2012年3月13日火曜日

お抱え絵師の復活 !!

  京都の右京区にある退蔵院というお寺でお抱え絵師(御用絵師とも言う)が復活したそうだ。京都造形芸術大学出身の村林由貴さん(25歳)が公募の末選ばれたそうだ。作品に対する対価は出ないそうだが、ちゃんと住み込みで食事に給料だって出る。3年がかりでふすま絵を64面を描くそうだ。実に素晴らしい事だと思う。お寺の方が言われるには『高名な画家に発注して高額で買うので無く、文化財を作り出す若い人材を育てたい』と言う事で、現代では途絶えた『お抱え絵師』に着目したそうだ。僕にとってこのお寺の方の考え方は、久しぶりにすかっとしたニュースだった。実に素晴らしい。

  そもそも日本のふすま絵などは、絵師と呼ばれる方々が書いてきた。日本間に障子が有り、ふすま絵が入っているってのは当たり前のセット。やはり単調になりがちな住宅建築に、日本間だけは華やかな美しさが欲しかったのだろう。無地(白地)の襖(ふすま)など見た事がない。が、いつの頃かふすま絵はプリントされるようになった。実は日本間という室は設計の時に力を入れれば、いくらでも入れれる。奥が非常に深い空間なのだ。また日本間は客間であり接待の場。その家主の建築的な美意識を表現する場所とされていた。なので昔の人々は床の間にこだわり、壁の材質や木材の品質、そして障子やそのふすま絵にこだわってきたわけだが、戦後多くの日本人は日本間にあまりお金を掛けなくなった。フローリングが当たり前となり、生活の中での日本間の地位はぐ~んと落ちてしまった。なのでお金を掛けず、とりあえずって程度の日本間しか最近では建てられない。

  しかし寺院は違う。寺院はあくまで私邸では無く公共の施設に、おおざっぱに言えば入る。寺院のふすま絵がプリントではさすがにいけない。本物を使わないお寺などはどことなくインスタントで興味が失せるのだ。単に昔の作品を補修して使うって言う物ではなく、ちゃんと新しい感性で新しい芸術を作って行く。寺院の心意気に、喝采を送るべきではないか。

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