僕は東日本大震災の時には、保険会社の損害保険鑑定人として東京は銀座、そして宮崎は仙台の地震災害対策本部に入り鑑定のお仕事をしていた。保険の鑑定人とは、地震の場合は建物を鑑定して、保険でいうところの『全損』『半損』『一部損』『無責』を保険会社の人間としてではなく第三者として鑑定するのがお仕事だ。僕が仙台に入ったのはすでに地震から2月ほどたった後であったが、まだまだその傷跡はひどく、まったく片付けができていない家は結構な数あった。そんなある日、鑑定に行った宮城のあるお宅で『兄ちゃん~、薪ストーブがずれてんだけど、なすて保険金は無責にされるっぺよ?』と聞かれた。
見てみると、確かにずれた跡がある。薪ストーブの下にはタイルがあるのだが、その薪ストーブの足場が引きづった跡がタイルにしっかり残っていた。家財の保険支払の場合、薪ストーブなどを単体で鑑定するのではなく、家財の種別にどれくらいの被害がでたのを見るため、薪ストーブだけでは鑑定はしないことを依頼者様には納得して頂き、その親父さんと薪ストーブをしみじみ見つめた。そのお宅はピアノまで倒れていたので、状況から考えると震度は6ほどは出たのだと思う。よく見ると薪ストーブの足場とその下に敷き詰めてあるタイルを固定するボルトなどはない。『よく転倒せんかったもんですな~』と僕が言うと親父さんも『んだな~』と言うた。
ではなぜこのお宅の薪ストーブは転倒しなかったのかというと、それは重量があったのと重心が低かったのが理由だと思う。薪ストーブの重さは軽いものでも50㎏ほど。重いものだと100㎏は超える。そしてもちろんだが薪ストーブの上部には煙突があり重心は低い。つまり重量のある本体が下にあり、比較的上部は重量のない。なのでずれただけで転倒はしなかったのだと言えると思う。これが重量があっても重心が高い薪ストーブであったら転倒する可能性もあったのかもしれない。実際にそのお宅のアップライトピアノ(グランドピアノではない、背の高いピアノの事)は倒れていた。ピアノは重量は薪ストーブよりは重い(100㎏~200㎏)だが、アップライトタイプのピアノの場合、重心は比較的高い位置にあるので倒れたのだと思う。
気を付けないといけないのは、地震の時の薪ストーブの危険性は転倒だけではないのだと思う。多くの薪ストーブは薪のくべ口が横または正面についているタイプのが多いのだが、このくべ口は結構緩くできているタイプが多い。特に安モンである我が家の薪ストーブなどはそうだ。実にペロンペロンとすぐに開く。仮に火を薪ストーブに入れた状態で地震が来て、くべ口がパカっと開いたりしたらどエライ事である。内部は200°ぐらいになっているのでどう考えても危ない。やはり薪ストーブを設置するならちゃんとメンテナンスや防災の知識は重要なのだと思う。
もちろん消火器も用意しましょう!
押して頂けると、ありがたいです。
さあ、お仕事お仕事。
0 件のコメント:
コメントを投稿