2012年6月14日木曜日

風呂場はこだわって作る。

  日本人ほど風呂好きな国民は世界中探してもいない。これは同じような気候の国であっても、これほど風呂に毎日入る国民はいないであろう。しかしこだわって入っていると言えば、それは違うのではないか。日本という国土は、水が豊富だ。世界水会議というフランスの研究チームが各国水一人あたりの水質資源量や上下水普及率などのデータを元に、資源、アクセス、良質な水の容量などを総合的に判断して日本は34位だ。決して高くはなかったがまあ何かが足を引っ張っているカテゴリーがあったんだろう事は想像できる。ちなみに1位は彼のムーミンと、勝手ながらやさしい女性が多いと思っているフィンランドだ。しかし水が多いからって毎日風呂に入るとはかぎらない。日本ほど風呂文化が発達した国もないのじゃないだろうか。しかしホームインスペクションのお仕事をしていて、色々なお風呂を見てきてはいるが、気に入るようなお風呂は未だ見ていない。これじゃ残念だ。

  僕の壊される事が決まったこの古~いシェアハウスには在来の風呂がある。これが床のタイルは割れていて防水層が見えているし、またこの防水層が割れているので、絶対に基礎部分に水がしたたり落ち、木部が腐っているのは間違いない。そんなお風呂を毎日使っている。使っているといってもあくまでシャワーのみ。湯船に浸かろうものなら、どこか病気になりそうで恐ろしい。もの凄いバクテリアなどが住んでそうなお風呂を使っているのだ。まあ洗う場所がついているってだけでも良しとせないかんであろう。もちろんそこには遊び心なんて一切無いし、必要とされていない。

  では僕が住んでいたアメリカの場合と言えば、日本の現代のお風呂とあまり変わらない。基本彼の国は乾燥しているので、汗を書いた時は必ず入るが、毎日入るかと言えばそうでもない。もちろん基本はシャワーだ。しかし、彼の国は建築は基本的にデザイナーが取り仕切るので、それはこだわったお風呂もあった。もちろんお金持ちの家にかぎるが。。

  そんな影響を受けて設計を始めた僕が、一度だけ設計で自分の希望のお風呂を作ったことがある。滋賀県の琵琶湖を見渡せる山の上に作ったとある電機メーカーの若社長の家だ。コンクリート製の塔のような3階建ての建物の最上階に8帖ほどのお風呂を作った。8帖のお風呂ってのは普通は作らない。寒いし、そんなに用途がないからだ。その若社長はお風呂が大好きだと最初にいわれていたのでプランニングの段階でお風呂に時間をかけ、色々な仕組みを入れて提案したら採用されたわけだ。まず浴槽の高さより高い場所には開放的なガラス張りとした。仕様はミラーガラスと言って、外から内側は見えない。なぜならこの建物よりも高い場所には家がなく、覗かれる心配はない。それに琵琶湖を一望しながらお風呂に入って頂きたいと思ったからだ。また浴槽はもちろんジャグジー。そしてもちろんシャワーもちゃんと設置してあるのだが、一番の特徴はやはりお風呂場で読書などができる事であろう。もちろん飲み物も飲んだり作れるようミニキッチンだってこしらえた。ベランダに出て日光浴だってできる。最初は職員と社長にぶーぶー言われたが、若社長は超おきにいりの風呂ができたと大喜び。やはりお風呂は機能だけで追求するより、遊び心があるといっそう面白い。

  せめて自分で設計する家には何かしらの遊び心が欲しいと思っている。せっかく作るんだから、ただ洗うだけってお風呂は勿体ないのだ。


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