数年前のこと。僕は京都の設計事務所を切り上げ、宮崎に帰ってきた。というのも地元のとある社長さんから貿易の仕事を手伝ってくれないかと誘いがあったからだ。以前にも書いたが、僕は設計の世界に入ったのはこの国の景観を何とかしたいから。景観では飯は食えないので、設計をとおして景観の大切さを訴えていきたいと思ったからだ。だが設計だけではこれまた食えないので、貿易の仕事をしながらたまに設計や景観問題でもまあ良いと思ったので京都を切り上げた。だが、帰って来てびっくり。誘ってきた社長さんには中国から来た嫁さんがいるのだが、金で買って来たらしい。。そんなろくでもない人間の会社はこりゃアカンとなり貿易の話はボツ。。そんな途方に暮れて時、職業訓練校がパソコンの生徒を募集していた。訓練校ではExcelやWordはもちろんAccessまで無料で教えてくれると言うので、通っていたのだが、その隣で2級建築士講座をやっていた。僕は以前に筆記試験は受かっていたので、2級建築士となるためにはあとは製図にパスしなければならない。なのでお隣さんのよしみで製図の問題集を頂き、用紙もついでにもらい、何もしらない先生らに質問攻めをしていた。ただそれだけだ。
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建築士の製図の試験は時間との勝負だ。試験時間は平成24年から5時間となったようだが、僕らの時代は4時間だった。約1時間で問題を読み、そして基本的なプランを作る。1階と2階の平面図を90分で書き上げ、そして矩形図という断面詳細図を30分、小屋伏図を20分に立面図を20分。そして残りの20分で面積表を書き込み、見直しをしなくてはならない。だが図面を手書きするのは結構な作業。慣れていてもそんな短時間で書けるもんではない。なのでとても殺気ばった試験となる。一般に試験官の印象を良くしなくては合格できないと言われているので、美しくそして非の打ち所のない図面が要求される。
なので受験者は道具にとてもこだわる。製図用の高いペンを買うのは当たり前。三角定規も僕は 3L Griffit という中央が浮いていて製図用紙が汚れない定規を使っていたし、刷毛を持参して製図用紙を10分ごとに数回掃いて、また指先だけない手袋を持参し、腕には女性用日焼け防止の腕まきをしていた。消しゴムは良く消えるMONOを使い、消す時は字消し版を使う。寸法線の端には●を入れなくてはならんのだが、悠長に鉛筆で書いていては時間がもったいない。よってホルダー式鉛筆の先を丸くしたペンを印鑑を押す要領で書く。。と言うより押していた。もちろん4時間の長丁場。口には禁煙パイポをし、朝から水分は一切とらずに受けた。
だが正直僕らが受かった時の問題は難しかった。問題の日本語が理解できなかったからだ。図面を全て書き終えねば受からない試験なのだが、僕は時間がなかったのでとりあえず書いたが、あちこちで抜けが多い図面を提出した。だが受かった。ようは周りの方々が落ちてくれたかららしい。
今年も2級建築士の筆記試験が7月に始まる。受験生はそろそろ勉強をしなくてはならない時期だろう。建築士合格者としてアドバイスするとすれば、まあ道具にはこだわりましょうという事だろうか。
まあ、受かっても仕事はないでしょうが。。
押して下さい。ちょっとでも上位に行きたいだけです。
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