僕は宮崎県の中央部にあるど田舎の町に住んでおり、年の半分は他県でホテルに住み、損害保険の仕事をしているが、宮崎では設計のお仕事をしている。だがここ宮崎では僕らのような設計事務所がかかわるような新築はほぼない。その理由はたいてい設計料金という壁だ。まあ、工務店さんやハウスメーカーさんで設計してもらえば、原価にこっそり20~50%の儲けを上載せしても、3か月かかろうが5か月かかろうが、設計料金は無料というのが建前だが、こちらはその図面を作り、そして、監理するのが商売。もちろんそこにはお金が発生する。なので宮崎から仕事が来ないのはしょうがない。なのでたいてい僕の場合、関東で仕事をすることが多い。
昨年は埼玉県桶川市で住宅のリフォームに携わった。住宅は2世帯住宅を3世帯住宅へ変するというもの。初めて3世帯住宅と聞いた時、正直逃げようか。。と一瞬だが思った。なぜなら一世帯でも大変なのに3世帯なのである。という事は決定権者が3人はいるってことだ。それにどうやら姉妹と母親の仲はあまりよくない。。なので苦労するのは目に見えていた。なので、『やっぱり作りたくない。。』と一応は言ってみた。。だが、依頼主は幼馴染。。『頼む!』と言われ、ホントにお金でるんか。。と思いいつつオッケー出してしまったのだ。
『んで、コンセプトはなに?』『どういう生活を今後考えてるの?』これは毎回僕が設計する際に聞く質問だ。家主の嫁さんから言われたのが、『猫の家するの♡』 へっ。。猫? なんでも猫が。。いや、『にゃんこが最大6匹住む家にしたい!』 のだそうだ。アカン。。と思った。。人の家なら色々勉強してきたのでわかる。子供ならこのような設備がいるし、大人の男はこんな部屋が欲しい、だからこのような間取りなるから、このように。。そんな感じで家を作っていくのだが、猫はよくわからない。。厳密にいえばわからなくはない。僕だって愛猫を飼っているからだ。だが6匹ともなるとケンカもするだろうし。。う~ん、やっぱり、ようわからん。。
だが引き受けた限りはやらないかん。。もともとの間取りはハウスメーカーさんが作ったようで、非常に単純な間取りだったので、僕にとっても家主にとっても面白くはない。なので、プランを大きく変更。2階の壁を移動し、吹き抜けを作り、1階の妹夫婦と母親室を猫が行き来きする。そして子供が二人いるので子供部屋のみ増設し、家主の希望もあり、省エネ等級の高い、つまり断熱性能がばっちりのプランとした。また、僕がよく使う洗面脱衣室から直接ウォーキングクローゼットへ行くプラン。そして大きなウッドデッキでリビングを開放的にするというものを採用した。もちろん猫が爪とぎする荒縄も設置した。という事で大工事。最初はフラット35のSAリフォーム型という出たばかりで非常にハードルの高い融資を受けるため、耐震等級を3を維持する必要があり、耐力壁の計算や床倍率の計算もあったが、なんとかプランをまとめ上げた。
問題は猫、いや、にゃんこである。なんでも家主さんにれば、にゃんこは昼寝するときに同じ目線の高さににゃんこがいるとケンカになるらしい。もちろん、ケンカになった場合、逃げる道も確保したいという。う~ん、実に難しい。キャットウォークを取り付けるにしても、工法が理由で付けれない場所もあれば、猫は急に嘔吐する。よって食事スペースの上部にキャットウォークを付け、ゲロ吐かれたら、猫が三味線に変わらないとも限らない。また第一、キャットウォークの幅はどのくらいあれば猫が歩けるのか、また、走れるのかわからない。どのくらいジャンプするのか、またどのくらいの段差なら許容できるのかも知りはしない。なので嫌がる我が愛猫ミーにメージャーを当てながら色々調べて、いろんなプランを提出。だがボツ。いいのできたがパソコン止まってまって、ボツ。。それを繰り返してたら、気が付けば工事が始まってた。。
工事が佳境に入りだした10月のこと、しょうがないので、ここは家主さんの意見を100%聞いてのキャットウォーク作成。もうこちらのアイディアなんて言ってる場合ではないのだ。んで何とかプランらしいのは出来上がった。これをもとにこちらでまた微調整する。これで何とか出来上がり。これで猫が走り回ってくれなければ、埼玉に足を向けて寝れん。。と思っていたら、家主さんは出来上がった建物に大満足してくれているらしい。もちろん猫ちゃんも走り回っているようだ。
ただ残念なのはほとんどの猫が荒縄で爪を研ぐのに、1匹だけは壁紙で研ぐのだそうだ。壁紙をこっそりヤスリにしとくんだったと後悔した。。また、こちらで設定した塗装が入手が遅れるという理由で、工務店さんが家主だけに連絡をとり、つまり僕の目の届かないところで色を変更したため、真っ赤っかなキャットウォークになったこと。。手元にあった現況図の隣地境界線と建物の間が400㎜もずれていたため、ウッドデッキがでかくなったため、家とのバランスが微妙になったこと。家主の希望を聞きすぎたため、床板が黒すぎて、僕的にはバランスが悪いこと。。う~ん色々、ある。だが家主も気に入っていることだし、そこはまあ、ええか。。
昨年末、工務店さんから連絡が入った。なんでもいい感じで出来上がったので、プロのカメラマンが入って撮影し、雑誌に載るとの事。う~ん見てみたい。。と思う1月2日。。久々のブログに2時間もかかるとは思わんかった。。
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2016年1月5日火曜日
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