2013年7月15日月曜日

建築理論の初歩の初歩

    設計屋の世界は40歳でもまだ若造と言われる世界である。僕がこの世界に入ったのは28歳。26歳まで外資系企業でばりばり働き、た~くさんの給料をもらっていた。だが日本に帰国し、日本の景観に絶望し、清水の舞台からムーンサルト。。設計屋という業界の奈落の底のような世界で今は生きている。設計事務所に勤務し始めたばかり頃、どうやって家をデザインしていくのか、なんとなくだが先輩や建築家さんらが教えてくれるもんだと思っていた。いわゆる社員教育的な物があると思っていたのだが、あらどっこい、そんな甘い世界ではなかった。アイディアは盗めの世界である。皆が和気藹々、楽しく働いているような世界ではなく、皆が自分のもつ空間論をいかに研ぎ澄ませて行くかという世界である。だがさすがに参った。。図工が一番嫌いだった僕が設計の世界で生きていけるかと、もの凄く落ち込んだものだ。アメリカに残っていれば良かったと少しは思った。同期で入った人間も、食えないのでさっさか辞めていく。だが何とかしがみつき、先輩らのアイディアを盗み盗み、何とか今がある。そんな盗んだアイディア (建築理論の事) の一つに、家主の利き腕はどちらかというものがある。

   実は、右利きの人がデスクでお仕事をするとする時の明かり取りの窓は向かって左側が良いという鉄則がある。同様に右利きの人のデスクライトも左側であるべきだ。なぜなら、右側から明かりが入る場所で物を書いたりすると、右利きの人のノートには影が映るからである。そんな右利きの方々が夜にでもなると、もちろんライトを付ける。そのライトの光源が向かって右側であった場合、大抵の右利きの背中はぐぐっと右にねじ曲がっているはずだ。本人は気づいていないかも知れないが、大抵はそうなっている。

   背中が曲がるのは利き腕だけの問題ではない。あまり知られていないが人間には利き目がある。人間は利き目で物体を判別し、そしてもう一つの目で利き目を補っている。なので文字を書く時に利き目の直下で字を書こうとするため、なおさら背中がよじれるのである。もちろんよじれた背中が健康に良いわけがない。

   利き腕や利き目が影響するのは明かり取り窓やライトだけではない。窓やドアだってそうだし、トイレの紙受けから手摺りの位置。さまざまな場所に関係してくる。

   気にならないと言うなら、別に無視しても良い程度の物ではある。だが、それこそが建築理論ではある。どう考えるかは家主の勝手ではあるのだが。。そんな理論がちがちの世界に僕は生きている。

   だから設計は面白い。。

   だが金にはならない。。

   なぜか出費だけがかさむ。。

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なんで建築の本ってあんなに高いんや。。
本のエンゲル係数がごっつい高い。。

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