2013年12月9日月曜日

細川刑部に男惚れ

  先週に福岡で既存住宅現況検査士(インスペクションの事)の講習と試験があったのは書いた。その帰り道、熊本に寄った。僕がアメリカに留学した頃の同期の桜(女)が熊本に住んでいるからだ。気が付けば日本に帰国して早10年。という事は、彼女とも10年は合っていない。大学時代は毎日のように遊んでいたのを考えると少し妙な感じだ。『久しぶりに飯でも食るか?』と誘ったら、『熊本着いたら電話してよ』と彼女は言った。福岡のホテルを出て、熊本目がけて南下する。もちろん下道をだ。そしてスマホで目的設定した熊本城に到着したので彼女に電話をかけた。すると『今日は子供の七五三で行けんなったとたい!!』と言いやがった。。おいおい、こっちはわざわざ遠回りして熊本まで来とるんだぞ。。『ちゃっちゃ七五三行って写真と、飴ちゃん貰って来ぃ~!!』と彼女に言うと『そうだね~1時間ほど待ってて』と彼女は言った。という事で、熊本城第二駐車場でま~たくやることがなくなってしまった。。


  だが、周りを見渡せばさすがに熊本城。見所満載である。お城マニア(厳密に言えば石垣マニア)の僕としては熊本城を歩き回りたい。だが如何せん1時間ほどしか余裕はない。それに周りは団体で来ているのに、こちらはボッチ。『あの子寂しそうね~』の目線を感じたら悲しくなる。。なのでお城は諦めた。だがせっかくの熊本城。何かないのかと思いながら車を出たら、あっさり熊本市立美術館があった。さっそくスマホで美術館を調べる。すると加藤清正公などの遺品がたくさんあるのが分った。実に見てみたいと思い、美術館へ向けて歩き出す。だが『リニューアルオープンのため休館中』という看板を見つけてしまった。。実についていない。。どうしよ。。清正公(せいしょうこう)さ~んと半べそになっていた僕の目に、旧細川刑部(ぎょうぶ)邸の看板が目に入ってきた。細川刑部?誰ね。。とは思ったりしたが、まあ時間つぶしにちょうどエエと思い行く事にした。だが、行ってびっくり。。凄んごいお宅だった。。


  まずその前道の紅葉はとても美しく、また敷かれている石畳が素晴らしい。両側の木々までの幅は20mぐらいはあろうか。単なる通路がこれほど美しい場所もないし、まあ現在では作りはしない。だがこの静寂な通路がある事によって、どことなく僕も凛とした気持ちになる。シンプルな美しさである。さすがは細川さまだ。実に美しいを知っている。


  道を曲がるとさすがに武家屋敷らしく、しっかりとした門がある。もちろんその脇には人が住める居住区ともなっていたようで、実に武家屋敷である。そしてその脇には菊が生けてある。何でもそれは『肥後菊』と呼ばれるもので、今から240年前の当時の肥後藩主が藩民の精神教育と品性の向上を図る目的で栽培を奨励したと説明文にあった。僕はどちらと言えば菊はあまり好きではなかった。どことなく盆くさく、また寂しく感じるからだ。だが、この菊を見てその美しさに感動してしまった。。菊も悪くない。。というかはまりそうなレベルである。

  建物玄関から入ると、感動の嵐だ。なんと表現して良いかは分らない。だがそこには昔の日本の美しさが凝縮されている。高い床高に高いつくばい。茶室に昔の風呂場。台所などは実に暗く、また今のシステム化された台所と比べれば機能的には劣るかも知れない。だが間違いなく美味しい食べ物、そして豊かさはこちらの方が上だと思ったりした。

  しかし、昔の人々はよくこのような立派な建物を建てたものだ。もちろん家主は大金持ちだったのは分るし、良い建物だから現在も保存されているのもよく分る。だがそのセンスは現在の日本の一般的な建物よりも美しいし、フランチャイズ化されたような建物群よりも遙かに考えられている様な気がする。最近、よく和モダンで設計を頼まれる事が多い僕としては、盗めるところは徹底的に盗もうと心に決めた建物だった。もちろん今から家を建てようと思う人は一度はじっくり見学されることをお勧めしていおく。良いものは見た方が良い。へたすりゃ熊本城よりも見ていて感動するかも知れない。そんな建物だ。

  感動あまり泣きそうになっている最中、『ミスター・ドーナッツで待ってるよ』と空気の読めないメールが熊本の女から来た。。

  超現実に戻されてしまった。。

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ただ、熊本に行って思ったのだが、
くまモン多すぎないか。。

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