2012年3月15日木曜日

黒川温泉の街づくり

[景観] ブログ村キーワード

  黒川温泉はご存じだろうか?九州の方なら大概は知っていると思う。言わずと知れた超有名温泉街だ。熊本県の阿蘇郡南小国町にあるこの温泉。全国屈指の温泉街として知られている。Wikiで調べてみると、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで異例の二つ星で掲載されているそうだ。この温泉は他の温泉街と違い一つのコンセプトを持って地域が作られた。それは『自然の雰囲気』だ。


  多くの温泉街は不況に苦しんでいる。僕の中の温泉街のイメージと言えば、温泉を楽しむと言うより宴会をする場所。ついでに温泉だ。なので行く気がしなし、実際に行かない。以前の黒川温泉は他の温泉街と同じく、どちらかと言えば宴会場だったそうだ。多くの旅館で宴会スペースができ、実際にお客も来たらしい。しかし、ブームはさり借金だけが残った。そんな中一人の温泉宿の店主がノミ一つで洞窟を掘り、また雑木を裏山から運びあるがままの自然を感じる露天風呂を作った。その後その露天風呂は口コミでお客が来だし、変人扱いされていた店主の評判は180度変わり、みな他の店主がまねをしだした。ここから黒川温泉はどこにでもある宴会温泉から脱皮する。ここから重要なのだが、一つ一つの温泉旅館に力を入れ改修してもあまり意味が無いと気づいた温泉宿の店主は、温泉街一帯での発展を目指し出す。そこで試行錯誤の上、街の木を雑記林をイメージして木を植え替えた。そして街中に建てられた看板200本を撤去した。これによりまたお客が増えた。景観に手を入れた(もちろん良い意味で)事による典型的な成功例だと思う。街全体が牧歌的になった場所で温泉に入る。気分は最高だろう。

  もちろん黒川温泉は自然を取り込んだ事により大成功した。しかし僕が思うに重要な事は、大型リゾート会社が入り大金をつぎ込んだりしなかった事による事が大きいのでは無いだろうか。小さな旅館が集まり、生きた街を作る。大きなリゾートホテルができて温泉を売りにしたとしても、街の看板200本を撤去する活動に参加したかは微妙だ。もちろん街の木を植え直す活動もしなかったと思う。所詮大きいホテルの支配人といえどもサラリーをもらう雇われ店長。街全体を考えると言う事も無ければ、考える権限を街に住む他の旅館店主から与えられるとは思わない。大型リゾートには限界と言う物がある。

  街は生き物だと思う。小さな意見が集まり街の景観を変えた事に成功の秘訣があったと思う。実際に黒川温泉は『黒川街づくり協定』を制定して活動している。お客が来る事をみれば、やはり日本人は美しい景観が好きなんだろうと思うが、どうだろう。

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