2013年9月6日金曜日

レレレのおじさんも悪くはない

  仕事をしていた夕暮れ時、いつもより父親が早く帰宅した。どこか具合でも悪いのかと聞けば、いつも残業ばかりしているから早く帰ってきたとの事。僕の父親はせわしない。いつも何かしていなければ機嫌が悪いので家族としてはよい迷惑である。そんな父親が急に芝刈りをするから手伝えと言ってきた。こっちも忙しいのだが、やらなければ機嫌が悪い。まあ、今週の週末は僕のひい爺さんの37年忌。なので親戚一同が、我が家に集まるので、やったらなイカンだろうとお手伝いをした。父親が芝刈りを使って庭を駆け回るのだが、我が家の芝刈りは安っぽいコード付き。なのでコードをカメラマンの助手のようにさばくのが僕のお仕事である。ある程度芝刈りが終わったら、今度は竹箒を持ち出しせっせと芝を集める。自慢じゃないが、僕の家の庭は田舎にしても大きい方だ。正直迷惑なくらい大きい。なので結構時間がかかり疲れてしまった。だが僕はこの箒(ほうき)で掃く行為が大好きなのである。掃除は嫌いなのになぜか幼い頃から竹箒が好きなのだ。不思議なモンではあるが。。

   どうも箒で落ち葉や芝などを集めていると僕は集中力がぐんぐん増すようで、仕事に詰まったら箒で庭を掃いたりしている。僕がやっている設計という仕事は、経験も大事だがひらめきがとても大事なお仕事である。間取りなどのプランを練る場合は僕は紙の上に鉛筆でラフプランを書き殴るのだが、必ずと言って良いほど壁にぶち当たる。単純なプランはすぐにきるのだが、家主さんが希望しているものやキラリとしたアイディアが出ないのだ。紙の前でじ~と考えてもアイディアが浮かばない時はどんなにあがいても浮かばないものである。だがさすがに紙の前で数時間考えても出ない時は諦めることにしている。大抵は集中力は落ちてどうしようもないので、庭に出て掃除をはじめる。すると不思議なモノで、頭がリセットされるようで新たなアイディアが生まれる事もある。もちろん出ない時もあるが、少なくとも集中力はアップするようである。

   あと、箒で掃くのが好きな理由は、やはりいい人に見えるからでもある。。ああ僕は何ていい人なんだと思いながら、掃除しているだけで自分にうっとりしてくる。だがいい人に見えるのは僕だけではなく、マーケティング的にも実証されているようだ。確か名古屋かどっかのリーラーが日本で一番TOYOTAの車を売り上げているらしいのだが、そこの店長さん曰く『別にたいしたことはしていない。掃除をみんなでしているだけだ』とおっしゃっていた。なんでもその店舗は、朝一番に掃除をするらしい。男性職員はみんな竹箒をもって店舗の前で掃除をするようなのだが、いつ頃かその店舗の前面道路だけではなく、近くの道へそして他の道へと掃除する範囲を増やしていったら、気が付けば商店街まで掃除をするようなり、いつの間にやら売り上げ日本一になったそうだ。また掃除をよくする会社としない会社では不思議と売り上げが違うと僕の知り合いの中小企業診断士も言っていた。また中小企業診断士は、見えるところで掃除をするってのが重要だとも言っていた。その売り上げ日本一の会社の社長さんが特別そんなマーケティングの難しい理論を知っているわけではないだろう。だがやはりいい人に見えるからこそ車も売れるのだと思う。

   よくよく考えてみると、日本人ほど竹箒で掃除する人々もいないと思う。もちろん外国の人々も掃除はするだろうが、日本人ほど掃く人々もいないのかも知れない。やはりこれは神道と関係があると思う。箒で掃くという行為は穢れを払う行為でもあるからだ。考えてみるといい。僕ら日本人は掃かれていない日本の神社やお寺は美しいと思うだろうか。きっと多くの人々は美しいとは思わないはずだ。仮に海外で箒で掃く人を見て、この人はいい人だと外国人が思うかと言えば、日本人ほど思わないのではないだろうか。実際僕がアメリカに住んでいた時に、箒で掃くアメリカ人はあまり見た記憶がない。大体はメキシコ系の人々がウォークマンを聴きながら庭掃除をしていたが、やはりそれは雇われてやっているという感じがプンプンしていた。やはりこれではいい人には見えないものである。竹箒で掃く時は、やはり気合いを入れて掃く日本人の姿が美しいのだと思う。

   いずれ僕は設計事務所をかまえようとは思っている。そんな時はやはり朝方には竹箒を担いで周りの道路を掃除しようと思う。街は綺麗なるだろうし、それにこちらも集中できる。またいい人に見えれば仕事も増えるだろう。

   僕のエロ筋の友人が、巫女さんが竹箒を持っているとうっとりすると言っていた。何言ってるんだと思っていたが、最近彼の深みが分るようになってきた気もしている。年をとったからだろうか。。


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