2013年1月20日日曜日

城跡はプライスレス

   中国の都市とは城壁で囲まれているというのが一般的な日本の常識であるが、現在城壁で囲まれた都市は少なくなった。聞くところによると1950年代から60年代にかけて城壁を取り壊す政策が各地でとられ、事実、明の時代より続く北京の城壁はその期間にお取り壊しと相成っている。もちろん反対する人々も多かっただろう。なぜなら中国5000年の歴史上そのような事はあり得なかったからだ。やはり共産主義の強引さがなせる技といえよう。もちろん御取り壊しの最大の理由は別にいらん。。というものだろうが、それが世界の流行であったのも事実だ。

   近代になり城壁は主に道路として使うため取り壊した町は多い。パリやウィーンがつとに有名だ。ウィーンの城壁が壊される事が決まったのは1857年のクリスマス。時の皇帝が決めた。大砲の発明やナポレオンの2度にわたる入城を許した事がその理由らしい。つまりセキュリティーの意味が無くなったから、取っ払ったわけだ。日本には大陸国家のような城壁はない。これは大陸の戦争のように異民族の侵入や、それに伴う虐殺が比較的少ないという理由もあろう。その他にも経済にもあるといえる。大陸国家の城壁都市は一つの経済単位であることを考えれば、日本列島の多くは平安の後半頃からすでに一つの経済単位であり、ここからここまでが一つの経済単位だと主張する必要が無かったからだ。もちろん城壁を作ってもすぐ裏切る人が多いのが日本的な理由とも言えるが。。

   中国では多くの城壁が壊された。しかし、まだ現役の城壁も世界各地には残っている。中国の西安(昔の長安)などはその典型で、未だに城壁の中で西安市民は生活している。西安は観光としてとても人気がある。日本人は長安の都の時代から残っている風景が見れるし、中国人からみれば昔の中国を楽しめる場所。まあそんな所だろうか。聞くところによると城壁の上部は自転車で走れるらしい。実に走ってみたいじゃないか ! 取り壊しを決定した頃、毛沢東はそれほど観光が重要だといった考えは起きなかったんだろうし、それは進歩的ではないと思ったんだろうか。実に惜しいことだ。壊した後の祭り。。そんな事が頭に浮かんだ。

   以前見たテレビ番組でとあるスペインのお城がホテルや別荘として出ていると聞いた。またホテルや別荘化を国が勧めているとも言っていた。もちろん歴史的価値があるものだから、全て内装を改修して使いやすく。。という事にはならない。とても快適とは言えないだろうが、人気がとても高いと言っていた。そりゃそうだろう。昔住んでいたのは王侯貴族の方々。そこから見える景気は美しいし、内装だって豪華に決まっている。スペインの歴史などは全く知らない僕ですら行ってみたくなる。良いアイディアだと思う。

   僕が住む宮崎の片田舎にも城跡がある。残念な事に田舎のお城や御殿は、あっても意味がないと明治以降さっさと壊され焚き物にされてしまって今はない。観光に力を入れようと町では資料館を作っている所がある。しかし、流行ってはいない所が多い。僕の隣町の元お城では、和風のつもりのコンクリートの建物の中に、確か鎧が1体と。。その他は忘れた。。隣には 『○eyC○ffee』 の青い看板があり、そして昔の大手門にあたる場所にはプラスチックな幟がたくさん並び 『うどん』 という文字が風になびいている。。僕は思うんだが、普通にこの敷地を公共のものとしては使えないんだろうか。もちろん今の形だけ和風のコンクリート建物ではなく、木造の建物としてだ。もちろん見えないところはコンクリートでも良いが、見えるところはしっかり伝統的な和風であって欲しいと思う。それには歴史資料から調査する必要もあろう。銭も必要だろう。もちろん役所として使うんだったら、畳なので地方公務員さまは正座をしてもらう必要があるだろうし、必要室が足りなければ、それなりに意匠を工夫したデザインで増築すれば良い。少なくとも今のようなブランコがあり、草刈りを1年に1度ぐらいしかしない公園にしているよりは、よほどマシのような気がする。もちろんその他の使い方もあっても良いとは思う。一個の資料館にあとは草ボーボーでは、ちょっとせつない。

   城や城壁は現代ではもちろん必要はない。軍事的には全く意味をなさないし、それに維持管理だけでも結構なお金がかかる。しかし、昔からあるカタチに感動するように現代の人間は出来ている。なのでこれを使わない手はない。公園となっている場所が多い。それを否定するわけではないが、跡ばかり見ててもしょうが無い気もするだけだ。もちろん有名な場所は別は絶対そんな事をしてはいイカンのだが。。

   本当は、敷地の庭について書こうと思ったんだが。。3時間も書いてしまって訳分らなくなってもうた。。

   書き出しが城だったからテンション上がってもうたみたいだ。。

   すこし反省している。。

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2013年1月19日土曜日

とどけ、熱量。


   ふと朝方、朝飯を食べようと台所に出たら、テレビでカロリーメイトのCMをやっていた。満島ひかりという美人女優さんが、中島みゆきの 『ファイト』 を歌っていた。これが凛として美しく、とても良く、朝から見入ってしまった。朝方いつものように朝食の準備をしていたら父親がいない。母親にどこにか行ったの?と聞いた。そしたら、サッカー見に国立行ったよと言われた。ああ、今日は全国高校サッカー決勝戦に宮崎県勢初として鵬翔高校が出場するんだったな。。へぇ !? 東京。。別に鵬翔高校に知り合いがいるわけでもないのに、東京へ行ったの?と聞くと朝一番に 『がんばってくる』 と言い残してはるばる宮崎から飛行機で東京で行ったとの事。別にあなたががんばらんでも、選手ががんばるだろ。。とさめたりしたが、我が父の事ながら妙に感心してしまった。やつには熱量が届いている。。昼時になり、ふとテレビをつけると国立からの中継が流れていた。まったくサッカーには興味はない母親が、父親がこの辺に座っているなどと言っている。だまってサッカー応援しろと僕が言うと、がんばれがんばれ ! と言い出すが、また1分もすると、またテレビに父親が出ていないか探し出す。もう、うるさい ! と思って僕はお仕事することにした。

   2時頃だろうか。仕事が一段落した。煙草でも買いに行こうかと、コンビニまで僕の車を転がし行ったら、車がたくさん止まっている。その多くはどこかの会社の営業さんらしいのだが、みなカーナビやらスマホなどで試合を見ていた。そして 『良し ! 』とコブシを握りしめていた。どうやらP.K合戦になったようで、最初の京都の高校生がはずしたようだ。僕はP.Kになった時点で宮崎の鵬翔高校が勝つとなんとなく思っていた。なぜなら、守りの鵬翔高校として決勝まで上がってきたからだ。相手の京都の高校は多くの得点を取って勝ち上がってきたわけで、同点になった限りは必ず勝つと信じていた。さっさと家に帰ったわけだが、母親が勝ったよ~と我が事のように喜んでいた。

   夕暮れ時になると宮崎のニュースはもちろんサッカーで日本一になった鵬翔高校の映像が多く流れていた。その高校生の一人が 『彼らは宮崎の誇りです ! 』 と泣き崩れていた。その映像を見て、彼らは良い高校時代を送っているなとちょっと嬉しくなった。そして朝方見たCMとこの泣き崩れる高校生が頭の中でごっちゃになり、ふと思った。。今日はセンター試験2日目じゃなかったけ。。サッカーで決勝戦に出る人はセンター試験に受けれないんじゃないの。。まあ、気にしないことにした。。

   ぼんやりと高校時代を送った僕から見れば、優勝した彼らは眩しすぎるぐらいに美しい。

   万歳 ! 鵬翔高校サッカー部

   熱量は届きました。

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2013年1月18日金曜日

杏野はるなさんの意見って素敵だね

   普段、ネットニュースを見ている。ふと先日、いつものようにネットを見ていると、先日NHKが放送した泳ぐダイオウイカの番組についてコメントしているとあるタレントさんのブログが出ていた。これがあまりにも秀悦なので僕は、おっ ! 正論じゃんと、ちょっと小躍りしたくなった。世の中良い時代になったもんだ。自分の意見をちゃんと責任持って言うタレントさんもいるんだとちょっと感心した。お名前は杏野はるなさん(彼女のブログは素敵です)と言っても僕は全く彼女の事を知らない。だれね、こん娘は。。と思い名前をGoogleさんで検索し、画像を出すとびっくり。。グラビアアイドルさんだった。最初に出てきた画像が、股ぐらパッカパカ。。僕はグラビアアイドルには全く興味が無い。多くの女性がグラビアアイドルを男は好きなものと思ってらっしゃるようだが、そうでもないだろう。なぜ漫画雑誌に漫画のグラビアではなく、若い娘のほぼ裸の写真を載せるのかは僕には理解ができない。しかし彼女の意見はあまりにも正論だと僕は思う。他の業界に所属する人間も自分の業界も同じだと思う人が多いのではと思ったりした。こんな方が世の中を変えるのかもとも思った。少しずつだが。。

   よって長くはなりますが、彼女の意見を全文載せさせて頂きます。以下原文ママ。


   杏野はるなですの。 

   NHKで、ダイオウイカの番組が話題になっているようですが、正直、あれくらいで話題になるんだ…と思いました。

   誤解の無いように書きますが、あの番組のレベルが低かったという意味でなく、ディスカバリーチャンネルやナショナルジオグラフィックだとあれくらいが日常のクオリティーで、過去にいくらでもあのイカのネタはあったので。 なので、(今回のものはディスカバリーとの共同制作なのは存じております) 逆に日本の通常の地上波がいかにレベルが低いかが見えてしまった。分かってしまった感じがしました。

   意味なくタレント起用しないで、ギャラ経費をかけずに取材にかけて欲しいなあと、8年前、私が17歳位の時からちょいちょいブログ等に書いているのですが、なかなか変わらない。 まず、日本ゴールデン番組の予算は内容にもよりますが、大体一本2000万くらい。スタッフさんの人件費、セット、機材、がメインになるわけですが、タレントのギャラもバカになりません。私のくらいのz級タレントですと、もちろん出演内容になりますが、およそ一本15万から50万くらい。※過去の経験から ですので、Aクラスのタレントさんですと、ゼロが一つ違うくらい。 それは構わないですし、タレントさんの価値なので良いと思うのです。ただ、私が海外の番組を見ていて、日本の番組を目線を変えて見た時。 本当にここに必要? と感じてしまう事が多々あるのです。

   例えば、動物番組の世界最高峰は確実に、ナショナルジオグラフィック、アニマルプラネットですが、日本の動物番組はタレントが出てきてキャーキャー言っている。 こういう場合、本当にタレントってそこに必要? 動物を映したいの? タレントを映したいの? って思う。動物をフィルターにしてタレントを売りたい?

   ナショナルジオグラフィックやディスカバリーチャンネルはタレントなんて出ない。いても進行役が一人。そしてその分、息を飲むくらい美しい映像とシンプルなナレーションのみ。 これで伝わる。十分に。

   バラエティーはバラエティーでタレントがたくさん出てワイワイやれば楽しいと思う。私もめちゃイケさんとか大好き。ですが、日本はドキュメンタリーとバラエティの差がなさすぎる。 局もスポンサーも目先の視聴率でなく、もっと長い目での 『作品』作りを考えて欲しい。 世界に誇れるコンテンツを。 そこにそのタレントが本当に必要? そこにそのワイプが必要? そのセット本当に必要? と考えると案外ムダは省けるかもしれません。その省けた予算でもっと意味のある場所、取材、人材ができる。 

   せっかく美しいハイビジョン、デジタル化を強制的に国民にさせたのに、蓋を開ければハイビジョンの意味がないものばかり。カメラも編集機材も日本は世界でも最高級のものを使用している、でもそれを活かせない。 

   と、タレントの端くれの私が書くのもなんですが、世界のすばらしい、普段の生活、普通の人間では実際に見れないものが見たい。それを提供するのがメディアの役目な気がします。それはタレントという自分の職業を超える。 皆様は今の日本の地上波テレビにどう思いますか? 私は一番「う~む」と思っているのは局の方ではなく、下請け、制作会社の方のような気もしています。「作りたい物が作れないな……」って。

   スポンサーさんも勇気を。それが逆に息の長い商品イメージ、会社を産む。スカパー等を見ても、今は保険会社や、健康食品のスポンサーばかり。もちろんビジネスとして数字でやっているのはわかりますが、その広告代理店さん、本当の長い目、意味で才能ある? をスポンサーさん自身も考える時代だと杏野はるなは思います。これは、30回以上海外に渡航して、色々な職業、人と話して来てわかり始めた事です。

   人間は五感で感じた事以外は実は真実ではない。

   グフっ! 今、風邪で40度の熱の中で書いたら毒舌になってしもた。すまんすまん

   以上

   本音を書いているって、素敵じゃない?まあ、よく炎上しているらしいですが、別に炎上しても良いじゃないか。素晴らしい意見だと思った。
 
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2013年1月17日木曜日

愛すべき、九州の男の子

   たまには歴史の事でも書こうと思う。

   以前僕は貿易の仕事をしていた。宮崎県に住んでいて貿易業務となると、その内容は牛豚の飼料やその道具が主な物となる。だが、貿易と言ってもそれほど仕事が毎度の事あるわけでは無い。よって営業や配達まで何でもこなしていた。宮崎県外の人らには分りにくいかも知れないが、宮崎は住む場所によって言葉の違いが甚だしい。例えば宮崎県北部だと大分に近く、その言葉はどこか柔らかい。だが、宮崎県南部だと鹿児島に近く激しい趣がある。例えば、鹿児島県との境にある都城は県央に住む僕からすればとても猛々しく、僕が使う言葉とはまるで違う。あの東国原知事が有名にした 『どげんかせんとイカン ! 』 というお言葉。 『どうにかしなくっちゃっ♡』 という意味だが、あの言葉は宮崎弁として全国に有名になったりしたが、県央の僕が言うとすれば 『げんげかせんとイカン (ちゃね~)』 と言う具合になる。その貿易会社時代の事。県南部の都城やえびの市辺りより南 (鹿児島も含む) に営業へ行った時、全く言葉がわからず困った。営業さんが意思の疎通が取れないのは致命的だ。それにどうも人間が強いというか、剽悍 (ひょうかん) だ。それには訳がある (と思う。。) 彼の都城市はあの島津家発祥の地。幕末まで続く島津さんの土地。なので県央や県北と言葉も違えば、人も違うのは当たり前と言えば当たり前の事だ。

隼人の盾らしい
   隼人と言う言葉がある。鹿児島の男性を褒める言葉で 『薩摩隼人』 と言ったりするが、これは現在の宮崎や熊本を含む九州南部にあった国の名前だ。この国 (国の形を取っていたかは分らないが。。) が歴史上いつ現れたかは定かではない。だが、大和武 (やまとたける) が活躍する日本書紀には熊襲 (同意語だろうと思われる) は出てきている。また平安初期の頃まで 『隼人』 という記述が頻繁に出てきているので、大和朝廷とは別の勢力、または人種として存在したのだろう。また昔、本で読んだうる覚えの記憶で恐縮だが、朝廷にもその猛々しい性格はよほど愛されたらしく、その猿叫は朝廷の清めか何かの儀式でも使われていたとある。猿叫とは幕末薩摩武士が戦などで叫んだ、いわゆる 『チェストー』 の事。しかし、当時の薩摩武士が 『チェストー』 と叫んではおらず、本当は 『キエー(声が裏返った感じで。。)』 と叫んでいたようだ。いわゆる示現流だ。だがこれが知らない人から見れば異質な光景に見えたらしい。当の第27代藩主である島津斉興ですら初めて見た時には、 『キ○ガイ剣術だ』 と言って席を立ったと言われている。実はこの猿叫はその異質な声音のせいで、現代でも騒動を起こしている。東京の示現流道場がとある住宅街にあったらしいのだが、これがあまりにもその声が 『キチ○イ』 に聞こえたらしく苦情がでた。困ったあげくその道場は自衛隊訓練場内への移転を余儀なくされたそうだ。示現流を知らない人はそりゃそう思うだろう。。普通の人はあんな声出せば、そりゃビビる。。

実は色白の優男の義弘さん
   またその隼人の方々の行動力も剽悍でとても異質だ。時は天下分け目の関ヶ原の時の事。島津の大将は島津義弘さん。ひょんな事から西軍に参陣する事になった (理由は自分で調べよう ! ) わけだが、当時在郷兵力はたったの200ほど。しかし、明らかに天下分け目の戦いになるので国元の兄である島津義久さんに兵を送るようにと再三手紙を書くが、拒否された。というのも日向の国 (現在のほぼ宮崎県)で伊集院正真という方が庄内の乱を起こして、鎮圧したばかりだったというのもあるが、どうやら兄さんとしては中立という状態にしたかったらしい。しかしこの弟である義弘さんが兵隊がなくては可愛そうという事で、禁止されていたのにもかかわらず約1000人の薩摩武士が関ヶ原に駆けつけた。なかには陸路300里を走って来た中間大蔵という強者もいた。野良仕事をしていた大蔵さん、甲冑を背負っていく人から話を聞くと、その甲冑を奪ってそのまま鹿児島から関ヶ原へ突っ走ったそうだ。電車も車もない時代の事。300里を走って行こうと思うのはとても普通ではない。またその義弘さんの戦ぶりも尋常ではない。島津の退き口はの事だ。西軍が総崩れとなり負け戦と決まったおり、義弘さんの軍勢は300人程度(一説に1000人)になっていたわけだが、敵に背を向けて逃げるのでなく、敵陣 (この時は家康の本陣) へ向けて前進退却。前進退却などは世界史上でもないんではないだろうか。とてもキ○ガイである。

   だが、この異質な方々が僕はどうも好きだ。とても見ていて清々しい。NHKの大河ドラマにでもなってくれんかのぉ~とぼんやりと思ったりもする。この狂気が何度も日本の歴史に影響を与えてきたのは事実だろう。また、その狂気はシビアな面も持っているのも確かだ。だがそのシビアな面もどこかカラリとしていて愛らしい。ここが良い。明治維新などはその狂気とシビアが全面にでた最もよい例だといえるだろうと僕は思っている。

   まあ、こんな事をかくのも、鹿児島銘菓 『かるかん』 をもらったからだ。

   カルカンはうめぇ~

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2013年1月16日水曜日

デザインの壁が悩ましい

   以前にも書いたが、スモールハウスを設計中なんだがいきなり詰まった。スモールハウスとは、約3坪から大きくても5坪ぐらいの家だ。その中にはキッチンもあるし風呂だってある。ちゃんと人間が生活するための最低限の設備がそろった家だ。小さいので値段も安く作れる。浄化槽の問題や都市計画区域の関係もあるが、最低200万ぐらいで作れたりする。200万だと家賃5万のアパートの3年分ぐらい。なので作りやすいし、いらんなったら売りやすい。だが普通に作っても面白くはない。普通に作ったところでお客さんは買わんだろうし、僕が許せない。どこかググっとくる家を作ってあげたいので朝からずっと悩んでいる。どうもデザインというお仕事にはデザインの壁のようなものがあり、その壁を乗り越えるまでがとても苦労する。その壁を乗り越えたらすっきりした良い物になるんだが、どうにもこうにも抜け切れずもがき苦しんでいる。物をデザインするとは、自分でもよく分らないものと格闘し、自分を絞り出すようにつかみ取る物だと思っている。って事で、まだ絞り切れていないわけだ。。もそっと絞らねばならんと思いながらグレープフルーツを飲んでいる。。

   仕事がどうにも行き詰まったら、僕はその仕事を寝かすようにしている。机の前でかりかりしてもどうせ出来ない物は出来ないからだ。さっ何しようと思ったら、docomoに金を払いに行くのを忘れていたのを思い出し、自転車を転がしdocomoショップまで行ってきた。そしてその帰りがけの事、ふと道脇に8帖ぐらいの木がある。。あっ、スモールハウスじゃん。。意外に近場に僕が作ろうとしてたものに近いのが建って立っていた。だがそれはもちろん人の家。それほどジロジロ見るわけにもいかん。明らかに不審者だ。カメラは常日頃から持ち歩いてはいるのだが、パシリっと撮るのは良い子だから心がひける。それに遠くからジロジロと僕の母校の中学生カップルなんぞが不審者かという目でこっちを見ている。おい、それが先輩に向ける態度か ! とは言いたくなるが、まあ不審者なんでしょうがない。完全に君らが正しい。。

   その家は外壁まで木造だった。誰が作ったかはよく分らないが、施主さんの希望なのは間違いはないだろう。というのも通常大工さんは外壁はサイディングを使う事が多い。サイディングは経年劣化のくるいも少ないし、それに色落ちしない。だが、木の外壁だと色は落ちるし木が瘦せる。大工さんが喜ぶ美しさとは劣化しない事。なので多分施主さんの希望なんだと思う。また、この家は多分8帖ぐらいだと思うが、とても白いコンクリート基礎があった。そしてその横には犬走り。僕的にはあまりにも白すぎてまぶしく、そして小さな家に犬走りをつけたため、どうも家のバランスが悪い。多分デザイン屋さんは入っていないじゃないだろうか。デザイン屋ならもそっとがんばったはずだ。単に大工さんが頼まれた物を標準的に作っただけといった気がする。もちろんキッチンやらトイレにシャワーなどはついていないだろうが、いい家だと思った。

薪ストーブを入れます
   さすがにジロジロ見ていると、後輩に通報されたらかっこ悪い。なのでその家を後にした。はぁ~はぁ~言いながら自転車をこいでいると、これまた小さな家を発見。ここは道路脇の樹木のためはっきりは見えないのだが、4.5帖ほどしかない小さなお家。きっと子供の寝室か簡単な事務所だろうと思われる。この家はサザエさんのエンディングに出てくるような意匠をした家で、明らかにお父さんの手作りといった感じだった。と言うのも基礎にはブロックが4隅に4つだけ置いてあるからだ。明らかに作り方を間違えている。大工さんだったら親方に怒られクビになるレベルだ。なぜなら明らかにアンカーボルトという基礎と土台を連結する金具はついていなさそうだし、すでに外壁にシロアリの被害が垣間見えるので防蟻処理もされない。それにこんな基礎だと、地震があったらお家が基礎から落ちてしまうのは間違いない。また小さい家のため、場合によっては家が転ぶ。。

   正直言ってスモールハウスなんて誰でもデザインできる。そして日曜大工が好きな人なら簡単に自分で作れる程度のものだ。しかし、よい物を提供するために僕ら設計屋がいるわけで、良いクォリティーで提供しようと思っている。もちろんそこにはちゃんとデザイン力を発揮せねばいけないし、100年ぐらいは持つ家を作らないといけないと思っている。でないとお客さんは買わないし、僕の良心が許さない。だからこそ悩ましい。自分でも訳分らなくなって、そこから物事は始まる。建物が建物になる。まあそんなふうに思っている。

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