以前京都で設計し事務所にいた頃、新しい橋のコンペと言う物があった。いろいろなデザイナーが色々な橋をデザインし、平成の御代にあった橋を作るというものだった。すでに景観問題をず~と考えていた僕は、よっしゃ~がんばるぞ!と息巻いた。
規定で歩道と自転車の橋とのことなので、もちろん橋の幅はそれ程でもない。しかもその橋はそれ程長い橋ではないので、いろんな工夫を設けた。人が座れるスペースやら、地元の方々が小さな店を出せるスペース。あと花を生けれる吊り鉢などだ。自転車もスピードが出ないように、自転車道はわざと荒いでパネルで仕上げていたりする。そして橋の上部のほとんどは木製でできていて、景観問題は起きそうにはない。しかし目立つのはこの橋には木製の屋根がついていた事だ。
去年の暮れまで、NHK大河ドラマスペシャルで『坂の上の雲』という超特大のドラマをやっていた。これは司馬遼太郎の日露戦争という、日本が異常なくらい明るかった時代のお話だ。その主人公の一人である、秋山真之(日本海海戦を勝てたのはこの人のおかげです、偉い!) が地元に帰郷する時、屋根付きの橋をくぐっていた。これは愛媛県内子町にある河内(かわのうち)の屋根付き橋なんだそうだ。誰が作ったかは分からないが、相当な好事家じゃないと作らないだろうと思える。まあ作る時にぶ~ぶ~いう人もいたとは思う。なぜなら屋根を作るため、余計なお金がかかるからだ。それに屋根の横の部分に板などが貼り付けていない場合、屋根への風圧力も考えなければならず、結構手間暇かかる。しかし、僕にはカワイイくてたまらない。しかし何とも美しく一度は行ってみたいと僕は思う。ドラマを見ながらそんなことを考えた人々は多いはずだ。屋根のある橋にはそういった魅力がある。
僕はコンペを作っている時思ったのだが、日本はどうも鉄骨むき出しの橋が多すぎる。もちろんその性能などを考えると、橋の建材としてはぴったりなんだが、どうもやるせない。そう思いコンペ作品を作った。出来上がった物には満足だったが、気が付いたら期限切れ。結局出さずじまいで、僕のハードディスクのどこかに眠っている。。まあ、日本の橋について考えさせてくれたこのコンペには感謝しているし、勉強にもなったのでそれなりに満足している。
良かったら、ご協力下さい。
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