数日前の事だが、ふとNHKのクローズアップ現代をつけると、以前僕が東京にいたころ、短い間だがお世話になったお方が出演されていた。番組は『アパート建築が止まらない』というものである。内容をかいつまんで言えば、大家さんが建てたアパートを一括で借り入れるサブリースと言われる形式のアパートのトラブルがその内容で、30年の家賃保証がついているのにもかかかわらず、実際は家賃が下がるというもの。その構造的な問題を指摘されていた。
僕が住む宮崎県児湯郡にもここ10年だろうか、やたらとアパートが建設された。全国のテレビCMとかで流れている賃貸経営、サブリースタイプのアパートだ。これも見事に同じタイプの建物であり、おなじみのナイロンの旗が道路わきにヒラヒラしている。僕らのように設計を生業にしているものからすれば、御世辞にも美しい建物とは思わない(まあ、普通。。)し、ちと高い。なのだが、僕の周りにいる非建築業の友人からしたら憧れの住まいのようである。どうりで知り合いの公務員はようけ入居しているはずである。ではなぜ僕が住むような、これといった産業のない田舎でぽんぽんアパートが建設されるのだろうか?それはズバリ、隣町に住む営業さんががんばっているからである。
実は、僕がまだ設計の世界に片足だけ入りだした10年前、つまり業界の事を何もわからない頃に、こういったアパートやリフォーム等を取り扱う会社の営業職の面接に行った事がある。場所は京都市の南区だったか。。よく覚えてはいないが、テレビCMでおなじみの東証一部企業であった。実は行くには行ったのだが、入るつもりなどはさらさらない。どちらかと言えば業界のお勉強のつもりで、貧乏設計を生業にしている設計事務所の仲間3人と、明らかなニート1人を巻き込み集団面接に向かったのだった。
まず履歴書を書いて送った。どういう審査をしたのかは知らないが、ニート野郎も含め全員合格。そして『面接がございますので、朝9時に来てくださ~い』と、かわいい声の女性から電話があった。面接という事で、遅れては一族の恥とばかり事務所に30分前に到着。そ~と中を覗くと、黒いスーツのオールバックのこわもての男の方々が全員総立ちで朝礼をされていた。そして壁には『営業目標○○件!!』や『○○さまご成約ありがとうございます!!』と達筆で書かれた紙が貼ってあり、部長さんが大声でハッパかけている。その瞬間、面接を受ける気さえしなくなったのだが、仲間を誘った手前逃げるわけにはいかない状況となり、青い顔して声を出してみた。『9時から面接の予約が入っているものですが。。』
9時になり面接が始まった。面接と言っても集団面接で周りを見ればなんと50人はいる。そして簡単な会社紹介や営業の進め方のビデオを見せられる。そして面接官を前にして、まったく知らない5人での面接が始まった。面接の始まりに、いきなり僕は指名された。そして言われたのが、『君、合格!!』 へっ!? こちらはまだ何も質問を受けていないし、もちろん答えてもいない。。育ちの良さでも出ていたのだろうか。。
そして2次面接の部屋へ通され僕の履歴書を持った部長さんが入ってきた。そして本格的な面接。ここまで来たら僕もやけくそとなり、とうとうと建築についての愛をず~としゃべった。すると部長さんも僕の事を気に入ってくださったようで、『ぜひ弊社に入ってくれ!!』と言われた。そして言われたのが『うちに入ると最初の半年は給料30万。もし契約取れなかったらその時点で会社を辞めてもらうけど、契約取れたら年収は800万、2個契約が取れたら年収は1000万だ!! 男ならロレックスはめたいし、ベンツに乗りたいだろ~!! うちなら可能だぞ!!』 その当時、給料がお米で鴨川の草がおかずだった貧乏設計士の僕としては心が躍ったりしたが、その言葉で我に返った。あんたがた儲けすぎ!!
今現在、日本の設計士で月30万の給料を取っている人はどれぐらいいるだろうか。先日知り合いの設計士がビフォーアフターって番組に出ていたが、その50代の匠もそれほどはもらえないのではないだろうか。まあ、あの番組でると言うことは儲かってないという事ではあるのだが。。特に個人住宅は設計に手間をかければかけるほど、儲けはまずでない世界だ。だが無資格でもアパートの営業をして800万。。そりゃ営業さんも頑張るはずである。だがこれは10年前のお話。今は大分変わっただろうと思い、その一部上場企業の平均年収をネットで調べてみた。すると平成26年は960万。。
上がっとるやないか。。
クローズアップ現代でも言ってましたが、街は慎重に計画立てて作っていきましょう。新しいアパートを作るという事は必然的に古い建物の相対価値は下がるので空き家が増えます。空き家が多い街は良い街ではないのでは。。
押していただけるとありがたいです。
2015年5月15日金曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿