2013年3月31日日曜日

デザイナーズ犬小屋

   以前僕がまだ中学生の頃だったか、アメリカの政治家か高官だったか忘れたが、日本の家を見て 『まるでウサギ小屋だ』 と言って物議をかもしたことがある。当時、頭に来た僕は英語教師として来日していたアメリカ人教師に攘夷 (カンチョウの事です。。) をかまそうかと思ったりしたが、周りに国際問題になると止められた。だがその後、アメリカで生活し帰国して日本の家々を見て感じたのは、 『まるでウサギ小屋だ』 だった。。多くの人々は家の大きさがアメリカのと比べ日本のは小さいから "ウサギ小屋" と言われたと思っていたようだが、実は違う。実際アメリカの一般的な家は日本の家とほぼ同じぐらいの広さだ。もちろん豪邸は違うのだが。。アメリカ人から見ると (たぶん。。) 日本の家はメンテナンスなどはされてないので、サビやペンキの剥がれがどうしても目立だってしまう。欧米の家々はペンキを塗る文化があるので、数年に1度は必ずペンキを塗り直す。塗り直さないのは "ウサギ小屋" ぐらいだ。だから 『まるでウサギ小屋』 となる。僕の4.5帖の事務所の前で煙草をふかしながら、では日本人にとっての "ウサギ小屋" は何になるんだろう考えていたら、目の前にあった。。犬小屋だ。。

開きます。
   僕は仕事で、耐震診断や住宅改修の仕事をする機会が多い。よって色んなお宅へお邪魔するのだが、犬を飼っているお宅が多い。そして多くの家々にはたいていは同じ大きさ犬小屋がぽつりとおいてある。失礼を承知で言えば、その多くはとても綺麗とは言いがたい。また大抵は鎖につながれた犬が常にそこにいるため、犬小屋の全面の地盤はえぐられているし、どうもそこだけは掃除をした形跡すらないのでフンだらけ。そんなお宅が多い気がする。どんなに庭に花を生けようとも芝生をはろうとも、どうやら犬小屋だけは手入れをしないし、美しくする必要もないと思っているようだ。というより頭の中でそこは見てはイカンものと決めているような気さえする。

   これでは僕は面白く無い。犬は家族同然の家庭が多いと思う。なのでもう少し考えて見ませんか?と設計の一番最初の計画の段階で提案している。僕がいつも考える犬小屋は、外壁に面するように犬用のスペースを設けるというもの。もちろん普通の部室とする必要もないので屋根と風よけの壁さえあればよい。もちろん水洗いも出来るように設定しておけばフンの臭いもしないし、ウッドデッキのような床上に犬部屋を配置し、そしてドックランのスペースを見せるデザインとして設計しておけば、快適な犬様のお家となるし、お客がきてもステキと思うはずだ。それにその方が庭に犬小屋がなくなる分、そのスペースを有効活用だってできると思う。

   また室内で小さな犬を飼う場合、鳥かごのような鉄の柵に入れているところが多い。だがどうも惨めだ。世の中には同じような事を考えている人がいるらしく、ネット上には色んな犬小屋があったりする。またデザイン屋や知り合いの設計屋に頼めば、数万ぐらいできっといいカタチの小さい犬用の柵ぐらい喜んで作ってくれるはずだ。きっと彼らも気合いを入れてデザインしてくれると思う。というのも、とても創作意欲がでる内容のお仕事だからだ。だって犬小屋を発注する人などいないから。。

   設計のお仕事は決して家のカタチを決めれば良いというものではない。庭についてもある程度は考えておかねばならない。なぜなら庭は室内から見えるものだからだ。窓のから見る庭に、ぽつりとある犬小屋とえさ箱ほど寂しいものはない。そんな事を毎度の事ながら思う。

   まあ、そんなこと言っても、我が事務所の前には、おんぼろ犬小屋があるんだが。。

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