2013年8月16日金曜日

美々津の精霊流しに行って来ました。

   昨日のこと、ふと朝方NHK宮崎のニュースを見たら、宮崎県は美々津にて各家々に 『神前籠』 を出すイベントのようなものをやっていると言っていた。なんじゃいな。。とは思ったが、美々津という街は、江戸時代は高鍋藩の商業港として栄えた街で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれているとても素敵な街である。その玄関先にお盆の終わりには神前籠をつけるという。その灯籠は木と和紙で出来ており、そしてその表面にはその家の家紋と名前が書かれているそうだ。実に素晴らしい伝統じゃないか~という事で友人と行く約束をしていたのだが、友人が仕事で無理となった。のであまり行かないが家族総出で行って来た。

   NHKで言ってたんだから結構な人が来るんじゃないだろうかと覚悟はしていたが、それ程の人は来ていない。そういえば今日は既に平日だったと今更ながら思った。美々津には戦国の時代には島津家と大友家が戦った耳川の戦いの耳川があり、その川は湾港へと流れている。どこに車を止めて良いのか分らず、前の車について行ったら、どうやらみんなその耳川の脇に車を止めている。車を出ると妙な音楽が流れていた。お経ではないっぽいのだが、演歌でもない。まったく妙な音楽である。 『南無阿弥陀仏~』 と言っているので仏教かと思ったりしたが、 『〇○奉り申し上げる~』 とも聞こえたので神道もついでに。。という事かも知れない。

    美々津は小さな地区ではあるのだが、結構な人々が川沿いに座り込んで夕涼みをしている。イカの照り焼きを売っているテキ屋の臭いがエエ感じである。。ああ食いたい。。と思っていたら、夜の川に漁船が明かりもつけず、ぽっぽ言いながら走っている。あの漁船は夜目が効くんかな。。と思っていたら何やら明るいモンを流し出した。。イカ釣り漁かな。。と思ったが違った。どうやら精霊流しらしい。僕は人生で初めて精霊流しを見たのでテンション上がってしまった。。頭の中は、さだまさし様である。数えてみたら、167個ぐらいが川を漂っていた。えらい死んだんやな。。今年とボヤいたら、知らんおばちゃんが、 『こりゃ檀家の数やじ !! (これは檀家さまの数でございますの意)』 と言われた。確かに一年でこんなに死んだらエライ事である。。とりあえずその精霊へ向けて手を合わせる。川上にあるラブホのピンクのネオンが僕の煩悩をくすぐる。とても邪魔だった。。皆が手を合わせる場所にピンクのネオンを入れんでもよかろうもんが。。

   精霊流しも終わり、街の中に繰り出す。と言っても夜8時だが営業中の店などはない。開いてて欲しいな。。とちょっとだけ期待していた和風喫茶店もしっかり閉まっていた。だが明治・大正からほとんど変わっていない町並みを夜に歩くと心地よいものである。ホント日本人で良かったよと歩きながら思う。その玄関先には良い感じの灯籠があり、幽玄な空気を出している。お盆にぴったりだ。またほぼ同じ時代に作られたであろうその木造住宅の意匠も、一つ一つ違っていて実に当時の設計した人間のセンスが光っていた。次に頼まれている家は、まだはっきり決まったのではないが、古民家風の落ち着きのある和風建築物のような気がしている。 これは参考になると思ったので、近いうちにまた行こうと心に決めた。

   この美々津という街は和紙でも有名である。最近の和室の障子はプラスチックな感じのモノが多い。これがどうも僕にはピンと来てはいない。この和紙をうまく自分の建築へ使えないかとちょっとだけだが思っている。美しいモノを作るには自分で工夫しなくてはならない。これは僕の建築の恩師が言っていた。確かにその通りだなと最近つくづく感じている。

   この保存地区は海辺に面している。東南海大地震などきたら間違いなくひとたまりもないような地区である。仮に津波で街が崩壊などしたら、元の良い伝統的な雰囲気の街へ戻すのには、通常の建物ではないので結構な予算がかかるだろう。一体どうするんだろ。。外壁ももちろん木で出来ているこの小さな区域をどうやって維持管理しているのかも知りたくなった。今年の研究テーマにしようと心に決めた。まあ誰かに聞けば分るだろ。。と安易に考えている。。

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