先週はブログが飛び飛びで申し訳ない。インスペクション(住宅を引き渡す前に診断をする)を仕事としている僕は、引っ越しシーズンに入ったため、とにかく忙しい。昨日、何とかインスペクション後に提出するレポート作成のスピードを上げれないかと、知り合いで大分に住む、ExcelのVBAにやたらと詳しい設計屋と電話で話をした。と言うのも、物件にもよるのだが、レポートだけでも3日はつぶれてしまうので効率的ではないからだ。大分の設計士もインスペクションには興味があり、将来はインスペクション業界に飛び込もうと思っているので、お互いインスペクションの技術向上のため情報交換をやっているのだが、そんな話の中で、既存住宅の長期優良認定制度に伴うインスペクションが話題になった。
リフォームによる長期優良認定制度について細かく書くと長くなる。よって簡単に書いてしまえば、長期優良認定制度とは、有用な住宅ストックを壊さずに長く大切に使い続けられる社会としていくというのがコンセプトだ。これは国が勧めている事業であり、もちろんリフォーム費用の補助金もでる。対象はすべての既存住宅を対象に、リフォーム前の性能にかかわらずリフォーム後の性能を評価する。そしてその認定基準としては、劣化対策・耐震性・維持管理の状態・省エネルギー対策の4つが基本項目となる。またこのリフォームによる長期優良認定制度には区分があり、クラスSが長期優良リフォーム住宅、クラスAが性能向上リフォーム住宅と呼ばれるものとなる。また、要件として、リフォーム前に僕らがやっているインスペクションを行い、劣化状態(一次的インスペクション)や住宅性能(性能向上インスペクション)を判断するのが絶対条件となっている。
先々週であったか、僕はこの長期優良認定制度についての国土交通省の講習会が宮崎であったので参加してきた。また大分の建築士も福岡で同じ講習に参加したようだ。国土交通省の方から説明によると、インスペクションで見つかった大きな不具合や明らかな劣化事象は必ずリフォーム時に直さなくてはならないことだった。ただインスペクションは第三者でなくても良いという説明されていた。僕は『へっ!?』と思った。インスペクションは第三者の立場の人間が行う事が通常は絶対的な原則であり、ほぼ全てのインスペクション協会(たくさんある)でも、第三者でないインスペクションは禁止事項となっているからだ。
この講習会で大分の設計士も第三者性の担保がないのは『かなりまずい。。』と思ったらしく、僕以外のインスペクションをする人間に聞きまわっていたようだ。皆声を同じくしたのが、長期優良リフォームや性能向上リフォームをしたのに、そうなっていない既存住宅が量産される懸念だ。たとえば、長期優良リフォームを予算500万で工務店が依頼を受けたとする。それを工務店の中にある設計事務所に所属する設計士がインスペクションをかけたとする。つまり第三者ではないインスペクションだ。そしてインスペクション時に雨水の浸入場所が見つかりその浸入カ所の特定と補修が必要であると診断したとする。だが積算をしてみたら見積金額が550万であったとするとすれば、どうだろう?もちろんインスペクションの結果から雨水の浸入カ所は見なかったことになりかねないだろうか?また逆もある。別にたいして問題がない箇所のにもかかわらず、大きく言って工事してしまう可能性だってある。
また僕らのように、インスペクションを本気でやっているものからしてもトラブルのモトが増えるので困る事も予想される。たとえば、第三者でないインスペクションが行われた長期優良住宅を売る際に第三者である僕にインスペクションを依頼された場合に、その住宅が長期優良仕様になっていないこともあり得るからだ。僕らはそんな場合、言葉を慎重に選んで説明しなければならない。場合によっては詐欺に僕らも巻き込まれてしまいかねないからだ。
国土交通省としても、インスペクションをする人間を増やすためにそうやっているのではあるだろうが。。やり方は間違えているような気がする。そんな事を同業者とは話している。
う~ん、どうしたもんだか。。
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