むくんでます |
屋根には『反り』と『むくり』と言う手法がある。『反り屋根』はお寺やお城などに使われている下方に反った屋根をいい、『むくり屋根』は公家屋敷や数寄屋建築でよく使われる上方に反った屋根をいう。国の文化財として残っていたりするお城やお寺が反り屋根が多いので、何となく日本は反り屋根が多かったと思われる人が多いとは思うが、実は違う。本当は日本にはむくり屋根の方が多かった。確かに武家屋敷やお城は反り屋根や直線の屋根が多い。それはやはり胸をはっているようで堂々としているからだ。だが武家ではなく庶民の家は直線もあったがむくり屋根が圧倒的に多いといえる。
京都迎賓館 |
また農家などは圧倒的にカヤ葺きが多かった。僕が幼い頃までは僕が住む宮崎の片田舎の山間などは、かやぶき屋根が結構残っていたものである。かやぶき屋根はもちろん草で出来ているので、いつかは腐る。その腐るのを出来るだけ長くするためには、反りのある屋根にはまずしない。軒先で雨水が溜ると耐久年数が減るからである。また、もちろん植物であるのでいつかはヘタる。最初は職人さんらができるだけ直線的な屋根を作っていても、そのうち勝手に丸くなる。軒先は特に丸くなるようで、気が付けば自然と『むくり屋根』になっていたようである。
京都の町並みをじっくり見てみると、むくり屋根の家が結構残っている。それはやはりこの町が武張った街ではなかった証拠だと思う。また京都には公家さんらがいた。公家の文化はもちろん武家とは違う美意識を持っていたようで、京都にある公家の家々はやはりむくんでいて、とてもカワイイ。また京都には日本建築の最高峰と言われる桂離宮がある。また偉くなった人だけが入れる京都迎賓館もある(実は忍び込もうとした事がある。。いつか書きます。。)そしてこれらはしっかりとむくんでいる。
僕の勝手な解釈かも知れないが、『むくみ屋根』は日本独自の屋根である。もちろんイギリスのカヤ葺きの家のように勝手にむくんだ家はあるにはある。だがそれをわざわざカヤ葺き以外で作り上げたのは日本人だけのような気がする。理由は海外の屋根を見てもむくんでないからだ。。それにはそれなりの理由もある。
気が付けばもの凄く長~くなるので、今日はここまでにしておきます。
明日も『むくみ』ます。
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