日本のポップ文化などを海外に売り込もうという政府の取り組みである 『クールジャパン戦略』 4月3日に開かれたクールジャパン推進会議に参加した秋元康さんの発言が物議を醸している。ポスターやキャッチコピーづくりにクリエイターが ”無報酬” で参加することを秋元さんが提案されたそうだ。これに対し多くの戸惑いと批判の声がネット上にあふれた。そもそも日本文化や日本のクリエイティブを大切にし育てていき、海外へ売り込もうというこの取り組みには500億円の予算が付けられているそうだが、その核となるクリエイターには金銭的な対価を払わないという提案だからだ。お金に困っていない一流のクリエイターに使命感を燃やしてもらい、やって頂くという話かもしれないが、来週にでる議事録を見ないとよく分らない。だが設計というクリエイティブなお仕事に携わるものから見れば、とても気分のよい話ではない。だが、これがクリエイターの現実でもある。
僕が初めてアトリエ系の設計事務所に入った最初のきっかけは、建築模型のバイトからだった。まだ建築学科の夜間の学校に通っている頃の事、黒板にバイト募集と書いてあったのを見て募集した。履歴書を持っていき面接を受け、明くる日から毎日のように模型作成に没頭した。その建物は横浜市にある老人ホーム。傾斜がきつい坂にある老人ホームなので、模型つくるにも非常に手間がかかる。何とか終わせたのだが、よかったら図面も書いてみないかという事になり、そのままバイトを続けた。作り上げても大先生が変更をすぐにかけるため、図面も模型もすぐに変更を入れなければならないため、夜間授業の時間外の12時間は設計事務所で働いた。だが1月後、楽しみにしていた給料は1円ももらえなかった。。代わりにでたのが、お米とありがた~い建築雑誌のバックナンバーのみ。。信じられなかった。だがこんな事はクリエイティブのお仕事では当たり前。デザイン手単価はとても少ないため、若い人間には給料は回ってこないのが普通の世界だ。なのでクリエイティブな勉強をしていても、若いものは無料奉仕。男は新聞配達に板前。女はスナック勤務は当たり前だった。それに拘束時間がとても長い。僕の給料が12万円で朝8時出勤の朝3時に出社が通常勤務だった。なぜ朝3時かというと新聞配達のバイトのため3時半には新聞屋に行かねばならないからだ。なので女性と言えども化粧するお金はないし、お風呂に入りに帰宅する時間ももらえない。そうでもしないと赤字になるからだ。
これまでクリエイターの定収入や権利軽視の問題が何度も取りざたされてきた。最近でも大阪市天王寺区役所が無報酬で広報デザイナーを募集したことが批判を受けた。天王寺区としては若手のデザイン屋さんの宣伝もかねてという事らしいのだが、あまりにも虫がいい話だ。それでは仮に若いクリエイターが採用されたとしてもその後、そのクリエイターにちゃんと給料の出る仕事が入るかと言えばまあ無理だろう。理由は若いからだ。それにこの世界は、実力があったとしても仕事はない。無報酬が当たり前だし通常コネがないと仕事など回っては来ない世界だからだ。仮にどこかその天王寺区のデザイナーが就職したとしてもまずは丁稚奉公から始めなくてはならない。
いつまで日本はデザイナーやクリエイターに低定収入を押しつけるのだろうか。少なくとも今回は500億円の予算を用意しているという。その500億円はどこに行くのだろうか。。結局運営会社さんが持っていくのは目に見えている気がしている。。それがこの業界の常識だからだ。
それを世の中、ピンハネというんだと思う。土地転がしならぬ”クリエイター転がし”のようなもんだよ、まったく。。
高卒の事務員の姉ちゃんより給料が低いクリエイターの世界。少なくとも事務員さんよりはパソコン技術もその他のお勉強もしてきているんだが。。とても不思議だ。。
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