2013年11月20日水曜日

木造のビニールハウスをつくる話

  早いもので11月も後半に入り、しっかり冬らしくなってきた。南国宮崎と言えども、冬はやはり寒い。冬物の服を押入から引っ張り出して着ているが、その横にはまだ夏物の服が置いてあったりして、そろそろ冬物の服と交換しなくてはいけんな~と一人でぼやいている。今日は昼時に親戚の喫茶店をやっている姉さんに食事に誘われていたのでその喫茶店に向かった。その喫茶店は隠れた穴場であるのだが、周りがビニールハウスと牛しかいないので、どうも流行っていない。なのでたまに『遊びに来い』とお誘いを受ける。車で『いざ参らん!』とエンジンを吹かせていたら母親から電話が入った。『庭の花に水をやってくれない?』という命令だった。今言わんといて。。と思いながら一度エンジンを切り、庭の花に水をやる。母親は花作りが大好きなのだが、忙しいので、僕が自分の部屋でお仕事をしている事を良い事に水やりを頼んでくる。この時期になると、寒さに弱い花などはすぐに霜にやられる。なので、母親は父親に頼み作ったビニールのカーテンの内側に花を入れて、それらを育てている。僕には観賞用の花なのに汚れたビニールに囲まれているわけで、それらが美しいとは思わないのだが、彼女にとってはとても大事なんだろう。育てることに意義を感じているのかもしれない。

  親戚の流行っていない喫茶店に着くと、その近所の農家の嫁さんと庭のベンチでケーキを食べていた。どうやら嫁さんはよく遊びに来ているしく、野菜が多く取れたので、それらを持ってきたついでのケーキタイムのようであった。『この子、親戚の建築家』と姉さんは農家の嫁さんに僕を紹介した。別に僕は建築家であるつもりはさらさらないのだが、否定するのもかったるく、仲代達矢さん風に『こんにちわ』と答えた。その後、自然と建物の話になる。その会話のなかで『ビニールハウスは木造にで作れないの?』という聞いてきた。まあできなくはないし、宮崎県もそのような研究をしているという報道を見た事もある。また以前、地元の大建築家が木造のビニールハウスの設計依頼が最近多いと言っていたのを思い出した。だがコスト的にはどうだろう?その辺りは僕は鉄骨のビニールハウスも木造のも作っていないのでよく知らない。『普通に鉄骨のビニールハウスは美しくはないけど、あれじゃダメなんですか?』と僕は聞いた。すると最近は農業従事者の高年齢化が進んだため、台風などで鉄骨が壊れると直すのが大変。そんな事をおっしゃっていた。まあ、そりゃそうだろう。


  ふと考えて見ると、アメリカから宮崎に帰ってきて思ったのはそのビニールハウスの多さであり、そのビニールの汚れの酷さであった。まずアメリカには日本のようなビニールハウスはほとんどない。その理由はアメリカはその農地が大きいため、一つの作物を時期をずらして一年中収穫する必要性がないからかもしれない。またアメリカ人は日本のビニールハウスのような土よごれをあまり好まないのが理由からかもしれない。だが似たものはあるにはあった。


  僕が勉強していた大学は、実は世界1位と言われる農学部があったため、その大学の敷地内には温室があった。温室と言っても、その規模は日本の体育館ぐらいはある。どうやらグリーンハウスというらしい。基本的な構造は日本のビニールハウスと同じではあるが、その柱や梁は木造であり、ビニールを外壁には使用せずポリカーボネート板であった。ポリカーボネートは断熱効果が高く、また光を通しやすいためビニールと同じ効果を持たせているのだろう。その内部には色んな植物や野菜が植えてあり、またその温室の中には堂々とレストランがあった。温室の中のレストランではあるのだが、その一角だけは常に蔀戸(しとみど:前に押し出す窓)が常にオープンにしているので、それ程暑くはない。もちろん野菜などの部屋とレストランは仕切ることができる構造だ。またレストランと言っても学生がその授業で作った食材であり、メニューはなく黒板に『今日はナスのパスタ』などと書いているだけで、毎日同じメニューはない。今ある食材で作るので自然とそうなるのだという。だが安いので僕はよく行った。


  また、花が好きな僕はよくアメリカの花屋に寄った。花屋といってもその敷地は運動公園一個分ぐらいある大きさで、その中はほとんどが木造の温室である。そしてその通路は日本のドンキホーテのように複雑で、花探しが楽しめる。そんな造りになっていた。そして『グリーンハウスの注文はこちらまで』のような看板が出ていたりする。どうやらアメリカ人は自分の家の庭に植える花の苗を育てるために、グリーンハウスを作ったりするようであったりした。

  そんな話を喫茶店でしていると『美しい木造のグリーンハウスを作ってくれない?』と農家の嫁が言った。どうも自分らで何でも作りたいらしく、図面さえあれば大工仕事は自分でやるのだという。だが『ちょっと待ってくれ』と僕は言った。というのもグリーンハウスは基本は骨組みが見えているわけであり、それを美しくするにはそれなりの工夫が必要だからである。そのためには先にグリーンハウスのデザインを検討しておく必要があり、そのための準備期間を頂かないと、安くで図面などは仕上がらない。

  なので、骨組みをいかに美しく見せるかを考えている。まあ、すぐに作るとは思わないが。。まあ美しいビニールハウスをつくれば街並みも少しは良くなるだろうし。。汚いビニールハウスよりはええだろうし。。

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先に勉強しておかないと、どうせ設計料などは安いんでね。。

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