階段を考え設計する場合、蹴上げ(けあげ)と踏面(ふみづら)をどうするか考える。蹴上げとは各階段の高さの事。踏面とは階段の床面の事だ。階段の角度とは、結局はこの蹴上げと踏面の比率によって変わると言う事。もちろん蹴上げが小さいとお年寄りや子供にとっては使いやすい。しかし暖勾配となり小さな家にはなじみにくい。スペースの問題が生じるわけだ。だが暖勾配の階段は大きい建物にはよく使われる。急勾配だと例えば音楽ホールなどでは事故になりかねない。しかしだ、昔勉強した家の階段が非常な急勾配だった。これは建築家がわざとそのように設計したと書いてあった。曰く、『狭い家に階段を設ける時、大きなスペースはもったいないから、急な勾配(踏面が15cm程度!)にしてわざと注意しながら歩かせる』みたいな事を書いてらっしゃった。まあ不便ではあるし、ちと危険だがそれはそれ。人間が注意すれば良いと言う事だそうだ。だから設計の世界は深い。。
昔の日本の建築物をぶらりぶらりとしていると、城郭や大門の階段の勾配に驚く。例えば京都は南禅寺にある大門の階段。彼の有名な石川五右衛門が、『絶景かな、絶景かな~』と啖呵(たんか)を切った例の門だ。この勾配は非常に厳しい。なんせ脇にある大縄を使わねば間違いなく落ちる。まあ普通は歩く必要のないから、これで良いのだろうが、凄かった。小学生の時に遊んだ遊戯具でもあんなに厳しい物は無かったぐらいだ。逆に昔の階段などで非常に暖勾配の物もある。京都の。。名前は忘れたがあるお寺の庭にある階段。踏面は玉砂利が使用され、段ごとに栗の木がしいてある。多分蹴上げが15cmぐらい。そして踏面が2mぐらいはあったんじゃ無いだろうか。多分昔の人々が馬で上がれるようにだろう。これはこれで非常に美しかった。もちろん馬なんか乗っていない僕らには長~い階段できつかったが。
階段を考えるってのは設計屋のディーテールとして結構重要だ。まあみんなあんまり考えて設計はしないようだが。。
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