ニュースを見ていると国家戦略特区という構想が耳に入ってきた。国家戦略特区とは安倍政権の経済政策である『アベノミクス』の一丁目一番地である規制改革を実現させるものであり、そのワーキンググループが首相官邸にあるらしい。目指すところは、東京・大阪・名古屋などの大都市圏でロンドンやニューヨークに匹敵する国際的なビジネス環境を整え、外資系企業の誘致や公共インフラの民間開放を推進するのだそうだ。これまでも〇○特区なるものはあった。だがこれは地方自治体が中心である。だが国家戦略特区は政府が推進し、早ければ来年の夏前にも指定地域を正式に決めるそうだ。その柱となるのは建物の容積率の緩和である。高層建築物を供給しやすくする事により、外国企業の入居や働く人々の住宅を整備し、働きやすい環境を整えるらしい。まだはっきりしたカタチは分らないが、台湾などにある経済特区のようなものではないのかも知れない。
知らない人のために書くとすれば、容積率とは、延べ床面積÷敷地面積ので割り出された数値をいい、通常は%で表す。例えば300㎡の敷地に都市計画で定められた容積率が80%であるとすれば、その敷地に建てられる建物の延べ床面積の最大値は240㎡となる。安倍政権が目指すところの容積緩和とは、現在地方で決めている都市計画を、国が変更しようとするのか?その辺りはよく分らない。だが現在ある容積率を緩和するという事は、大都市圏の街並みは数十年後には、今より遙かに高層化が進むという事である。
日本は戦後、景気が悪くなる度に都市計画の一部である容積率を変えてきた。容積率を変えることにより街を活性化させるためである。人が多く集まりやすい都市などは容積率を大きめに設定し直すだけで、大きなビルなどが出来る。大きなビルを作るという事はお金が市場に出回るという事であり、景気の底上げがしやすいという事らしい。だが安易な容積率の緩和はその街並みに大きな負の遺産を残しかねない。
僕は滋賀県がとても好きだ。中央に琵琶湖がある滋賀県は周りを山々に囲まれており、どことなくすり鉢状のカタチをしている。なのでその多くの土地から琵琶湖を眺める事が出来る滋賀県には、多くの人々が移り住みたいと考えるらしく、今はどうかは知らないが、ある年には人口増加率で1位になっていた。もちろんそれは大阪や京都といった大都市圏からも近いという事もあるだろう。よって容積率の高い国道の内側である琵琶湖湖岸には、自然とマンションが建ち並ぶようになり、昔から琵琶湖を眺めながら暮らしていた湖岸から少し離れた家々からは琵琶湖は見えなくなってきている。
僕は安倍政権が目指すモノがまだはっきりつかめていない。国家戦略特区がどの程度の広さと規模で容積率の緩和を考えているのかが分らないからだ。できればその範囲は出来るだけ小さくあって欲しいと願っている。またその特区には厳しい景観条例を持って望んで欲しい。でなければ魅力ある都市にはならない気がしている。
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まあ一極集中がもっと進むって事ね。。
2013年11月6日水曜日
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