ペチカとはストーブ、または暖炉の周りをレンガなどで作った壁面で覆い、そのレンガからの放射熱で暖めるロシア式の暖房方式の事をいう。以前は北海道ではペチカが多く見られたらしいが、石油ストーブが広まることによりその数は大きく減ったようだ。マリアさんが言うにはロシア語で『ペチ』はストーブの事。そして『カ』は前の単語を可愛くする言葉であるらしい(例:足に”カ”を付けて、『あんよ』。。みたいな感じ)実にカワイイ名前であるが、その構造はまったくカワイくなく少しごつい。いかにもロシアンな作りである。
焚き口に薪をくべると、もちろんその煙がでる。薪ストーブはこの煙は煙突を通して外気に逃がすのだが、ペチカは違う。ペチカの場合、この煙をレンガ壁面内部の排煙道へ流し込みむ。そしてその排煙が壁面内部をぐるぐる回ることにより、熱をその排煙道の周りを覆っているレンガに移し、最終的に煙突から外気へ逃がすようなっている。熱量は多い所から少ないところへ移動する特性をもつ。そしてレンガは蓄熱効果が高い。これらを上手く使った暖房方法がペチカだ。
ペチカの長所を挙げるとすれば、まず、熱容量が大きいため室温が一定であるという事だろう。寝る時に火を消しても翌朝に室温がぐんと下がることがないという事だ。また放射率は小さく、しかも放熱面積は大きいので、子供がアチチッと火傷を起こすことがない。直接浴びる熱ではなく、レンガに溜めた熱を室内空気へ伝達する輻射熱であるので、その暖かさは柔らかく快適であると言われている。
また僕として嬉しいのは薪が大幅に節約できるという事だ。薪ストーブの場合、その薪が持つ熱エネルギーの使用量は大体30%~50%と言われるのだが、ペチカの場合は90%を超えると言われる。つまり薪ストーブの場合はその熱の多くを使い切れずに捨てているという事だ。単純に計算すれば、ペチカであれば薪ストーブと比べての薪は2分の1で済むという事である。またペチカの配置を工夫すれば、一つのペチカで数部屋は暖めることが出来るし、また竈(かまど)やオーブンとしても使える。またお湯だって沸かせるらしく、実際お風呂もペチカで沸かしている家もあるらしい。そしてエコなのも魅力の一つである。その出す煙突から排出されるばい煙の量も、1/25~1/50と少なく、環境にも優しいく、煙突掃除も薪ストーブの1/25回以下程度で済むらしい。薪ストーブと比べれば、ペチカは地球に優しいと言えるだろうと思う。
もちろんペチカにも短所はあるにはある。熱量が大きいため室温調整が難しいこと。また占有空間が大きいので、邪魔と言えば邪魔である。だが室温調整はダンパーを付ければ何とかなるかもしれない。ダンパーとは羽を動かすことにより、空気の方向を調整する。これを上手いことペチカに入れれば熱をコントロール出来るようではある。また大きいので邪魔に見えるかもしれないが、これを使って間仕切り壁にも出来なくはない。うまい事配置すれば、そんなに気になる物ではないはずだ。
だが一番の短所は、作れる職人がかなり少ないと事。また予算的にも薪ストーブよりも銭がかかること。あと僕的に言えば、宮崎ではペチカなどはあるわけがなく、職人にペチカと言ってもまず『知らん』と一言で断わられる事だ。まあ構造自体は建築の知識さえあれば出来なくはないので、僕は自分で作っても良いとは思っている。
我が家の薪ストーブは早くも3年目に突入し、すこし暖まり方が弱くなってきた。やはりホームセンターの安モンを買うたのが理由かも知れないし、またお手入れが適当だからなのかもしれない。薪ストーブやペチカはもちろん部屋を暖めるためにあるのだが、それだけの理由で設置する人はあまりいないだろう。やはり人生を楽しむためにあるのではないかと思っている。では薪ストーブとペチカではどちらが楽しいだろうとかと考えた。
僕ならペチカだな。。
パンも焼けるので女子力アップにもつながるし。。
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なんとなくペチカの復権も近い気がしている。
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