最初に大きな特徴として、24帖のLDKが南向きに大きくとってある。そしてそこには奥様の希望で、対面型キッチンを配置し、そしてその後ろには2.3mの食器棚を入れている。それらは既製品ではなく職人さんが作った。つまりお金がかかっているという事である。またLDKのフローリングは無垢のピンカドという最高級の建材を使っている。本物のフローリングであるため風合いが赤みが入って美しい仕上げで作った僕でさえびっくりである。このピンカドはとても固いので施工の際には時間がかかってしまうのだが、出来上がりは宮崎の田舎にはまずない良い感じが出ている。
また大きな特徴として 21.5 帖のウッドデッキがあるという事だろう。LDKの南側開口部には奥行き 3.6 m のウッドデッキがどど~んと設置してある。これは家主さんの息子さんが少年野球をやるので、庭先でパーティーをやりたいと聞いていたので僕が提案した。大工さんらにはでかすぎるとぶ~ぶ~言われたりしたが、出来上がりは超好評である。またそこで飲み食いした時にはトイレに行きたくなるものだ。なのでこのお家にはトイレが2つもある。そうしないと、動線的にLDKを通ってまうからである。
西側には3部屋配置した。クローゼットのある4.5帖の子供部屋が2つに4.5帖の和室が一つだ。あえて4.5帖と狭く設計してある。というのも子供部屋をあまり大きく設計しておくと、引きこもりがちになるという統計があるからだ。正直言うと勉強部屋は別に設計しておきたかったのだが、そこは家主に反対された。また4.5帖の和室は、パーティーで酔っ払って帰れなくなった人々が使うための和室なので、まあ、人がごろりと出来れば良いという設計である。
またこのお宅には木使用のシャッターがついてある。本物の木は使っていないが、表面が本物のに近い木を使っている。というのも本物を使えばもちろん金額も高くなるし、それに経年劣化で狂いが出てくるからである。だからといってちゃっちい~かと言えば、本物よりも高級感が出ているため見た目が美しい。また旦那さんの書斎も用意しているし、キッチンなどの水物はホントに高いものを使っている。
玄関はあえてカギ型の入りにしてある。家主さまの希望で直接室内から屋内駐車場へ入れるよう設計したからである。元々は違うカタチを用意していたのだが、うちの社長の一言 『縁起が悪い ! 』 というご意見につられた家主さんから大変更を頼まれたので縁起を担いだこのカタチとなった。その玄関の奧にはシューズクローゼットが 2.7m もあり、とても使いやすく設計してある。また家主さんの希望で軒のでは深い LDK の開口部あたりからだと 1.6 m もある。通常の軒のでは 600~900 ㎜ なのでどれくらい深いかはよく分るだろう。RC (コンクリートの事) 造などなら比較的簡単に作れるが、木造だとそれなりの工夫と知恵が必要なのである。またその軒裏には前面木材を貼っている。これは軒裏の最高級使用だ。通常はケイ酸カルシウム版という、よくある白いポツポツと通気用の穴があいたものを使う。これが安くて水にも強いからである。板を張っていくという事は、手間が3倍ぐらいはどうしてもかかってしまうし、その上に塗装もしなくてはならないので、なおさらお金がかかるという事だ。
反省点としては、土地と建物の関係である。実はこの建物は土地の変更が行われた。この建物の設計は昨年の7月から入ったのだが、急に11月の半ばに土地の変更がなされた。土地取得の段階で許可が下りなかったからである。以前は2メートルほどの高台を予定してた。その土地の南側はのどかな野原があって、その野原が300メートルほど遠くまで続いていた。なので大きなウッドデッキを設けたわけだ。キッチンなどで料理などをしていても、その野原と敷地を別ける隣地境界においてあるブロックが見えないようにするためのウッドデッキでもある。だが変更となった。新しい敷地は西側と南側に隣家。そして北側は小さい路地と小川を挟んで隣家。東側はこれまた路地を挟んで隣家である。とてもこれまで設計していた土地とは大違いで、基本的なプランから見直す必要がある。だが家主さんはすでに大方決まっていた建物を気に入っていたため、そのままでお願いと言ってきた。僕は反対したのだが、そうしてくれという事で、LDKの開口部を開けると隣家が見えている。まあ植栽を入れてね♡とは言っておいた。
また今回は予算の都合上、僕は基本設計のみの参加となった。つまり間取りと大まかな建具は指定したが、あとは大工さんらにお任せとなった。なので気が付けば太陽光発電を取り付けるという事で屋根の向きが設計した段階とは逆となっている。設計屋としては冬至の太陽角度などを計算してたため勿体ない気がするが家主もそれを希望したのでしょうが無いだろう。また気が付けば南西部に設置してた酔っぱらい用の和室が北側に移動していた。。よって酔っ払いは直接ウッドデッキからごろりとはいけずに、LDKを通っていかねばならない。またウッドデッキは束などの余計な部材を見せないように設計していたのだが、ガッツリ見えている。まあ一応の化粧はしてあるが。。予算の問題もあり、ウッドデッキは防腐剤のみの使用となっている。僕が本気で最後まで監修したら、僕の給料である8ヶ月の給料分の工事金額が上がってしまう。なので安く上げたのでこれが精一杯なのである。
いろんな紆余曲折もあったが、37.9万円というとんでもない安値で作った。本物の木材を使ってこの値段はさすがに僕の会社もよくがんばったと思っている。ちなみに家主さんは超喜んでくれている。まあ、お客様の笑顔のためにではなく、美しいものを作ろうとがんばっている僕ではあるのだが、、喜ばれるとやはりこっちも嬉しい。
って事で今週の土曜と日曜は西都市の穂北の展示場でお待ちしてます。
良かったら来てくださいね。
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