2012年5月25日金曜日

景観とデザインと見たくれで勝負する。

風の輪 羽目板の傑作です
  僕が所属するホームインスペクションの会社には大体50名近くのパートナーさんがいる。パートナーとは言わば下請けの事。実際にホームインスペクションを事務所の正社員さんがやる事はまれだ。なぜなら絶対的な正社員の人間は少ないし、ホームインスペクションを世の中に広める活動の方が忙しいので、現場には出られる事は少ない。しかし勉強会が毎月最初の月曜日にカンファレンスと言う形であり、僕らパートナーはそこでお勉強をする。その折、事務所に所属するパートナーと一緒にご飯を食べた時に設計について話になった。インスペクションのお仕事も大事なんだが、まだ業界のパイがまだ少ないのでどうしても他の仕事もせなならんのだ。そこで設計の時に外壁について悩むと言ってらっしゃった。そうですよねっと相づちは打っては見たものの、よく考えたら僕は外壁についてあんまり悩んだ事がない。。そんなに迷う事なんかね。。

サイディング
  外壁には色々な種類がある。サイディング・ALC・タイル・セメントモルタル塗り・土塗り・羽目板などが一般的だろうか。一番普及しているのがサイディングと言う物。工場で作られた既製品なので、品質は均一で比較的安価の物が多いと言われている。またデザインも豊富なので、よく使われる。しかし設計屋にはあんまり評判はよろしくない。多分一番の理由は安易すぎるチョイスって所にあるのじゃないだろうか。知り合いの京都の設計屋さんは、『サイディングなんてク〇だよ!』とよく言っている。しかし彼の設計した家だってサイディングだったのはご愛敬だ。僕は思うんだが、サイディングがなぜク〇なのか施主に説明しなかった君の手落ちだ!まあしたくてもできない環境だった事はよ~く理解できるが。。

ALC
  ALCとは軽量気泡コンクリートの事を言う。有名なところで言えば、ヘーベルハウスが採用している物といえようか。よく小さい鉄骨建てのマンションなどに使われていたりする。要はコンクリートなどは耐火性能などに優れた材料なんだが、重くて断熱性能は見込めない。その欠点を解決したのがALCだ。ただ初期費用は高いし、メンテナンスにもしっかりした工務店さんでなければ銭がかかる。またぼくら設計屋からみて、ちと冷たい印象があるので僕はあまり使いたくない素材だ。

  タイルもよく使われている素材と言えるだろう。未だに何故かは分からないが、年配の設計屋さんにタイル好きが多い。本格的な設計屋(自称建築家!)ともなると、タイルの土からこだわって作らねばならんとか言っていた(元いた所の社長の言葉。。給料をちゃんと社員に払って物を言え!)しかし地震などが起きた場合にはく離などの欠陥が起きやすい。しかし長期にわたって美しさが保てるので好きな人は好きな部材と言える。

下着とモルタルは白が好き♡
  モルタル塗りもポピュラーな方法だ。湿式の外壁仕上げの一種で、元々は隣家の延焼を押さえるために日本で普及したと言われている。読んで字のごとくモルタルを塗っていくのだが、精度は現場の職人の腕に寄るところが大きい。また地震などが起きた場合はクラックなどができやすく、僕自身はお勧めしない。一緒に飲んだ人に地震の損害保険でお金が下りやすいのはどの外壁?と聞かれ、たぶんクラックが見えやすいモルタル系じゃないですかねって答えたら、実際に今作っている家がモルタルとなってるようだ。デザインとはそんな視点で決める物ではない気がするのだが。。

土壁~
  さあここからマニアックである。土塗りだ。今ではすっかり見なくなってしまったが、京都の町にはまだ少しだが残っていた。地震や防火の事を考えるとサイディング等に劣ってしまうし、都心部で建築確認申請を通す事が難しいので採用されにくくなっているのだが、やっぱり素敵だ。その質感といい、また涼しさといったらたまらない。自分の一生で一度あるかないか分からないが、携わってみたいし塗ってみたい。そんな事を考えている。

  最後は羽目板だ。僕は多くのお家で外壁に使用してきた。羽目板は自然の素材だし、それに日本のどの場所に建てても景観に配慮しているように見える。そこは日本の伝統が木材なんだからそう感じてしまうのかもしれない。下手に悩むよりこちらの方が味はあるし、文句を付けようもない美しさがある気がする。勿論メンテナンスフリーではない。しっかり作れば大体30年ぐらいは持つと言われている。でも30年たてばどんな家だってリフォームなどするし、まずかったらちゃんと手直しぐらいはするので僕は積極採用をしている。ある程度大きい厚みがなければ反りの問題もあるのでやっかいではあるが、朽ち果てても美しい物がデザインだとすれば、羽目板は一番なんではないだろうか。一般的には素敵だとは思わないだろうか?いつも最初は渋られるのだが、僕がとうとうと説明すると納得してもらえるのが嬉しい。

やっぱり羽目板が好き♡
  設計屋は色々悩む。これが一番良い外壁だと思っていても『ヨ~ロピアン風にね♡』と奥様に言われるとどうも弱い。しかし僕はいつも多分飽きますよって言って目地板を提案している。なぜならヨーロッパって言われてもよ~くは知らんし、ここは日本だからです。イカン文章長なった。。


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