あくまで僕個人の好みではあるが、洗濯物を干す場所は大きな庭に、それも出来れば高台に、これまた出来ればいい女を使って乾したい。というのも以前 『パールハーバー』 という胡散臭い映画を見た際、日本の零戦が洗濯物を干しているアメリカのいい女の横を飛び抜けるシーンにビビッと来たからである。その時、 『こんなところに洗濯物を干したい ! 』 と思った。その洗濯物はふわふわと空になびき、柔軟剤が効きまくり。腰抜かしていたアメリカ女はアメリカでも見た事が無いくらいべっぴんやった。実際にアメリカ人はこんなところに洗濯物を干したがる。アメリカは場所によるが、全く雨が降らない町は本当に降らない。例えばカリフォルニアの僕が住んでいた町などは、年に1週間しか雨は降らなかった。そんな国だからこそ出来る贅沢ではある。日本のように年がら年中雨が降っている国ではできはしないのは分っている。
以前、地元宮崎の小さな町の工務店が作った家の展示会へお邪魔したことがある。その工務店は僕にはさっぱり分らないのだが、なぜか地元で人気がある。きっと値段が安いのだろう。その工務店さんの新築の家はどう考えても素人設計。西側が道路で南側に玄関があるのだが、その敷地入口と玄関の間にはウッドデッキで拵えた洗濯物干し場がある。つまりお客さんらは洗濯物を見ないようにして訪問せないかん。。どう考えたっておかしい。。だがこれは田舎では当たり前の感覚らしく、ウッドデッキの洗濯物干し場があること自体が理想であり、そのカタチにこだわるのは贅沢な事らしい。
田舎で憧れのウッドデッキの洗濯物干し場とは大抵南側にあり、布団が干せるように手摺りがついている。その手摺りには 90㎝ 角の杉材が × で入っており、ちょっと気が利いたところだとコメリ(農家の味方!! の DIY ショップの事 ) などで買った細かい × の入った格子が目隠しとして使われている。これに防虫剤を塗り、塗装でパッキパキに塗り固め、これで 『イギリス風』 の洗濯物干し場らしくなってくる。その上部には雨仕舞い (雨漏りしない事) が容易なタキロンという素材を使う。これが宮崎の主婦さんらには好評らしく、以前 『欲しい~』 と職場の女性らがと僕に熱く語っていた。だが、僕にはさっぱり何が良いのかわからない。。
なぜこのような、本場イギリスには無い感じの 『イギリス風洗濯物干し場』 が出来上がるのかを考えてみた。まずウッドデッキ自体日本の家庭にはなかった。伝統的に日本人は軒下や裏庭に洗濯物を乾していた。だがそのためには靴を履かねばなあらず不便であった。そこに裸足でも歩くことが可能なウッドデッキがどっか海外から入ってきた。そりゃ欲しくはなる。ではその手摺りにバッテンの角材が入っているか。それは大工さんらが他のデザインのモノよりも作るのが楽だからである。楽って事は銭がかからないという事だ。そしてタキロンは安いし雨漏りはしない。それに何となく 『イギリス風』 と言っておけば、みんなが幸せになれる気がする。なので 『イギリス風洗濯物干し場』 が宮崎のあちらこちらにあるのだと思う。
だが僕はそのような洗濯物干し場には銭を出したくはない。まずあのイギリス風ってのが気に入らない。ここは日本である。普段から鬼畜米英何するモノぞと思っている僕としては、 『イギリス風』 ってだけでも ?? ってなってまう。それに日本は洗濯物を前面に押し出すような、がさつなお国柄とは違っていた。大抵は、人から見えないところに乾していたのに、今は南側であればそこは洗濯物を干す場所と決めているようで嫌なのである。またあの手摺りの × が大ざっぱすぎるし、塗装も寿司屋のようにテッカテカ、それにあのタキロンがとても新築の雰囲気を壊してしまう気がする。どうも田舎モンである僕は、タキロン = 鶏小屋に使われるものというイメージがあり、見ているだけで鳥の糞の臭いがしてくる気がして洗濯物などを干す気にはならない。また × とタキロンがあることにより、どうも家がチャっちく見えてしまう気さえする。それにイギリスのどの辺りにあるのかはしらないが、あの大ざっぱさは繊細な大和心を持つ僕としては受け入れがたい。どうもあの空間が生理的に無理なのである。
って事で和風の ”奥ゆかしい” 洗濯物干しをする空間を考えて入る。ぼんやりとした到着点は見えているのだが、それにどれだけ近づけるかはわからない。だが 『イギリス風の洗濯物干し場』 よりは良いモノが出来そうである。
まあ、大工さんらは嫌がるのかも知れないが、何とか説得して作って頂こうと思っている。。
作れば、工務店の評価もぐぐっと上がる気もするんだが。
『イギリス風の洗濯物干し場』 がある家に住む設計屋としてはそう思う。
『イギリス風の洗濯物干し場』 がある家に住む設計屋としてはそう思う。
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