2014年3月28日金曜日

小屋裏では死にたくはない。。

  最近、枕詞のようになってきて申し訳ないが、実にインスペクションが忙しい。インスペクションとは購入、または、売却予定の建物を、売買前に第三者として調査に入るお仕事だ。であるので、売主さんや買主さん、また宅建業者さんなどからの依頼がよく来ている。引っ越しシーズンでもあるし、また消費税も上がるので忙しさの理由だと思う。ありがたいことだ。僕が住む宮崎は南国らしい天気が続いている。ふと現在の気温を見ると18°である。けっこうな春である。インスペクションをやるものから言えば、今からの季節が一番作業がきつい季節となる。小屋裏というサウナに入らねばならないからである。

小屋裏とはもちろん屋根裏のこと。夏場の小屋裏の温度は60°を超えるのはザラだ。そこに入り、雨漏りや結露の有無、断熱材の取り付け具合、金物の施工方法、動物の糞尿被害、白蟻や蟻道の有無、構造体力上主要な部分の施工精度、木材の含水率(どれくらい水分が含まれているか)の計測など。。まあそんなところを僕らは見ている。

さすがに60°を超える場所でカメラとノート片手に30分もいると、頭はふらふらとなり、体中の水分が一気に湧き出る。一般的なサウナの温度は40°~50°であると言われる。それより熱い60°の小屋裏に、作業着、防護服(福島などで着られている白いつなぎみたいなもの)、頭にはタオルでほっかむり、口にはマスク、手には豚皮の手袋、すね当てにひざ当て、それに計測器をい~ぱい体に縛り付け、ルーメン数の高いライトを何個も焚くのである。かなり熱い男の作業現場である。もちろん小屋裏から降りてきたら、体中が、これはホントに自分のか?ってぐらい酸っぱい。なので依頼者さんが同行している時などは、『小屋裏は終わりましたので、床下に入りますね~』と笑顔であいさつ。競歩で床下点検口まで行き、床下に逃げるようにして入って調査するようにしている。要はクールダウンしたいのと、あまりの汗にドン引きされるのが嫌だからである。

よく小屋裏の温度を下げるにはどんな断熱材が良いのでしょうか?と質問されることがある。多くの方が断熱材は熱を通さないというイメージをもたれているようだが、それは間違いで、単に断熱材は熱の伝導率(熱の伝わりやすさのこと)が低いだけで、熱を通さないわけではない。イメージとして熱を蓄積していると思っていただけると良いと思う。よっていずれは室内にじわじわと熱が伝わってくる。よって夜ぐらいになるとやはり蒸すのである。

やはり小屋裏の温度を下げ、暑い夏場でも直下の室内を快適にするには、『換気』と『遮熱』と『断熱』の組み合わせが重要であると思う。換気はできれば棟換気。棟とは三角形の屋根(切妻屋根)のトップの事。ここに換気口を設ける事により、自然換気を促すというものだ。だがある程度長い棟でなければ十分な換気量はとれない。よって短い棟の場合だと機械を入れて強制換気にした方が良い。また断熱材の外側には『遮熱材』を入れるのをお勧めする。遮熱材とは断熱材と違って、熱を反射して跳ね返す。断熱材の外部に施工することによって、断熱材に熱を送り込まないというものだ。実は外部から建物の内部に侵入する熱の93%は輻射熱といわれている。この輻射熱を、メーカーにもよるし商品にもよるが、9割以上反射できる。これらをうまく使えば小屋裏は涼しくなり、夏も寝苦しくはない。もちろん断熱材で家を包むのを忘れてはいけない。

日本は、こんなに暑い国であるのに、世界的に見て遮熱に関してはホントに遅れている。断熱材は床下に入れないのがまだ常識だし、棟換気って何?って工務店さんらはまだ当たり前にいる。やはりこれは、木造住宅は30年で取り壊して新たに建てる、みたいな考えがまかり通っていたのが理由の一つかもしれない。これが欧米並みのストック型住宅、つまり、いつかは住宅は他人に売るものとして考えられていたら違ったのであろうとは思う。今、国土交通省さまは中古住宅市場を欧米並みのストック型へ移行して行こうと頑張ってらっしゃる。正しい方向だと思う。そのために、僕がやるようなインスペクションは重要なのでもある。

僕がインスペクションで入った中古住宅には、遮熱材や棟換気の家はまだ見たことがない。断熱材がないのも当たり前という感じだ。いずれは出てくるとは思う。ただ小屋裏で心臓発作など起こして死にたくはないものである。いくらなんでもカッコ悪いし、寂しい。それに、死んだら死んだで損害賠償もんだからである。。

早く、ストック型にならないかな。。

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