元来、日本の建物の開口部は大きい。明治期に訪日した多くの外国人建築家は日本の開放的な開国部に感動したようで、そんな手記を残した建築家は多い。そもそも西洋建築は石造りが多かったわけで、縦長の開口部しか実際には作れない。また木造もあるにはあるのだが、治安の問題か構造計算の発達が理由かはわからないが、日本のような、壁一面がすべて開口部といった建物はあまり見渡らなない。もちろん日本の建物の開口部が大きいのは高温多湿な国であることや、治安が比較的良い事などさまざまであると思う。だがこんなに地震が多い日本に、壁量を増やして、地震に耐えるという現代では当たり前の感覚が育たなかったのも、ある意味では不思議だとも思う。
最近住宅市場はアベノミクスのせいか好景気であり、車を運転しているとやたらと完成見学会などをやっている。僕も設計屋のくせに他人が作った家はとても気になる。よって堂々と、『保険関連の仕事してます。。(嘘ではないし。。)』と言って、堂々と見学会場へ潜入している。そこで毎回気になるのが窓だ。屋内から見える風景が設計屋として気になるのである。多くの家は、南側に大きな掃き出し窓を置き、日光を取り入れているような設計となっている。だが多くの場合、う~ん。。結局カーテンで年がら年中仕切るし、意味ないよね。。とぼやきそうになってしまう。。まあ、日本の伝統的な感覚ではあるには違わないんだが。。
忘れてはならないのが窓が多きれば大きいほど、外部から覗き込みやすくなる。当然だが、こちらから見えるという事は、あちらからも見えるという事だ。昔の家はたいていは塀があった。また、庭もあったので、大きな開口部があっても、外部からの視線は緩やかなものであった。だが現代は塀と言っても金属製の塀が多く、それらは目隠しを目的にしていると言うよりは、隣地境界線を強調するためにある気がする。なので大きな開口部を設けはしても、昼夜を問わずカーテンで仕切り、結局は日光も十分とれない住宅となってはないだろうか。僕にはもったいない気がする。
今では立派に日本の建築界を背負って立つ、若手建築家となった僕の恩師が言っていた言葉がある。『住宅は壁と窓が8:2程度が一番気持ちいい』 雑誌などを見てみると良い。この住宅はいいな~と思うものの窓は大抵小さいのに気づくと思う。窓が小さいことによりプライバシーは守ること以外にも利点は多い。壁が多くなることにより耐震・耐風性能が高まるし、窓がないぶん断熱性能だって高まる。それに窓は意外とお高いしね。。
それでも大きな窓を付けたいのなら、庭か塀を作るか隣地から見ても気づかないような大きな敷地に住みましょう。
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2016年1月18日月曜日
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