見ない努力 |
実にめでたい事に、富士山が世界文化遺産に登録された。そして、これまたおめでたい事に三保の松原も富士山ついでに登録された。実に喜ばしい事である。富士山はやっとこさ感はある。だが富士山は一度しか見た事がないのに何となく富士山が大好きな僕は新聞を見て涙した。それにしても、あの三保の松原も登録して下さったユネスコさんは誠に粋な計らいである。きっと草葉の陰で歌川広重 (有名な浮世絵画家です) も喜んでいるはずだ。しかし、ユネスコさんもよ~く富士山の事が分っとる ! 大きい声では言えないが、2日前まで三保の松原の事を知らんかった僕でさえ、三保の松原と富士山はワンセットな気さえするじゃないか !
三保の松原をついでに登録するにあたって、各関係者さまらは大変な努力をされたと聞いている。なんせ最初は三保の松原は除外勧告が出ていたからだ。ユネスコさんが言うには富士山から45㎞も離れとるんで、いらんじゃろ。。という事だったらしい。それにユネスコの担当者さんが三保の松原に来られた際には、消波ブロックや松林と海岸の狭間にあるコンクリート壁を気にされていたそうだ。そりゃ気になるだろう。景観に関しては日本はウルトラ後進国。日本人は意図的にそのブロックやコンクリート壁を見ないよう普段から訓練しているが、外国の方々は自分の国でそんな訓練する必要はない。普通はそのような物を見ていないので気になってしょうがないのだろう。それをひっくり返した方々は実に良い仕事をしたと本当に思う。
見ない努力 |
そもそもこの浸食の原因は、1960年代に安倍川により流された土砂を大量に採掘したこと、安部川での砂防ダムや護岸工事など、川から供給される砂や礫の減少により、波や沿岸流で供給される流砂と波によって侵食される土砂の需給バランスが崩れたためと考えられている。つまりブロックを無くすためには阿部川での砂防ダムや護岸工事などを含む一体的な保全計画が必要となってくる可能性もあると言える。もちろんその一体的な保全計画を実施するには、莫大な予算が必要だろう。景観を一度壊したバツがこのようなところに回ってきているとも言える。
一つの世界を守るのには単に一つの物をどうこうすれば良いという物ではない。ボルヴィックという水がある。ヨーロッパには珍しい軟水で日本でも人気が高い銭払って飲む水である。このボルビックの味を守るために厳しい規制があるのは有名だ。一つは水源の周りや上流では農薬は絶対に使ってはならないという事。ではどうやって害虫駆除をするのか?害虫を食べる虫 (テントウムシ) などの住みやすい環境を人工的に作ったり、虫が近づきたくない植物を植えたりしているそうだ。また地上・地下を問わず水源地周辺での建築物の建造を一切禁止したり、産業規制を行ったりと実に厳しい。そんな事をフランスはしている。
これが日本だとどうだろうか?ある水が人気が出たとすれば、大中小企業問わず、ついでに中国人がその土地と水を買い独占するだろう。地元の観光協会さんは 『水の里〇○』 という看板は立て村おこしを始め、観光客が気安くその水を手に入れれるよう道路を敷く。そこにはフランスのような規制はなく、もちろん環境や景観を守ろうという気持ちはあっても見ない努力を自らに課す。そんな気がする。
我々は富士山ついでの三保の松原の世界遺産登録で、景観や環境保全を複合的に考える必要性をユネスコさんから言い渡されたようなものだと思う。少しは日本人もフランス人を見習った方が良い気がしている。
良かったら、押してね。
嗚呼、富士山言ってみたいわ。。
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