以前のこと、僕が設計した木造住宅の家主に、まだ打ち合わせ段階で言われた言葉がある。『どうものっぺりとした家が嫌いなんです』まあ、わかる最近の家はサイディングが主流であり、そこに窓や庇を付けるとしても、どうしても『のっぺり』となることはしょうがない。もちろん、のっぺりしない方法もあるのだが、やっぱりちょっと普段のと違うものを付けるとなると、予算に影響するためなかなか採用できないのだ。またのっぺりさせじと凸凹した家は、壁を多く作るため、やはり予算がかかってしまう。だが家主さんの気持ちもよくわかる。。
昔から家はぼこぼこしていた。これは日本だけでなく世界中である。窓は木製であり、今のようなサッシでシャープな感じを作ることができなかった。大工さんが現場で寸法を合わせ作り上げてきたわけだ。また外壁もそうである。木製で、最近でもまれにみるが鎧張りのような感じで、凸凹しているのが普通であった。そうでもしなければ、昔の家は、現在と違い、壁の内側には防水シートなどはない。よって雨水の浸入を防ぐためにも鎧張りのような形をとる必要があったわけだ。
また、古い日本家屋の特徴として、大きな開口部というものがある。この開口部の大きさがのっぺりにさせなかった。だが今では、これらを作ることは中々難しい。厳密にはできなくはないが、構造計算等が必要で、それだけでも30万は吹っ飛ぶため、なかなか難しいとしか言えない。また構造計算しても耐震性や耐風性、また偏心率というねじれの問題。それらを踏まえた設計となると、どうしても壁が大きくなり、結局サイディング等を選んでのっぺりとなってしまうのだ。また、のっぺりしていない、良い家だけが現存しているので、のっぺりはちょっとって事もあるだろう。だが、設計をするこちらだって、のっぺりは実は嫌いだし、僕の知り合いの大分の設計士などは『サイディングなんてクソくらえだ!』なんて言っている。なので、できるだけ予算が少なくてもあがくようにしている。
昨年、埼玉県桶川市の中古住宅をリフォームしたと書いた。そこではやはりサイディングということになったのだが、できるだけぼこぼこさせるため、サッシの上下左右に枠を入れた。これは、雨が左右から吹き込むのを防止するという役目もあるし、この隣にウッドデッキがあるのだが、そこからの視線も考慮したつもりだ。ただし、ただつけただけでは、防水性を担保できないので、そのへんは工夫をした。どうやた家主さんには好評であるらしい。
家が建ったころ、今回現場の監理を担当していただいた、東京の偉~い設計士さまに聞いた。『んで、これって何か名前ついてるんすか?庇でもないし。。』すると、『う~んフランス語で。。シルクド・ソレイユ。。だったかな。。』
う~ん。。それはカナダのサーカスのような。。
押してくださるとありがたいです。
書く気力が違います。
2016年1月9日土曜日
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