次の日からこれは何とかせねばと色んなお店に入るが、とにかくまずい。結局食べれる料理が見つかる前に大学が始まってしまい寮生活となった。僕の大学の寮は大きな食堂が別棟にあり、その食堂を囲むように各寮が並んでいる。そこの食堂で出される料理はもの凄い種類の料理が食べ放題。果物がど~んと建物の中央のテーブルに天高く盛られているし、食事メニューだって40種類ぐらいはあった。とりあえず寮でご飯を食べねばならんと食堂へ向かうのだが、これまた食べれるもんではない。そしてそこにもシチリアンブレークファーストがある。。何食べてるんだアメリカ人は。。と、しょうがなく毎日ハンバーガーの肉だけにケチャップと塩こしょうで味付けしたものだけ食べていた。だが、毎日同じ物を食べてるとさすがに飽きる。これではイカンと町中を散歩していると、どうやらファーストフードがあった。名前はSUBWAY。今ではもちろんサンドウィッチ屋と知っているが、田舎育ちの僕はもちろんSUBWAYなんぞ知らん。恐る恐る入ってみると、店員はインド人だけ。。店内はとても暗く、マクドナルドのようなウェルカムな空気はない。いかん。。騙されると思い、走って逃げようと思ったのんだが、後ろにはアメリカ姉ちゃんが何人も並びだし、きゃぴきゃぴ言うとる。これでは店から出るに出れない。ママよ、ここで逃げたら大和民族の恥と思い、オーダーするはめになった。
SUBWAYのシステムは、最初にメニューを選び、そしてその料理に入れる野菜を自ら選んでいく。もちろん英語が読めない僕は、ボードに書かれているメニューをガン見し、知っている単語のメニューをオーダーした。 『ミートボール ! 』 と精一杯の笑顔で店員に言った。そしたらインド人が 『ウィ~orホワイト』 と聞いてきた。ウィ~って何ぞな。。フランス語かのう? と思ったが分らない。やむを得んので、フランス人のように 『ウィ~』 と答えるとインド人が黒く焼いたパンを取り出した。ああ、焼いたパンの事ね。。と思っていると今度は 『グリーンペッパー?』 と聞いてくる。緑色の胡椒?あっのり塩の事か ! のり塩はミートボールには合わんだろとは思ったが、アメリカ姉ちゃんの前でまごまごするのはお国の恥。なのでばしっと、 『あ~はん~』 と言うと、ピーマンが出てきた。あっ、ピーマンの事だったのね。。そして最後にインド人が 『オリーブ?』 と聞いてくた。もちろん田舎で育った僕でもオリーブぐらいは知っている。油のコツっだろインド人 ! と思って頼んだらもちろん油ではなく、オリーブの塩漬けがどどっと振りかけられた。どんぶり1杯分ぐらいだろうか。そんなにいれんでも良かろうもんだが。。だが、これを食べたらめちゃくちゃ上手い。ミートボールにオリーブがこれほど合うとは思わなかった。大きい声では言えないが、初めて食べたオリーブの塩漬けはとても美味。それから毎日のようにSUBWAYにお世話になり、アメリカでの7年間の僕のライフラインとなった。もちろん店員とは日印同盟を組み、貧乏な時は余ったミートボールをタダでわけて頂いたし、その店に入る時はちゃんと 『ナマステ~』 となった。
オリーブの塩漬けはアメリカのパーティーなどではポピュラーな食材だ。日本ではそれほど人気があるわけではないし、多くの日本人はオリーブの塩漬けを食べたことがない人もまだ多い。だが僕はこれほど好きな食べ物はない。まあ、日本産の食べ物ではないのだからしょうが無いのかもしれんが、たったの5粒ではとても悔しい。なんとかならんか。。と最近ずっと考えている。僕が住む宮崎の片田舎の町には、もちろんオリーブの塩漬けなどを売っているような洒落た店はない。買いたかったら宮崎市内までいかねばならんし、行っても種類はとても少ないのでおもしろくはない。
それじゃ、作るかのぅ~って思いつい至った。よくよく考えれば、僕の家には田舎よろしく土地が余っている。その一角にオリーブを植えれば、自分の家で食べるオリーブやその油は自分で生産できるはずだ。作る方法はそれほど難しくはないし、それにせっかく田舎に生まれたんだから、田舎もんの遊びを極めたいと思って来た。
数年後に、ミートボールサンドウィッチにオリーブを乗せて食べるのが楽しみだ。
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