどれほど大きいかと言えば、ロンドン五輪のメインスタジアムは総床面積は10万㎡であり新国立競技場の約3分の1だ。しかし逆にロンドンの敷地は東京のの1.5倍である。また五輪会場の基準として8万人が収容可能というものがあるそうだが、ロンドンの場合はは6割以上が仮設席であり、五輪終了後は撤収して使っている。だが今のところ東京の案は仮設にするつもりはないらしく、そのまま使うのだろうと思われる。きっとコンサート会場などにも使われるのだろうが、近くには5万人収容の東京ドームなどがある訳であり、実に将来が不安だ。また開閉式の天井は流線型であり、どう考えたってメンテナンスにたくさんの税金が吹っ飛んでいくのが今から恐ろしい。。

  設定されている予算的にもかなりおかしい。当初の国の想定予算は1300億円であったらしいのだが、ザハ案決定後にその建物を積算してみてびっくり。最大3000億円まで膨らんだようだ。国を代表する建物にお金をかける事に、僕はみみっちい事をいうつもりはないのだが、やはり高い。確かロンドン五輪は800億円。あの9.11の同時多発テロで崩壊したワールドトレードセンターの鉄骨をリサイクルして作ったと言われる、恐れ知らずの北京オリンピックの鳥の巣だって500?600?億円であったはずだ。さすがにまずいと思ったのか、少しプランを削って1785億円に落ち着いたそうが、当初よりも485億円も大きいわけであり、最初に積算した人が、この案を通すためにやりやがったな。。と妙な裏読みしたくもなる。どう考えたら積算が2倍になる物を提案できるのであろうか。。とよく数十万程度の予算オーバーの設計をして、あとであわててしまう設計屋である僕は思ってしまう。


  また先行した有識者にも大きな問題があるのだと思う。この有識者に建築家は安藤忠雄さんしか入っていないと聞いている。その他には各種スポーツ団体の会長さん(政治家)、また市民の代表は猪瀬知事ではあるが、その程度であるらしい。この情報は本当かどうかは僕にはわからないが、本当であるのならかなりの問題があると思う。第一、建物の専門家である建築家が一人ってどうなんだろう。。どう考えたって都市計画の専門家も入れるべきであるし、そのほかの各種専門家は入れるべきだ。もちろん市民を代表する人間ももっと入れるべきであるし(気が付けば猪瀬さんいないし。。)、どう考えたって各種スポーツ団体の会長さんなどはスポーツのアドバイスはできるであろうが、有識者の主要メンバーには向かない気がする。

  それにしても、この新国立競技場の決定案の模型をも作っていないのには驚いた。コンペの段階で模型の提出は必要ないとの事であったと聞いている。通常建築家と呼ばれる人々は模型を作る。僕だって木造戸建住宅でも模型を作ることが多い。模型を作る理由は空間のスケールや周りとの状況を、実際に目で見て確かめるためであり、これは建てた後に図面上のイメージとの不一致を防ぐためにとても重要な作業だ。上記の写真は新聞などでよく見るとは思うが、これのみではさっぱり空間がつかめないのではないのだろうか?それに建築的なことを言えば、これは建物上部から見たファザード(表情)であり、実際にはヘリコプター乗りぐらいしかこのファザードは見ることはない。多くの人は、道路などからのみこの建物を見れるわけであり、どう考えても『この建物ってかっこいいじゃん!!』と言っている人が思うようには、カッコいい建物にはならないとおもう。

  そもそもこのコンペの期間はとても短かったと聞く。どれほど短かったのかは、コンペがあったことさえ知らなかった僕としてはよくわからない。だがコンペの要望と基準がめちゃくちゃ高かった。建築界のノーベル賞と呼ばれるプリッカー賞や、日本建築協会賞などの受賞経歴がなければ参加すらできないという信じられないくらいハードルが高い。だから僕は呼ばれなかったわけだが、ヒガミはともかく、思うのだがこれで本当に良いのだろうか。。20世紀を代表するあのオーストラリアのオペラハウスを設計したヨーン・ウツソンなどは当時は誰も知らない無名の建築家であったわけで、このような若手の活躍する場所を最初からなくすってのは僕にはいただけない。

  とても胡散臭い新国立競技場ではあるが、建築家の安藤忠雄さんが座長であるわけで、『おかしないか?』となぜ言わなかったのだろうかと、田舎の設計屋としてホント首をかしげてしまう。

  今のままでは、後世に対する恥である。。

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あと5年もあるんだから、1から考えても良いのでは?

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