2013年4月19日金曜日

待ってました !! 都市の木造化 :D

これは木造のモールです。。すげ~
   毎日夕方6時過ぎぐらいからブログを更新するための思案にくれるのだが、母親に 『よい番組をやっているので来なさ~い』 と呼ばれた。その番組はNHKのクローズアップ現代。内容は 『進む都市の“木造化”~林業再生への挑戦~』 だった。番組を見ていて実に素晴らしい試みだと思った。前々から思っていたのだが、日本はその伝統美をかなぐり捨てた非木造の建物が都市に乱立しすぎている。それがどうも気にくわない僕は、設計事務所でがっつりそんな建物を設計しておきながら、ぶ~ぶ~言っていた。この木造化により町が美しくなる可能性が出てきたという事だ。

   日本は戦後、都市の中の木造を捨てた。理由は様々あるだろう。第二次世界大戦で大空襲を経験した日本は大型建築物の木造を禁止した建築基準法を制定した事。また戦後の建築界はモダニズム文化の輸入が甚だしく、モダニズム=RCだった事により、木造を規模の小さな住宅建築のみに押し込んだ事。よって多くの若手建築家は建築=大規模建築という構造となり、アバンギャルドな非伝統的な建物を作る事に情熱を傾けた事。まあそんな理由が頭に浮かぶ。日本はこれほど森林に恵まれた環境にいながらその木々を使い切れてはいない。また多くの人々が杉花粉に悩まされている現状がある。2010年にこの戦後植林し成長した木材を積極的に使っていくことに国はシフトを切り替えた。この取り組みは今後の都市を大きく変えて行くであろう。現在の都市の景色が大きく変わる事が予想される。

新しい柱
   大型建築物を木材で作る場合の致命的な欠点として取り上げねばならないのが、火に弱いという事だろう。だが昨日見た番組では木材でも十分耐火性能を有した柱を紹介していた。その柱は3層構造になっていて、外部は燃えると炭素の層となり耐熱効果を発揮する。中間にはモルタルなどの層があり熱を吸収し、そのモルタル類の層が木材の芯の部分を守る構造だ。これで十分柱や張りをコンクリートのように守れるという仕組みだ。実に良く出来ている。この柱が大型の木造建築物を支えると言う事だ。

   また木造の難点として大きな空間を設計しにくいという問題がある。だが集成材の品質向上は、大きな空間を設ける事を可能とした。建築業に携わっているとどうも集成材は劣化が激しいという考えが一般的だったが、現在は鉄骨やコンクリートと同じように構造計算が可能な規格製品として出回るようになってきた。ざっくり言ってしまえばビルディング建築は柱と梁で出来ている。新たな柱と集成材を使い、また、構造計算をすれば木造の大型ビルも可能となったわけだ。

   木造にはもちろん利点がたくさんある。現在CO2の削減が口うるさい時代だ。木材のそのほとんどの重量を占めるのは炭素だ。これを仮に燃やしてしまえばCO2が発生するが、建物として使えばCO2は出はしない。またRCや鉄骨と比べて木材は解体しやすいし改装しやすい。もちろんその1/fの波長によるリラックス効果もある。また積極的木材利用による林業への効果も期待できる。宮崎の片田舎などに住んでいれば、過疎化問題は深刻だ。都市の木造化によって、少しでも地域へお金が回る構造が出来ればと、田舎町に住む人間としては願っている。

よっ !! 東松島市 !!
   また番組では宮城県の東松島市の取り組みが紹介されていた。東松島市ではできる限り地元の木材を使ったインフラ整備に取り組むと決めたそうだ。これは公共施設などの建物などだけではく、橋やガードレールも木材で作っていくという事なんだそうだ。実にやるじゃないか東松島市 ! 僕は以前から日本のガードレールなどのインフラがとても嫌いだ。日本のガードレールのようにこれほど景観を全く無視した色はないと思うからだ。東松島市では手始めに太陽光発電のパネルをさせる架台を鉄製から木製に変えたとの事だ。仮に以前のように鉄製の架台だとペンキを塗るだろう。公共施設のペンキを定期的に塗り直すという神経のない日本ではもちろん数年たてばサビのガラクタ色となる。それを木造にする事によって、周りの風景にも馴染むのだ。実に東松島市さまは偉い ! 

   この番組を見て、多くの都市計画に携わる方々の意識が変わってくれることを僕は願っている。最後にこの番組では横浜にあるショッピングモールが紹介されていた。確かに木造だが、まだ水平垂直のRCのデザインを引きずっていた。まあ、しょうが無いのかもしれない。デザインは素材が決めるもの。だがその素材を生かしたデザインを使いこなすには、天才的な建築家を必要とするからだ。コンクリートにおけるコルビジュエのように。

   分らない人には分らないだろうが、これはホントに革命的な事なのさ。

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気が付けば書き始めて3時間もかかったんで。。

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