いつの事かは忘れたが、新聞を見ていた。その新聞の1面には現代正倉院展と大きく見出しが出ている。思えば正倉院展はしょっちゅう開催されている。すこしやり過ぎではないかと思うキライさえある。まあ、それだけ集客があるという事だろうし、魅力的であるという事の証なのだろう。正倉院は日本の宝が沢山収めてある倉であるのは知っている。中学校の社会科の資料集にでてくる、ペルシャ風の輸入品やら、絵画・漆工・ガラス器など、古代の美術工芸の粋が収められているようで、奈良時代の日本を知る上で貴重な資料でもあるようだ。またシルクロードの文物の東の終点でもあると言われる。実に行きたいとは思うのだが、まだ行ってはいない。まあ、いずれは保険などの仕事で奈良にも行くだろう。その時に見ればそれで良い。
僕が中学校の頃ぐらいまでは、当たり前のように暴力教師がいた。社会的に先生が生徒に暴力をふるってもぎりぎり許されていたのが、僕が中学生の頃の事だと思う。僕の国語の先生などはその典型で、授業中にクイズを出す。若い人には分らないだろうが、そのクイズに答えられなければげんこつ、正しく答えてもA君はとりあえずげんこつ。。手が痛くなるとマジックインキを逆さにし、そのフタで殴られる。。おかげで国語が大嫌いになった。その暴力教師が『なぜ正倉院の宝は現代まで持ったのか答えろ!』と、国語の時間だというのに、どうでも良いクイズを出した。
だがクラスメートは九州の宮崎に育った田舎者。正倉院などは行ったことがなければ、漢字で書けるのかもだいぶ怪しい。もちろん何人かは明らかに病院だと思っている。。案に違わず皆もごもごしながら殴られる。。アホだが威勢は良いA君は、『プレパラアースで。。』と答えたがやはり殴られた。先生は僕の前で『お前はどうだ?』と言われた。だが、旭日なんとか賞を取った爺さんから正倉院の造りを教えてもらっていた僕は、知っとるわ!と言わんばかりに『職員さんらの努力で!』と答えて殴られた。。結局だ~れも答えられなく、なぜか勉強不足となじられ、その後、これ見よがしに先生の建築的知見をご教授頂くはめとなった。。
なんでも、ご高名なその国語の先生によると、正倉院の建物は校倉(あぜくら)造りであり、その木材は湿度の高い時には木々が膨張して外部の湿度を入れるのを防ぎ、また逆に外気が乾燥している時は木材が収縮するので、材と材の間に隙間ができ風を通す。よって倉庫内の環境を整えるられているので、1000年以上に渡り宝物が保たれたんだとおっしゃっていた。僕の学校は、暴君のいう事は常に正しいという校風であったので、そのご高名な先生の教えをず~と信じて生きてきた。だが、建築を勉強はじめた頃にこの説は否定されだした。確かによくよく考えるだにおかしな説ではある。
正倉院は奈良時代である6世紀ぐらいに作られているわけで、その時代の木などは既に乾燥収縮が進み石みたいにカッチンコッチンに固くしまっているので、乾燥収縮はもちろん膨張などはあり得ない。また屋根は本瓦であり、またこの時代のそれは実に重い。よってその材に隙間を作るゆとりなどはあるはずはない。それに年がら年中日陰に宝物を置いておけば、必ずどこかにガタが来るモンである。どう考えても校倉造りがどうのこうので宝物が保てるはずがない。
では現在一番支持されている説は何かと言えば、『虫干し』なのだそうである。なんでも古来から同じ方法で、毎年『虫干し』を続けているようで、現在は宮内庁職員の方が担当されているという。またこの方法が実に丁寧なのである。なんと同じ職員が毎年その作業に関わるのだそうだ。何故同じ職員かといえば、もちろんやり方を知っていると言うのも大きいだろうが、傷がついていないかを目で確認するためだという。昨年はどうであったかを目で見て確認しながら、丁寧に虫干しをされているそうだ。実に1300年続けている虫干しってのも凄い話である。おかげで僕らは正倉院展でキャッキャ言えるのである。実に頭を垂れる思いだ。
僕は正倉院の宝物の多くを知っているわけではないのだが、『蘭奢待(らんじゃたい)』だけは見てみたい。知らない人のために書けば『蘭奢待』は、その字の中に東大寺の3文字が入っているというお香であり、源頼朝や信長に明治天皇などに切り取られた多くの権力者が欲した宝物である。あれを見てみたい。
まあ、単なる木ではあるらしいが。。
臭ったらもの凄く臭かったとも聞いているが。。
押して頂けると、ありがたいです。
明らかに殴られ損である。。
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虫干しは、曝涼とも言うそうですね、京都の景観について何件か記事を書いています。 お時間が許せばご披見下さい。
返信削除http://www.google.com/cse?ie=UTF-8&q=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%80%80%E6%99%AF%E8%A6%B3+site%3Aplaza.rakuten.co.jp%2Fcamphorac&cx=004516429009778398148%3Aify7pqwrd5y#gsc.tab=0&gsc.q=%E4%BA%AC%E9%83%BD%E3%80%80%E6%99%AF%E8%A6%B3%20site%3Aplaza.rakuten.co.jp%2Fcamphorac&gsc.page=1
柳居士徒然さんコメントありがとうございます。
返信削除文章を読ませていただきました。素晴らしいの一言です。僕はどうもこのようにビッシリと密度の高い文章を書く脳みそは持ってません。。実にうらやましいです。国語が嫌いだったので、あきらめていますが。。なので景観のブログを書いているのに読まれているのは、景観以外の記事ばかりなのだと自分でも呆れています。。
京都の景観条例に少しだけですがかかわった僕としては、京都の景観の未来について考えさせられるものを持っています。これからも読ませていただきますね。