ちょっと気になった事を書こうと思う。
『それいけ! アンパンマン』の生みの親である、やなせたかし氏が今月の13日にお亡くなりになった。僕は知らなかったが『手のひらを太陽に』などの作詞もされていたそうだ。なかなか素晴らしいクリエイターであるのは間違いない。残念だね~と思いながら、やなせ氏のことを調べていたら、数多くのご当地キャラのデザインをされたとある。言われてみれば確かにアンパンマンに似たご当地キャラクターは多い。おお~そうなんだと思い調べたら、なんと高知県だけで50以上、全国で200ものご当地キャラを生み出したという。めちゃめちゃすごい人だったんだ。。と今更ながら尊敬した。だがそのキャラクターを制作した数件を除いてすべてはノーギャラで依頼されたと書いてあった。。へっ、自治体は無償で働かせたの?正直、僕は怒りを覚えた。どうやら怒りを覚えたのは僕だけではないらしく、漫画家・吉田戦車さんも『そこに作品に対する敬意はあるのか?』と怒りをあらわにしている。
僕は家の設計をするのがお仕事なので、知り合いなどに『ちょっと間取り図を書いて』と簡単に言われることがある。なにやら間取り図などは無料が当たり前と思っているらしい。そんなことを言われると正直困る。というのも、『無料ではちょっと。。』とむげに断るとカドが起つし、『お金がかかるよ』というと『どんだけ大先生やねん!』と思われてしまう。だからと言って『3万でどう?』と言われても、こちらはそれで飯食べているのだし、それに3万だと普通に考えて2日で仕上げねば赤になる。だが知り合いも『責任まで持ってね』とは言っていないだろうが、妙な図面を書いてしまえば、世間様から僕はその程度の設計屋と思われ、その後の仕事に大きく影響しかねない。
以前、とある町のゆるキャラを作る際に、『君、作ってみない?』と軽~く言われたことがある。僕はあくまで建築設計屋であり、キャラクターデザインの作り方はさっぱりわからない。それにゆるキャラを町が作ること自体、よい考えとも思えなかったので断った。その後、一般公募でだったと思うが、とある方のデザインが採用され、その町のゆるキャラが出来上がった。そのデザイン料は3万であったと聞く。それが高いか低いかは別として、その後、そのゆるキャラはちょっとだけ人気が出てテレビなどでちらほら見るようになった。キーホルダーやちょっとしたグッツは結構な人気があるようだ。もちろん著作権料は無料であり、町のPRに一役買っている。だが思うのだが、これではクリエーターは育つだろうか?僕は育たないと思うし、クリエイターになろうとしている人々を殺す行為だと思う。
建築のことを言えば、設計屋はもちろん国家資格であり、また資格を取得ししたのちも、毎月高いお金をだして本を買い、それを熟読し自分の設計に役立てようと努力している。またいろんな建物を見て、それを感じ取り、自分のデザインに役立てようと感性を磨いている。ゆるキャラのデザインも同じことであろうと思う。それがプロのデザイナーかアマチュアかは関係はない。それに対して対価を払わず一儲けしている人々を見ると正直うんざりしてしまう。著作権料は実はそれほど高いものではない。なので少なくとも何か利益が出たら著作権料は払ってしかるべきだと思う。これがミ○キーさんだったらどうだろう?ミ○キーさんを怒らせたらすぐに弁護士が飛んでくると思う。だがミ○キーさんは間違えたことをしてるのだろうか?僕はミ○キーさんの姿勢があってしかるべきカタチだと思う。アメリカの著作権期間の引き延ばしはおかしいとは思うが。。
やなせ氏は、『原稿料なしの。つまりですね、すごく軽く見られているんだよ』とコピーライターの糸井重里氏との対談でおっしゃっていた。やなせ氏もつらかっただろう。その対談を読んでつくづくその気持ちがわかり、僕は同情した。またそのボランティアでゆるキャラを作ったことを褒め称えている記事もあるのに驚いた。そこは褒めるところではなく、問題とせねばならないところでしょうが。。またデザイン料無料を批判した吉田戦車さんが逆に批判にされ、謝罪に追い込まれている。僕は吉田戦車さんは正しいことを言っただけだと思う。
『あなたよりも大御所の、やなせさんも無料でやっているんだよ~』とつぶやく依頼者の顔が目に浮かんだ。
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デザイン料を払わないとデザイナーは育たない。
ちっぽけな国になると思うんだが。。
2013年10月21日月曜日
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