2013年11月8日金曜日

『希望の壁』に潤いを感じとれ !

  大阪は梅田にある、複合商業施設で新梅田シティの庭園横に、四季折々の花や植物からなる巨大モニュメントである『希望の壁』が設置されたとニュースで見た。発案者は建築家である安藤忠雄氏。新梅田シティを子会社が監理している積水ハウスさまが大阪の緑化運動に取り組む安藤さんの発案に賛同し実現したそうだ。希望の壁は高さが9mで、幅が78mの緑の壁で、なんでもステンレスネットと多数のプランターに壁面を覆うつる性の植物や、その他色とりどりの植物100種類以上を植栽したとある。よく見ればそのデザインは壁の向こうも覗けるし、近代的と言えば悪くはない。まあ、真っ直ぐなラインが多いきらいがある気がせんでもないが、安藤忠雄氏らしいデザインではあるのは確かだ。だが壁の設置に当たっては一悶着あったと聞いている。

  僕は新梅田シティは行ったことが無いのだが、その敷地の北西部には造園家の吉村元男氏による造園があるらしく、吉村氏が『壁の設置は、庭園の表現を改変し著作権侵害にあたる』として設置差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立てたそうだ。なんでも吉村氏が言うには、壁によって日照条件が悪くなり、吉村氏が作った庭園の植物は育たなくなるのだとという。また市民が快適に過ごす権利が侵害されるとも言っている。調べてみるとなるほど、その庭園は日本の里山を意識した作りとなっており、まあ美しい。そのコンセプトは『里山と鎮守の森と人々と関りのある昔からの自然』なんだそうだ。そりゃそこに見たくれイギリス風の植物などをポンポン生けた壁を作るのであれば、作った方も何とか阻止しようと動くだろう。庭園に対する著作権の侵害という、すこし無理っぽい事を言いたくなるのもよく分る。この庭園は都市景観賞などを受けているので『作品』と言えなくはないからだ。だが結局は裁判所にはねられたようである。まあ、吉村氏の庭は北と西側にその多くは広がっているが、安藤さんらの壁は東側だし。。希望の壁に直で接しているのは、観光バスの駐車場だし。。希望の壁の高さは9mと高い。これが庭園に日陰を作ると言う事だろうが、強く主張するには少し無理があると思う。。気持ちはよ~く分るが。。


  後出しっぺで言うので気がひけるが、このような壁を以前とある街とある音楽ホール脇にある公園の改修コンペで、僕は提案したことがある。僕が引いた図面は、高さは6mで似たような構造ではあった。また入口は確か12mの広さでもう少し壁の向こう側が見えるようなデザインであり、またこれほど角張っていなかった。まあ、採用されずにボツとなったワケであるのだが。。また、以前手がけた宮崎の家の外部の塀にも同じようなデザインを描いたことがある。まあ、結局は予算に合わなかった事、またメンテナンスの問題(水やりがダルい。。)し、ヘビがでる !! って事でボツとなった。。まあこの『希望の壁』も安藤さんほど有名でなければ、積水ハウスさんも乗ってはくれんかったであろう。まあ、デザインの世界ってそんなもんだ。。

  今は秋だからまだそれ程花は咲いているようではないが、これが春になるとどうだろう。咲き乱れるのではないだろうか。僕は安藤ファンでは無いのだが、決してアンチ安藤でもない。だが安藤氏がやってる大阪の町中に緑を増やすプロジェクトは素晴らしいと思う。京都に住んでいる頃、仕事で大阪には良く行ったが、あまりにもなコンクリートな街並みに驚かされた経験がある僕としては、ぜひ関西の建築家さんらにはがんばってもらって良い大阪を作って頂きたいと思っている。

  緑化率という言葉がある。街を鳥瞰的に見て、どれほど緑があるかを%で表したものだ。だが人間はそれ程鳥瞰的に街並みを見るわけではない。なので重要なのは緑視率であると言われている。つまり実際に見える緑の%である。人間の目は、不思議なもので、緑視率が5%を超えると潤いを感じると言われている。確かに和室に植物が一輪あるだけで美しいと感じる。これは緑視率5%の壁を越えているからである。もちろん5%だけでなく、もう少し緑があればそれはそれで良い。だが緑だけでなく、色んな花があればもっと心を潤すだろう。

  そんな意味からしても、この『希望の壁』には注目して良い気がする。問題はメンテナンスだろうが。そこは積水ハウスさんががんばるだろう。

  だが後ろの新梅田シティのビルは凄い。いかにもとある時代の臭いのするデザインだ。僕にはこれほど好きになれない建物もない。どことなくズボンのチャックに似ている。。作った人はあの京都駅ビルを設計した原広司さまだそうである。。

  にゃるほどね~。。

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将来は大きくなりすぎないのだろうか。。
まあ、切るだろうけど。。
イギリスの木の塀みたいになるだろうなと思っている。
それではまた来週!

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